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  • 連載・建設キャリアアップシステム(3)理解

    【見えない具体的メリット/入り交じる期待と不安/背景に“順序のミス”】

     

     今秋の運用開始まで約半年。技能者・事業者の登録申請がスタートする、このタイミングになってもなお、建設キャリアアップシステムが“制度インフラ”として確固たる理解を得ているとは言い難い。技能者の処遇の改善、その先にある担い手の確保・育成への期待感とは裏腹に、依然として地方業界を中心とする不安の声や、システムへの警戒感も根強い。

     

     実際に圧倒的に多いのが「具体的なメリットが見えにくい」といった声だ。

     

     というのも、技能者が持つ資格や就業履歴を業界統一のルールで蓄積していく建設キャリアアップシステムは、それ自体に処遇の改善につながる直接的な効果はない。

     

     なぜなら技能者の処遇(賃金)はあくまでも事業者の判断。技能者にとっての直接的な効果ということで言えば、交付される固有のICカードに情報を蓄積していくことで、例えば、建設業を離職して再度、入職した場合でも積み重ねてきたスキルや経験値を対外的に残すことができるといった点になる。

     

     「おおむね5年ですべての技能者、事業者の登録を目指す」という“掛け声”ばかりが先行して、システムの意義やメリットが本当の意味で伝わっているとは言えない。

     

     「メリットが見えにくい」という要因の1つにそもそもの“順序のミス”がある。

     

     システムの最大の目的は技能者の処遇の改善(賃金水準の上昇)である。しかし、それはシステムだけで完結できるものではない。だからこそシステムと技能者の処遇の改善は直接的にリンクするものとして理解されにくい。

     

     本来、技能者の処遇改善を目指していくために“最初”に必要となるのは、それぞれの技能者に対する能力評価の仕組みである。

     

     技能者を雇用するそれぞれの専門工事企業が、所属する技能者のスキルや経験といった“評価”に見合う賃金を支払っていくためには、それぞれの専門工事企業が、その賃金を支払えるだけの利潤を生み出すことができる専門工事企業のマーケットを構築しなければならない。

     

     現在、国土交通省を中心に検討が進む建設技能者の能力評価や、専門工事企業の施工能力の見える化は「建設キャリアアップシステムを活用した政策展開」に位置付けられている。

     

     この建て付けの順番を逆に理解する。つまり、処遇改善の前提条件である技能者の能力評価と、専門工事企業の施工能力の見える化という2つの“仕掛け”を講じるためのツールとして「建設キャリアアップシステム」を位置付ければ、おのずとその必要性が見えてくる。

     

     1つひとつをひも解いていけば、システムの構築と普及が、最終的に技能者の処遇の改善や担い手の確保・育成に効果を発揮していくことは明らか。全体の絵姿が確かに見え始めたいま、システムの普及は大きく前進することになる。

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    掲載日: 2018年4月4日 | presented by 建設通信新聞

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