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建技/流域治水実現で提言/縦割打破へ目標共有
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>建設技術研究所は、「流域治水への転換」を推進するための提言をまとめた。気候変動に伴い豪雨災害が激甚・頻発化する中で、流域内のあらゆる関係者や住民が一体となって被害の最小化を目指す流域治水を進める。達成すべき治水目標の設定と共有化などによる縦割行政打破や対策効果と便益算出のモデル確立、関連施設・機関など流域全体をマネジメントする仕組み構築など7項目からなる取り組みの必要を提起している。
2020年7月に社会資本整備審議会河川分科会が答申した「流域治水への転換」を踏まえ、総合建設コンサルタントとして同社グループが持つ技術や知見を生かし、人々が安全で安心して暮らすことができる社会の構築に向けて、西村達也企画・営業本部長をグループ長とする流域治水事業展開ワーキンググループがまとめた。
提言は、▽縦割り行政打破(関係者全員の連携)による流域全体での協働推進▽流域治水対策の効果と便益の算出▽既存施設の緊急的運用と施設改良▽計画的な氾濫と氾濫流の制御(被害分散型整備への転換)▽水害に強いまちづくりの推進▽確実な情報伝達と住民の避難意識向上▽流域全体をマネジメントする仕組み構築--で構成する。
特に、すべての関係者が協働して流域治水を推進するには、大河川、中小河川、都市排水路(下水道)ごとの従来計画などの見直しや各管理者(行政)の壁をなくし、各地域で最大被害となる降雨継続時間の降雨規模をもとにした流域治水として達成すべき目標設定とその共有から始めることを提起。流域内に存在する多様な社会資本を治水に活用できる多機能インフラの整備に向け、さまざまな部局や住民の主体的な参加による活発な議論も求めている。
そのためには対策の効果や便益を見える化し、関係部局、企業、住民の理解を得ることが必要として、流域治水による流域全体での利害損失の明確化や、流域治水によるまちづくりなどの経済波及効果を評価するモデルの確立なども提言した。
既存施設の活用では、ダムや遊水地などの緊急時での施設余裕高などの有効活用や、事前放流を行うための既設ダムの放流能力増加と遊水地の越流施設の改造などを提案。また、超過洪水による被害を少なくするため、まちづくりの中で氾濫許容が可能な地区の設定など緊急時のトリアージ的方策や、水害リスクを考慮した氾濫域単位での「広域的な水害に強いまちづくり」などにも言及している。
さらに、流域内関連施設の統合管理とともに、流域治水の推進エンジンとなり、実施状況のモニタリングなど進行管理にも当たる新たな仕組み構築の必要を強調している。
残り50%掲載日: 2021年3月4日 | presented by 建設通信新聞