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連載・建設キャリアアップシステム(5)普及
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【業界一丸のスタートダッシュ/現場登録が成否のカギ握る/小規模現場の運用も課題】
3月30日に開かれた建設キャリアアップシステム運営協議会の第3回総会では、登録開始を目前に各団体の委員から、円滑な運営に向けたシステム開発や体制整備についての要望が出された。
全国建設業協会の中筋豊通労働委員長は、「地域建設業が持続的に発展していくためにもシステムが混乱なく普及していくような取り組みをお願いしたい」と要請。全国建設労働組合総連合(全建総連)の勝野圭司書記長は、「この間のスケジュール変更を含め、10月の運用開始を心配している声もある。万全の体制で運用開始できるようにお願いしたい」と釘を刺した。
これまでになかった新たな制度インフラの構築に向けた「生みの苦しみ」に一定の理解を示す意見がある一方、ある団体の幹部は、「たびたびスケジュールを変更されると、実務上の混乱も生じる。さらに言えば、システムの信頼性が疑われ、利用が進まなくなる」と懸念する。
事業者、技能者の登録に当たって日本建設業連合会は、協力会社と連携した代行申請を積極的に進める。5月下旬に見込まれているインターネット申請の開始後、一気に登録を推進する考えだ。
一方、全建総連は年配の組合員も多いため、6月以降に設置する窓口での申請を中心に登録を進める。4-5月にかけて全国10ブロックで実務的な手続きを含めた説明会を開催し、システムへの理解を深める。受付窓口は120カ所、申請書類の受け取りや記入補助のほか、運営主体に代わって情報をシステムに登録する「認定登録機関」は190カ所の設置をそれぞれ見込んでいる。
技能者情報の登録申請書は10枚、事業者は6枚つづりで、記入項目は多岐にわたる。技能者を例にとれば、住所、氏名から始まり、加入している社会保険、職種、保有資格などの項目が並ぶ。登録開始当初は、記入漏れや必要書類の不備などによる手戻りが多発する可能性もある。申請書類作成に伴う“負荷”を懸念する声も少なくない。
4月から技能者登録が先行して始まるが、ある団体の幹部は「現場登録がシステムの成否のかぎを握る。現状では前提となる現場登録に対する押し出しが弱い」と指摘する。技能者、事業者登録がどれだけ進んでも、就業履歴を蓄積する現場の体制が整わなければ意味がない。
システムがあまねく行き渡るためには、小規模現場での運用も課題になる。戸建て住宅やリフォーム工事では、1日に何カ所も現場を回る技能者がいる。また、カードリーダーを設置できない現場もある。普及に弾みをつけるためには、そうした現場でも確実に信ぴょう性が担保された就業履歴を蓄積できる仕組みの早期構築が求められる。
運営協議会の第3回総会で、建設業振興基金の内田俊一理事長は、「インフラは全国津々浦々に普及して初めて効果を発揮する」とシステムの早期普及に向けた一層の協力を呼び掛けた。
技能者の処遇改善やさまざまなシステムとの連携による事務作業の効率化が見込まれる新たな制度インフラの構築を軌道に乗せることができるか。建設キャリアアップシステムの“運用元年”を成功裏に終わらせるためには、行政・業界が一丸となったスタートダッシュが欠かせない。
(おわり・赤間政彦、岡部敦己)
残り50%掲載日: 2018年4月6日 | presented by 建設通信新聞