建設技術者向けNEWS
建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!
-
五洋建設が国内初/港湾工事に本格的CIM/4D予測で全工程を確認
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>五洋建設は27日、国内で初めて、港湾工事に本格的なCIMを導入したと発表した。着工前や施工中における各種干渉チェック作業の効率化効果を確認。桟橋など構造物の3次元(3D)モデルに、工事進捗の時間要素を加えた4Dシミュレーションも実施し、工期全体にわたる空間的な施工手順の確認に役立てた。同社は今後、幅広い工種にCIMを積極活用していく方針で、4月からは社内のCIMオペレーターを増やすなど人材育成も加速させる。
CIMを本格導入したのは、石油資源開発から受注した相馬港(福島県新地町)のLNG(液化天然ガス)基地建設工事。設計・施工一括の案件で、全体工期は2014年8月から17年9月まで。社内で作成した設計図面の3次元化を始めた16年1月からCIMに取り組んだ。CIMの効果検証を目的に、桟橋築造や付帯施設構築のほぼすべての工種を対象とした。
CIMの代表的な導入メリットである干渉チェックでは、桟橋上部工の配筋と付帯施設のアンカー、鋼管杭と工場製作されたジャケットの納まりなどを確認。i-Constructionの観点も取り入れ、ドローンで撮影した点群データを基に既設護岸を3Dモデル化し、新設する桟橋渡橋の3Dモデルと重ね合わせ、既設・新設構造物の干渉をチェックした。
また、これまで職員や協力会社が個別に検討し、とりまとめに時間を要していた船舶の配置計画や資機材の搬入計画、作業計画などを3Dモデルに統合。それに工事の進捗状況を反映し、時系列に沿って現場全体の動きを俯瞰(ふかん)的に再現できる4Dシミュレーションも取り入れた。
さらに、本来直接見ることのできない海底地層の可視化と、鋼管杭の支持層への貫入長確認による出来形管理を行った。杭打ちなどの実際の現場作業から得られた施工データを3Dモデルにフィードバックする試みも実施し、海底地層の形状などを高精度化した。技術研究所土木技術開発部の石田仁専門部長は「施工中にモデルを変化させていくのはCIMの特徴の1つ」との認識を示し、見えない地形や地盤を相手にする土木分野ならではの視点を披露した。
これらのさまざまな取り組みにより、作業者全員で工事イメージを共有できたため、施工の効率化に加え、安全性の向上も図れた。発注者との円滑な意思疎通にもつながったという。
港湾工事のCIM活用については、国土交通省が18年度末までに、港湾版CIM導入ガイドラインを策定する予定。18年度には桟橋を対象にしたモデル設計業務も実施し、19年度にはその成果を引き継ぎモデル工事に移る見通しだ。
五洋建設は、こういった動きに先行して実績やノウハウを蓄積していく方針。推進体制充実の一環として、4月からは、現在5人のCIMオペレーターを7人に増員する。
残り50%掲載日: 2018年3月28日 | presented by 建設通信新聞