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「オール熊本」で復旧・復興/i-Con導入、今後の技術革新に期待
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【県内建設企業中心に奮闘/熊本地震から2年】
震度7を2度記録し、甚大な被害をもたらした2016年熊本地震の発生から2年を迎える。被災地は「オール熊本」を掲げ、創造的復興に向けて奮闘している。中心的な役割を担う熊本県の蒲島郁夫知事は「被災者に寄り添い、熊本地震からの真の復興を成し遂げたい」と決意を示し、阿蘇地域のインフラ復興を担う国土交通省は「ここからが本番」(増田博行九州地方整備局長)と、気を緩めず急ピッチで工事を進める。 =関連2、10面 熊本県は、「大空港構想Next Stage」や八代港のクルーズ拠点整備などを盛り込んだ「復旧・復興プラン」に基づき事業を進めている。計画期間は19年度までのおおむね4年となり、3年目となる18年度はその加速化を図る。公費解体や災害廃棄物の処理はおおむね完了し、災害公営住宅の整備など被災者の生活再建が本格化している。
益城町で実施する県道熊本高森線4車線化と復興土地区画整理の2事業では、現地に益城復興事務所を開設し、事業体制を整備した。復興土地区画整理事業では、協定を締結した都市再生機構(UR)が、東日本大震災の被災市町村での復興まちづくりの実績を生かし、事業計画や換地計画策定などで技術的に県をサポートする。
URは災害公営住宅建設でも存在感を発揮している。被災自治体と早期整備に向けた基本協定を締結し、ことし1月には宇城市豊野響原地区で初弾工事に着手した。
一方、建築家もその職責を全うしている。伊東豊雄氏がコミッショナーを務めるくまもとアートポリス(KAP)が中心となって、仮設住宅建設の段階から「みんなの家」や木造タイプなどを提案・整備し、KAP建築展2017などを通して住まいの再建について地域とともに考える場をつくってきた。
公共建築では、熊本市がことし2月、被災により移転新築する熊本市民病院に本格着工し、19年秋の開院に向けて工事を進めている。熊本城は計画期間を20年とする復旧基本計画を策定。復興のシンボルとなる天守閣は19年秋の大天守の外観の復旧、21年春の小天守を含む天守閣の全体復旧を目指す。被災庁舎を抱える各自治体でもそれぞれ建て替えに向けた設計業務などに着手した。
復旧・復興工事は、「オール熊本」を掲げ、県内建設企業が中心となって進めている。ただ、各地方と同様に熊本県内でも従前から担い手不足を抱えており、工事の遅れによる復興スピードへの影響が不安視されていた。現に、県工事における入札不調・不落札の発生状況は震災前年度の1.74%に対し、16年度の13.92%、17年度の18.67%と急増している。
こうした状況を踏まえ、県は、国や県内市町村、建設業団体などを含めた「熊本地震等復旧・復興工事情報連絡会議」により情報共有を図るとともに、発注標準の見直し、復興係数・復興歩掛かりの導入などの対策を講じた。その結果、不調不落の発生率は17年4月の44.4%から、8月には20%を切り、ことし3月は557件と月別で最も件数が多かったものの、7.4%と減少を見せ、県土木部は「対策が功を奏している。18年度も改善が見られそうだ」と見通している。
国が担う阿蘇地区のインフラ復興は16年12月に俵山トンネルルート、17年8月に長陽大橋ルートを開通させ、当初見込みのスケジュールを順調にこなしている。
現在は、国道57号北側復旧ルート、阿蘇大橋の架け替え工事を20年度の全線開通を目指し推進している。18年度からは新たに、阿蘇山(阿蘇カルデラ内)で直轄砂防事業に着手し、土砂災害の防止・軽減を図る計画だ。
大規模な斜面崩壊が発生した阿蘇大橋地区斜面では恒久的な安定化対策としてネット工を実施している。同現場で、熊谷組が担当した直轄砂防災害関連緊急事業では、多数の機械の集中投入を可能とするネットワーク対応型の無人化施工技術や、調査から管理まで一連のプロセスでICTを活用したi-Constructionを導入し、早期復旧に大きく貢献した。
また、熊本地震では、災害状況を迅速に把握するため、ドローンによる空撮技術も積極的に導入された。そういった経験は、17年九州北部豪雨などその後の災害でも引き継がれており、今後も建設分野の技術革新に対する期待や要請は一層高まりそうだ。
残り50%掲載日: 2018年4月16日 | presented by 建設通信新聞