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現場から・鉄建建設・東洋建設JV/上平井水門耐震補強工事(その2)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【国内最大級のフローティングゲート/干満の差にも細心の注意】
東京都葛飾区の中川と綾瀬川の合流地点に高潮遡上(そじょう)を防ぐため築造された上平井水門。竣工から47年が経過したこの水門では、首都直下地震などへの対策として鉄建建設・東洋建設JVによる「上平井水門耐震補強工事(その2)」が進んでいる。34mの門柱間の仮締め切りには、国内2例目で、かつ最大級となるフローティングゲートを採用している。鉄建建設の井上雅夫所長は「水を止める作業が重要となる工事なので、そこに気を遣って工事を進めていく」と意気込む。
東京都財務局発注の同工事は、まず施工個所を浚渫し、地下水の水圧による既設構造物への影響を防ぐため地盤改良を実施。続いて、上流側と下流側に仮締め切りゲートを設置し、ゲート内を排水した後に既存躯体を削孔して補強筋を増設する。1-4号門を1門ずつ施工しており、現在、3号門が完了して4号門の仮締め切りが進んでいる。工期は2016年3月4日から20年3月13日まで。
仮締め切りゲートの下段は長さ36m、高さ6.5m、重量260tにも上り、現場でのクレーンによる揚重が困難だったため、フローティングゲート式を採用。井上所長は「社内や社外でも経験者が多くなかった」と明かす。北九州市で制作されたフローティングゲートは、貨物船で東京湾の辰巳埠頭まで運ばれ、タグボートで現場へ曳航した。
フローティングゲートの内部は、2分の1を占めるA室、4分の1のB室とC室の3室に分かれる。まず下側になるB室のバルブを開き注水してゲートの頭を起こした後、C室も同様に注水することでゲートを回転させる。回転が完了後、曳航船で堰柱に押し当て、A室に注入して河床へと密着させる。続いて、中段と上段のゲートをクレーンで積み上げて止水する。
現場は大型のタンカーや一般の船舶も通過するため「水門付近での船舶の航行に気を遣っている」(井上所長)。水門を閉めて作業することで航路が制限されるため、上流と下流には警戒線を配置。工事用船舶とタンカーは電話連絡、一般の船舶は手旗で注意喚起して「水門付近での交差をなるべく回避している」(井上所長)。
また、河口から約7㎞に位置するため干満の差にも細心の注意を払う。水位の変動によりゲートも上下するが、ゲート底部の止水ゴムが河床に接触して破損・損傷すると水密性に影響を及ぼす。そのため、井上所長は「潮位や喫水を考慮して底部が接触しない高さまでで作業を止めている」と話す。
フローティングゲートは転用しながら1門ずつ施工を進める。井上所長は「3号門の止水は非常に上手くいった」と振り返りつつ、「長期の繰り返しの作業でマンネリ化が懸念されるが、それを防止して個々のレベルアップを図りたい」と前を向く。
残り50%掲載日: 2018年4月17日 | presented by 建設通信新聞