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フォーカス・オンライン会議/15ヵ月予算執行 本格化へ一役
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【相次ぐ受発注者の連携強化で】
新型コロナウイルス感染拡大防止への取り組みで一気に広まった感のある、「オンライン会議」が受発注者のコミュニケーションと連携強化に一役買っている。通常、業界団体と行政が行う意見交換は日程調整含め前例踏襲がほとんどで、急きょの意見交換は難しかった。しかし受発注者のニーズにオンライン会議が応えた格好だ。
年明けから年度末、さらに新年度にかけた2020年度、21年度は、公共工事発注量とその内容が例年とはひと味違う様相を見せている。具体的には、1月末に今年度第3次補正が成立し年度内の21年度予算成立も視野に入ったいま、防災・減災、強靱化対応では、今年度が最終の「3か年緊急対策」と「5か年加速化対策」が15カ月予算執行の中で重なる。
その結果、地域によっては例年以上の集中発注になることへの対応が発注行政に求められる一方、仮に工事発注が集中しても、確実で円滑な施工を行うという企業側の意識が求められている。裏返せば、施工余力が十分あるという建設業界のこれまでの主張を今後も展開するためには、入札不調・不落の回避が不可欠という理屈になる。
そのため国土交通省は、1月末の第3次補正成立を受け、総務省と連名で施工確保に関する要請文書を送付。その上で2月には1月末要請文書の実行を確実にさせるため、自治体に対し単独で円滑な施工確保へ向け地域の建設業団体と意見交換を行うよう依頼文書を出した。これが現在、全国各地域で相次いでいる地方整備局や自治体と地域建設業団体との意見交換につながった。
防災・減災、国土強靱化などを柱とした第3次補正に対し、国の発注行政と産業行政、自治体、各県の地元建設業界が適正な執行体制にそれぞれ強い関心を抱くのは、国交省第3次補正のうち国土強靱化の公共事業関係費が1.4兆円。これが各地の出先機関に配分される。この配分額から直轄事業に加え補助事業や社会資本総合整備事業として地域づくりに回る。
そのため国、広域自治体、基礎自治体それぞれの発注が問題なく行われ、受注する地元建設企業も円滑な施工を行う必要がある。ただ今回の意見交換で各地域の建設業界から指摘されたのは、これまでも課題として挙げられながら解決が難しかった問題だった。
4日、国交省関東地方整備局と1都8県の建設業協会との意見交換では、くしくも各建協の指摘内容は大きく分けて2つに収れんされていた。
その1つが、▽概算数量発注▽設計の不備▽用地確保協議未終了--といった工事着手前のリスク増大への懸念だ。仮に発注者が余裕工期の枠組みを用意しても、設計不備や詳細設計の遅れで余裕があった工期も実際の工事着手で遅れるケースが、これまで工事規模を問わず起きている。
設計不備について地元建設企業がさまざまな言い回しでこれまでも強く反発し懸念を示すのは、企業の規模と評価に直結する技術者数が限られているのが理由。技術者の配置をうまくやりくりして効率的に現場配置させようとしても、設計不備で頓挫しかねず経営の悪化につながるからだ。
そのため、ある建協会長は「発注に当たって発注者とコンサル、施工者との3者による事前意見交換が必要。さらにコンサルの成果品を施工者が評価する仕組みも必要になる」と発言も踏み込んだ。
4日の会合で、設計や用地協議の不備への対応を求める声が相次いだことに対し、関東整備局は「台風災害を始め災害復旧はまず契約することを重視するから概略設計で発注しなければならなかった。詳細設計の時期を早める手続きについて取り組んでいく」と理解を求めた。
もう1つ共通した指摘は、地元建設企業の国交省直轄工事への「敷居の高さ」。言い換えると新規参入する難しさだ。そもそも直轄工事の場合、出来形検査含め自治体工事に比べ厳密と言われてきた。また応札価格だけでなく工事実績や工事成績を評価する入札が多いため、新規参入が難しいとも指摘されていた。そのため4日の会合でも1都8県の建協会長からは建協会員企業のうち直轄工事を実際に手がけている企業の割合はそれぞれ5%から10%程度であるとの報告があった。
ただ一時的に発注量が多くなることを理由に、発注者は無定型に参入緩和に踏み切るわけにはいかず、地元企業にいかに仕事をしてもらえるか、地方整備局は自治体の動向を踏まえながら対応を考える必要もありそうだ。
残り50%掲載日: 2021年3月8日 | presented by 建設通信新聞