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  • 渋谷-世紀の大改造・1/東急電鉄が駅周辺開発主導/技術・知見・人材集め街を進化

     若者の街やIT産業の聖地などさまざまな顔を持つ東京・渋谷-。現在、渋谷駅の改良と並行し、駅周辺で複数の大規模開発事業が進展している。開発事業を主導するのは渋谷エリアを本拠地とする東京急行電鉄。同社が推進する事業を中心に、「世紀の大改造」が進む渋谷の今を追った。

     

     (編集部・渋谷大改造取材班)

     

     「100年前、現在の渋谷駅駅舎がある場所には何もなかった」

     

     建築家の田村圭介氏(昭和女子大准教授)はそう振り返る。1885年に日本鉄道品川線(現在のJR山手線)の渋谷駅が開業した当初、駅舎は現在地よりも高台(現在のJR埼京線ホーム付近)にあった。現在地に移転したのが1920年。これが前回の「世紀の大改造」だったとされる。

     

     今回の大改造では、老朽化し利便性が低下している駅舎機能やインフラ施設の改良とともに、駅周辺で都市の魅力をさらに高める再開発事業が一体的に進む。駅施設改良の端緒となったのが「東急東横線の地下化」。地下化によって役目を終えた地上駅舎や線路跡地を種地に、駅施設の再整備が本格的に動きだした。

     

     利便性向上の一環で、JR埼京線と東京メトロ銀座線のホームの移設工事が進む。谷地という特有の地形を踏まえ、歩行者の上下移動をスムーズにし回遊性を高めるため、エレベーターやエスカレーターを介して多層の都市基盤を結ぶ立体的な歩行者動線「アーバン・コア」を整備。駅周辺の再開発ビルも動線をつなぐ役割を担うことになる。 

     

     渋谷には若者でにぎわうセンター街や、わい雑な雰囲気のある道玄坂の近くに閑静な高級住宅街・松濤(しょうとう)がある。一見すると背反する機能が混在し、多様な人々が集まるのも街の魅力の一つだ。

     

     東急電鉄は渋谷が持つ歴史や多様性、ダイナミズムを生かした再開発を進め、「日本一訪れたい街」を目指す。2012年の「渋谷ヒカリエ」の開業後、東急グループでは七つの再開発事業を駅周辺で展開。完成後に創出する総延べ床面積は約95万平方メートルに上る=図参照。

     

     同社都市創造本部の太田雅文渋谷戦略事業部副事業部長は「若者の活気を残しながら、大人にも来てもらいたい」と話す。オフィスやクリエイターの支援機能、エンターテインメント機能などを再開発事業に積極的に盛り込む。

     

     渋谷駅を中心に全方位で再開発事業を実施。駅から近隣の街を含めた「広域渋谷圏」へと放射状に伸びる新たな人の流れをつくりたい考えだ。旧東横線渋谷駅のホームや線路跡地などで開発中の大規模複合施設「渋谷ストリーム」と「渋谷ブリッジ」を、渋谷駅南側から代官山駅や中目黒駅方面に人々が流れるための拠点施設と位置付ける。

     

     再開発ビルのデザインアーキテクツには隈研吾氏(渋谷スクランブルスクエア東棟)やSANAA事務所(同西・中央棟)など、世界的に著名な建築家らが名を連ねる。エンターテインメントシティーの創出に向け、個性的でさまざまな魅力が重なり合う「渋谷らしさ」をデザインで表現する。

     

     都市開発に長年携わってきた事業者、設計者、施工者ら関係者が最高の技術、知見、人材を結集させ、渋谷という街の進化に総力を挙げて取り組んでいる。

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    掲載日: 2018年6月18日 | presented by 日刊建設工業新聞

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