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連載・建設キャリアップシステム(2)狙い
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【処遇改善の“土台”づくり/技能者にキャリアの道筋/専門工事業に“競争力”】
建設キャリアアップシステムの最大の狙いは、技能者のスキルや経験に応じた適正な評価と処遇の実現にある。その“土台”づくりとして、検討を進めているのが、システムに蓄積される客観的な情報を活用した建設技能者の能力評価のあり方だ。それは技能者を「育てる」という1つの好循環を生み出す。いわば、技能者にキャリアパスの道筋を示すことを意味する。
総務省の「労働力調査」をベースに国土交通省が推計した2017年の技能労働者数は331万人。前年から1.5%の増加となっているが、全体として高齢化が進展している状況に変わりはない。
実際に技能労働者の年齢構成比は、65歳以上の47万9000人を筆頭に55-59歳が31万9000人、60-64歳が33万2000人と、55歳以上の高齢層(113万人)が全体の3分の1を占めるという高齢化の構図が継続。これからの建設産業を支える29歳以下の若年層が占める割合は全体の約1割ほどに過ぎないというのが実情だ。
今後10年で全体の3分の1を占める高齢層の大量離職(退職)が見込まれる点を踏まえれば、若年層に建設業を選択してもらうための環境整備が不可欠となっていることは言うまでもない。
高齢化と若年層の不足という建設業の構造的な課題に対応する手段としてシステムに寄せられる期待は大きい。
というのも、一般的に建設業の賃金水準のピークは40歳台の後半。いわば、体力のピークが賃金のピークとなっている。裏を返せば、現場で着実に経験を積むことで、工程管理などのマネジメント能力やスキルを身に付けたとしても、それが結果として直接的な処遇に結びついていかないという状況にあったからだ。
それは、これまで現場を渡り歩く中で技能を磨いていく、あるいは経験を蓄積していく技能者を、統一的に評価できる仕組みがなかったことに起因する。
その点で言えば、技能や経験を業界統一のルールで蓄積できるシステムの構築によって、それを評価できるだけの環境が整う。
焦点となるのが、技能者の能力評価と、その延長線上にある専門工事企業の施工能力の見える化(専門工事企業の評価制度)だ。
特にシステムに蓄積される客観的なデータによって、個々の技能者の能力や力量を見える化する前者は、技能や経験に見合った賃金の支払いなど技能者の処遇の改善に向けた政策的な環境整備という意味合いを持つ。
技能者の“腕”を客観的に評価することができるルールとして、この仕組みが機能すれば、技能者に継続的なスキルアップを促すということだけでなく、優秀な職人を抱える専門工事企業がマーケットの中で適切に評価される環境を築くことになる。
結果として、元請企業(注文者)に対する専門工事企業の“競争力”を生み出すことにもつながっていく。
残り50%掲載日: 2018年4月3日 | presented by 建設通信新聞