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  • カギは事業領域拡大/相次ぐ/トップ交代/「過去最低」「最高」の経験踏まえ/成長継続は請負一辺倒から脱却

     3月1日付で蓮輪賢治社長が就任した大林組を始め、4月から6月にかけてゼネコン、設備、メーカーで社長交代が相次ぐ。企業規模、主力分野がそれぞれ違う中、「事業領域拡大」がトップ交代の共通するキーワードだ。もう1つ、各社の新旧社長には共通項がある。「過去最低の市場規模」と「過去最高の環境」を経験し、その上で新たな成長シナリオを描き、実行していかなければならない点だ。 今回バトンを渡す社長の多くは、リーマン・ショック後も一向に回復の兆しが見えない民間市場の低迷と、民主党政権(当時)が誕生した政権交代による公共事業費の大幅削減が加わり建設市場全体が縮小、その市場縮小が競争激化を招くという悪循環を経験してきた。その後の安倍政権発足に伴う環境好転時でも、労務・資機材急騰に伴う収益悪化という経営苦境を乗り越えてきたことでも一致している。

     

     実際、2010年度の政府・民間合わせた建設投資額は41兆9000億円。これに対し17年度の建設投資額は55兆円で、13兆1000億円増加した。この10年以内の市場環境の劇的変化が、過去最高の売り上げや収益を上げてもなお、先行きについて「建設市場の底は40兆円。長期的には再び40兆円台まで縮小する可能性も視野に入れる」(複数のゼネコントップ)と慎重な姿勢を崩さない理由になっている。

     

     上場する建設企業トップを悩ます背景として、上場企業に課せられたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)適用によって、今後の企業成長シナリオの明確な説明と根拠を求める声が強まっていることもある。

     

     裏返せば、建設企業経営の根幹である「工事の請負受注」が、受注の確約と受注可能性を明確に説明できない「リスク」にもなり得る。

     

     そのため、仮に国内の土木・建築を合わせた建設市場の拡大が見込めない可能性もある時、「成長が前提」の企業にとって売り上げと収益の大半を占めてきた「工事の請負受注」以外で事業の柱を育てるしか選択肢はない。

     

     売り上げが拡大しなくても、収益改善の取り組みや資金需要変動が大きく、場合によっては経営に大きな影響を与えかねない「工事の請負受注」だけに頼るのではなく、不動産といった保有資産の運用で現金収支を安定させるなど、ゼネコンを中心に建設企業は多様な取り組みを進めてきた。設備業界で、電気や空調といったこれまですみ分けされてきた業種も、業種の枠を超えた合併・統合を視野にした動きが、中小だけでなく大手でも出始めたのもこうした理由だ。

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    掲載日: 2018年3月15日 | presented by 建設通信新聞

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