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マーケット断面・5G通信が現場を変える
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【大林組が遠隔操作で改善効果】
「遠隔施工の秘密基地をどこかに置くことも夢じゃない」と、大林組の古屋弘技術本部技術研究所上級主席技師は先を読む。超高速で大容量のデータ送信が可能になる「5G」通信が商用化されるのは2020年。同社はKDDI、日本電気と共同で5G通信環境下の無人化施工による効果を検証し、遠隔地からの操作性が従来システムに比べ最大25%改善するとの数値をはじき出した。
1990年代から導入が始まった無人化施工は、災害復旧とともに進展してきたが、建機に設置したカメラからの俯瞰(ふかん)映像を頼りに操作するため、作業効率は通常の搭乗操作に比べ6割程度も低下してしまう。遠隔操作に使われる現在のWi-Fi環境は昔に比べれば高速化しているものの、通信速度や容量には限界がある上、現場に無線ネットワークシステムを構築した場合でも2㎞範囲が限界だ。
5G通信環境が整えば、より鮮明な画像データの通信が可能になり、誤差のないリアルタイムの操作が実現する。KDDIの松永彰モバイル技術本部シニアディレクターは「5Gによって社会のパラダイムは大きく変わる」と強調する。同社は通信とAIを活用した自動運転社会や、好みの角度からの視聴を楽しめる自由視点映像、遠隔のロボットをあたかも自分の分身として操作できるテレイグジスタンスといった「未来社会」への研究を進めており、今回の大林組との連携もその一環だ。
モバイルネットワークは10年刻みで進化してきた。携帯電話が登場した90年代は1G、電子メールが主流となった2000年代は3G、そして映画や音楽、買い物すべてをモバイルで楽しめる10年代は4G時代と言われている。そして20年に商用化される5Gは4Gの20倍という超高速通信環境となる。
5G環境の遠隔施工実証試験は、埼玉県川越市の大林組東京機械工場で行われた。オペレーターは高速通信によるリアルタイムな操作感に加え、立体視可能な4K対応の3次元モニターを使うことで、従来のWi-Fi通信環境に比べて15-25%の改善効果が確認された。
実は操作感の向上だけが5G環境の利点ではない。「現場で無線環境を構築する必要はなくなり、1つの制御室から全国各地の建機を操れる時代が来る」とは古屋氏。災害復旧などの危険作業中心だった無人化施工だが、通常現場の苦渋作業にも使える道筋が整う。BIMやCIMに代表されるように3次元モデルデータ活用の時代が色濃くなる中で「5G環境が建設現場のあり方自体を大きく変えるきっかけになる」と力を込める。
残り50%掲載日: 2018年3月16日 | presented by 建設通信新聞