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時流奔流・国際建築活動支援フォーラム 小倉善明理事長に聞く
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【国際展開 建築家が主導/設計5会で機会創出の仕組みを】
2011年に開催されたUIA(国際建築家連合)東京大会の追加事業「次世代建築界発展のため、国際的人材育成に関わる事業」を行うために設立された国際建築活動支援フォーラム(JSB)。12年からのI期事業で若手建築家の活動を支援、15年からのII期事業では成長期待が大きなASEAN(東南アジア諸国連合)で“日本の建築力”を発信するアジア都市・建築フォーラムを主催した。5回目となるフォーラムをベトナム・ホーチミン市で1月に開き成功させたJSBの小倉善明理事長に、これまでの取り組みや現状、課題などを聞いた。--海外進出の現状について
「それぞれ市場への考え方もあると思うが、特に地方から世界へという動きが少ないように思える。国際的なことになるとトーンダウンし、これまでの知見をブレークダウンするきっかけがつかめていない。情報量などは東京に利点があるものの、地域によっては対岸の国との結びつきが強い。いったん知り合えば情報の交換や往来が容易にできる時代なだけに、人と知り合う機会をつくることが大切だと考えた」
--若手の海外進出支援について
「(自分も)50年ほど前に休職して留学した経験がある。若いうちに海外を経験する、しないでは、大きな違いがある。特に海外では建築家の旅行歴が重視されており、世の中をどれだけ見たかが評価につながる。日本人も少しずつ海外に出て行き、向こうに根差してほしいと考えたものの、応募者数は伸び悩んだ」
「若い世代が海外進出意欲に欠ける理由の1つには、語学力=教育の問題がある。所属している事務所側も貴重な戦力を手放したくない事情がある。それに加えて海外から来た人の引き受け手も少なかったため、方針を転換した」
--海外に建築力を直接売り込み始めたのは
「若い世代の国際化に直接関与していく環境になかったため、母体である設計事務所を国際化していく必要性を強く感じた。著名な建築家は海外に出て行くものの、総じて日本の建築界はPRやビジネスが下手だと言われてきた。設計者に加えて、施工者も含めた“日本の建築力”をしっかりと発信し、興味・関心を寄せてもらう機会が必要だった」
「国際交流=フレンドシップだけの時代は終わった。ビジネスチャンスをつかむための機会を利用することが大切だ。現地で知り合えば、直接仕事の話にも発展する。20年に東京五輪が終わり、本格的な人口減少社会を迎えれば新築案件が減り、リノベーションなどの仕事が増えてくる。日本よりも社会が成熟したEU(欧州連合)と同じような状況になる。建築家からデザイナーなどへの転身も迫られる。建築界にとって海外進出は避けられない状況になるのではないか」
--海外進出を後押しする仕組みが求められる
「こうした状況下で、国土交通省にはもう少し旗振りしてもらえればと思っている。より多くの設計事務所や中小ゼネコンが海外を志向するような支援が求められるのではないか。誰でも入って活動できるオープンな母体が必要だ」
「建築設計界の国際展開は、総力を挙げて取り組むべき課題だ。専業事務所もゼネコンも一緒に組んでしまえばライバルではなくなる。建築家がリーダーシップを執ってゼネコンやメーカーを束ねることで、新しいパワーをつくり出す必要がある」
--これまでの活動を振り返って
「設計事務所やゼネコン、メーカーが協力し合うフォーラムは、回を重ねるごとに手応えを感じると同時に、人のつながりが生まれ、現地から開催を要請されるなど、少しずつ成果も現れてきた。今後も継続し、参加者のビジネス機会を創出していくための仕組みづくりが必要だ。建築設計5会が国際化に向けて一致団結し、委員会をつくって日本の建築界が海外に出て行くベースをつくってほしい。全体が大きな方針を打ち出せば、いまよりもレベルが高いものができるのではないか」
残り50%掲載日: 2018年4月11日 | presented by 建設通信新聞