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技術裏表・東鉄工業 強制振動機「TSV」
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【路盤の深部締固め、軽量化も実現/安全最重視で改良重ねる】
鉄道の安全な運行を支えるため、終電後から始発までの限られた時間内で日々、定期的なメンテナンス作業が進んでいる。その1つである路盤陥没対策に、東鉄工業が開発した強制振動機「TSV(Totetsu Strong Vibration)」(愛称・振之助)の活用がJR各線で進んでいる。2017年6月の実用化以来、これまでの施工実績は23回に上る。東鉄工業が経営理念に掲げる「安全はすべてに優先する」の下、開発を手掛けた土木本部土木エンジニアリング部の林玲衣乃さんは「安全への特化」を最重視し、効率的な作業を実現するTSVを完成させた。 路盤陥没は、線路下を横断する管路の破損や橋台背面の埋め戻し不良による空隙などにより発生する可能性がある。こうした陥没は列車の脱輪などを引き起こし安全な運行に支障をきたすため、その対策として定期的な空洞検査や強制振動機による路盤の締め固めが行われている。
これまではロー・ヘッド・バイブロ(LHV)を取り付けた軌陸バックホウで土中にH形鋼を差し込み、振動を与えて締め固める方法が一般的だった。しかし、電化区間では架線が掛かっているため、貫入長は1.6mに留まり、深く差し込むことができなかった。JR東日本が開発した軌陸ダンプ搭載型強制振動機「VASTUR(バスター)」は2.0mまで差し込めるが、台数が少ないことが課題だった。
東鉄工業のTSVはコマツの軌陸バックホウ「PC58UU」をベースに、アタッチメントとして振動体を取り付けた。貫入長は2.2mで、従来機と比べより深部の締め固めが可能となった。架線との接触による感電事故を防ぐため、絶縁ガードに加えて、セカンドブームにはシリンダーの長さを2段階で調節できるポジショナーを設置。電化区間では高さを3.95mに制限でき、オペレーターの負担軽減につながっている。
作業性の向上へ振動体の鉛直性を保持する角度計を搭載したほか、カント(内外のレールの高低差)へ対応するため振動体を左右8度ずつ傾斜させることも可能。振動杭が干渉する個所はMCナイロンなどで覆い低騒音化を実現した。より安全性を高めるため、転倒防止のためのカウンターウェートや、転倒しやすい旋回の危険領域をオペレーターに警報するシステム、自動停止装置、故障時の脱出機能なども設けた。
残り50%掲載日: 2018年3月16日 | presented by 建設通信新聞