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  • 連載・建築確認BIM/新たな一歩(5)

    【図面表記の統一が原動力/海外からも称賛の声】

     

     「BIMの活用は利点だけではない」。日本建築センターと竹中工務店はトライアルプロジェクトを通じて、建築確認BIMの課題をより明確に意識することができるようになった。特に大規模な建築物ではBIMモデルや関連電子データなどの情報量が膨大になり、審査側の計画把握に時間がかかる可能性があるため、逆に効率性が損なわれる恐れもある。当面は規模を限定しながら、段階的に活用範囲を拡大すべきとの見解を導き出した。

     

     建築確認BIMを一般化するためには、共有基盤の整備が欠かせないことも分かった。BIMモデルと各種計算表が連携するテンプレートの開発に加え、ガイドラインやチェックシートによる申請ルールの構築なども不可欠だ。特にモデル作成の統一的なルールづくりは、竹中工務店にとっても「重要視すべき」と感じた項目の1つだった。

     

     例えば申請図面の表現方法には厳密なルールがなく、企業ごとに慣れ親しんだ表記がある。図面の書き方が業界で統一化できれば、確認申請だけでなく、BIMモデルや属性情報など関連したデータの共有が一気に進む。「BIM普及の原動力にもなる」と両者は声をそろえる。

     

     まさにトライアルプロジェクトは日本初の試みだが、BIM活用は建築確認と省エネ適合性判定の事前審査に限定された。現在、延べ2000㎡を超えるような規模の建築物では確認申請図書は消防同意などの課題により、電子データだけで申請を完結することが難しい。そのため申請者の竹中工務店は審査完了時のモデルから従来どおりの確認申請図を出力し、それに捺印して提出した。

     

     建築関連データの標準化を目指す国際組織のビルディングスマート・インターナショナル(bSI)が3月末にフランス・パリで開いた国際大会では、日本初の建築確認BIMに対し、各国から称賛の声が上がった。bSIで確認申請の実事例が発表されたのは初めて。法規制関連の分科会で発表の機会が与えられ、日本建築センターから確認検査部専門部長の鈴木丞治氏、竹中工務店からは東京本店設計部設計第2部門設計4グループの花岡郁哉氏と石澤宰氏が登壇した。

     

     建築確認BIM研究の第一人者で、bSI日本支部のビルディングスマート・ジャパン(bSJ)会員でもある建築研究所上席研究員の武藤正樹氏は 「木造3階建ての建築確認で実現していたBIM活用が、 一般建築にも広がった意義は大きい。海外でも研究例は多いが、実プロジェクトとして挑戦したことにbSIの中でも高い評価を得ている。この経験を共有し、日本全体の取り組みに発展させてもらいたい」 と期待を込める。

     

     建築確認BIMの可能性を広げた日本建築センターと竹中工務店の挑戦は、日本のBIM普及をけん引する力強い一歩となった。 (おわり・西原一仁)

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    掲載日: 2018年5月9日 | presented by 建設通信新聞

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