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  • 連載・建築確認BIM/新たな一歩(3)

    【意匠見て設備が備え/時間短縮の効果鮮明】

     

     建築(意匠)の事前審査は共有クラウドにアップロードしたBIMモデルを介して情報共有したが、設備の事前審査では共有クラウドの活用が難しかった。竹中工務店は意匠設計にオートデスクのBIMソフト『Revit』、設備設計にはNYKシステムズの建築設備専用CAD『Rebro』を使った。そもそも両ソフトの相性はよく、データ互換性は整っているものの、共有クラウド内ではRebroの作図機能の一部に使いにくい部分があった。そのためクラウドから建築のBIMモデルを外出しし、それを設備のBIMモデルと重ねることで事前審査を行った。

     

     「それでも通常の事前審査に比べ、時間短縮の効果はとても大きかった」と、日本建築センター確認検査部設備審査課主査の杉安由香里氏は振り返る。従来と大きく異なったのは、複雑なダクトや配管類の配置を見える化できる効果だけではない。それ以上に審査の過程を関係者全員がリアルタイムに共有できたことが設備の事前審査をよりスムーズにさせた。

     

     従来は設備にからむ意匠設計の事前審査の最終結論が確定してから、審査側と申請側の設備担当が打ち合わせを始めることが多い。設備は意匠が決まらなければ、ダクトや配管などの具体ルートを詰めることができない。共有クラウドを介して意匠の協議状況をリアルタイムに確認できることで、設備担当には「事前の準備ができる備えの効果」(杉安氏)が生まれた。

     

     特に防火区画の変更などはダンパー設置の要否や種類の決定にも深くかかわる。建築形状の把握が事前に行えることで、換気計画や非常用の照明装置計画についての共有理解を早めることができた。BIMモデルの検索機能を使い、部材の有無や種類の確認を短時間で行うことに加え、系統選択機能では換気計画の理解が早まる効果もあった。

     

     事前審査でのBIM対応を意識していた竹中工務店ではあえて施工図に近いレベルに申請図面を仕上げてきた。確認申請段階の設備設計はシングルライン(単線)で作図することが一般的だが、施工図段階で描くダブルライン(複線)の図面を確認申請図として描くのは同社でも初めての試み。東京本店設計部設備部門設備3グループの海野玄陽氏は事前審査のBIM活用を実現するため、「設備設計でもフロントローディング(業務の前倒し)を進めてきた」と力を込める。

     

     プロジェクトは現在施工中。2019年2月の竣工時には、日本建築センターが完了検査を行う。事前審査の段階からダクトや配管は3次元化され、しかも色分けされていた状況は、まるで竣工時の状態を事前に映し出していた。「事前審査の段階から竣工時のイメージを頭の中に描くことができた」(杉安氏)のも、審査側にとって初めての経験だった。

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    掲載日: 2018年5月2日 | presented by 建設通信新聞

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