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  • 建設論評:建設・アズ・ア・サービス

     未来の会社のあるべき姿を想像し、いまの会社の取り組むべき方向を定めることが、企業経営の鉄則と言われる。

     

     これからの未来は、ITやAIを活用した付加価値が高いサービスを誰もが共有できる世界だろう。そのため、多くの企業がサービス提供企業へと変身を目指している。

     

     世界的電機メーカーのオランダのフィリップス。照明事業にLaaS(Lighting as a Service)と呼ぶ、サブスクリプション型サービスを始めた。「照明器具を売る」のではなく、エネルギー効率の良い照明器具をフィリップスが設置して、電力費用の削減分に応じて利用料を徴収する、つまり「明るさ」を提供するサービス型収益事業への変革だ。

     

     世界一の自動車メーカー・トヨタ自動車もこれまでの「自動車を製造・販売する会社」から、ソフトバンクやグーグルなどとの連携により、将来の会社を「移動というサービスを提供する会社(MaaS=Mobility as a Service)」へ生まれ変わることを目指している。そのための実証実験も兼ねて、この2月末にスマートシティー「ウーブン・シティ」のプロジェクトにも着手した。

     

     三菱地所ではMaaSの一貫として、家から職場や買い物先までドアツードアで独自のAIを活用したオンデマンド型シャトルを相乗り利用できる新たなサービスを始め、三井不動産もシームレスな移動で生活圏(コミュニティー)を広げる「不動産×MaaSプロジェクト」を始動させた。

     

     もともと「アズ・ア・サービス」という言葉、クラウドサービスなどに用いられるSaaS(Software as a Service)という言葉が起源らしい。データをインターネット上に保存し、パソコン、スマートフォン、タブレットなどの端末を選ばずに、データにアクセスできることに由来している。

     

     最近では、さまざまなサービスでこの言葉が用いられている。古くは、オフィス複写機のサービス。典型的なアズ・ア・サービスだ。製品を販売するだけでなく、定期保守メンテナンス契約を行うことで、継続的なサービスを提供するモデルだ。

     

     コンタクトレンズでも、月々の定額制で破損、紛失などの保証を行うだけでなく、度数が変われば違うレンズへ変更できるアズ・ア・サービスが提供されている。まさにコンタクトレンズ製品を売るのではなく、視覚サービスを提供している企業モデルだ。日本のGDP(国内総生産)構成比を見ると、第1次産業(農林水産業)が1%、第2次産業(鉱業、製造業、建設業)が27%、第3次産業(その他、サービス業)が72%で、サービス産業が中心となっている。

     

     これからの建設業のありようを考える上で、このアズ・ア・サービス型は大いに参考になる。建築もインフラも、長く保守メンテナンスが必要な生産物、製品だ。ここにこそ、アズ・ア・サービス型モデルを導入する余地があると考える。「建設・アズ・ア・サービス」として、長くみんなが利益を得られるような事業モデルになろう。

     

     ところで、皆さんは日本由来の「ZaaS」というサービスを知っているだろうか。「Zangyo(残業)アズ・ア・サービス」だそうだ。これからも、これ以外のさまざまなサービスの広がりに期待したいものだ。

     (隆)

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    掲載日: 2021年3月8日 | presented by 建設通信新聞

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