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排水ポンプをイノベーション/量産型の開発着手/小容量・多台数化に転換機能・代替性を確保/国交省
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>国土交通省は、官民連携でマスプロダクツ(量産品)型排水ポンプの開発に着手する。量産品である車両用エンジンなどを活用し、ポンプ設備を「小容量・多台数化」に転換する。「大容量・少台数化」を前提とした従来の概念から脱却することで、既存施設の老朽化や気候変動に伴って機能の維持・向上が求められる、排水ポンプのパラダイムシフトを後押しする。
排水機場の排水ポンプは1基当たりの吐き出し容量を大きくし、基数を減らすことがコスト面で有利とされる。また、高水準の信頼性に基づいて設計されており、予備機能やマージン(余裕)を持っていない。
そのため、何らかの不具合で排水ポンプ1基が停止すると、大幅な能力低下をもたらす。一品受注生産であることから、故障時の部品需給には時間がかかり、自然災害を見据えた稼働の安定化を含む、維持管理が難しくなっている。
今後直面する既存ポンプの老朽化加速、気候変動に伴う機能向上、操作員の高齢化も踏まえ、国交省は排水ポンプのイノベーションを進める。
マスプロダクツ型排水ポンプは、特注品の舶用エンジン(4000万円から)ではなく、量産品である車両用エンジン(約100万-200万円)を導入し、コスト縮減を図りつつ、メンテナンス性を高める。車両用エンジンを使った排水ポンプ1基の排水量は1秒当たり1-2tを見込むため、基数を増やすことで全体の排水量を確保する。「小容量・多台数化」は1基停止による大幅な機能低下を防止し、有事の代替性確保につながる。
このほか、汎用性が高い自動車用トランスミッションのプーリ・ベルトを使ったポンプ用減速機(従来型の7割減の500万円以下)、ポンプ形式の変更、土木構造物の簡素化、点検項目の見直しを通じて、マスプロダクツ型排水ポンプのライフサイクルは従来型の10分の1以下を目指す。
開発体制は、国交省(減速機を担当)とエンジンメーカーの豊田自動織機、三菱自動車工業、三菱ふそうトラック・バス、ポンプメーカーの荏原製作所、電業社機械製作所で構成する。4月19日にも基本協定を結ぶ予定だ。
仕様や設計などを詰めた上で、2022年1月をめどに中小規模の排水機場でマスプロダクツ型排水ポンプの実証実験を始める。
開発状況や約1年を見込む実験の結果は、社会資本整備審議会河川分科会の河川機械設備小委員会(委員長・松井純横浜国立大大学院工学研究院教授)に適宜報告し、委員の意見を活用方針に反映していく。
残り50%掲載日: 2021年3月23日 | presented by 建設通信新聞