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大阪府北部地震/行政、団体、企業が迅速対応/予断許さず情報収集
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>18日午前7時58分に発生した大阪府北部を震源とする地震に、関西の建設産業界は行政、団体、企業それぞれが迅速な対応を見せた。近畿地方整備局は早急に災害対策室を立ち上げ、被害状況を確認したほか、日本建設業連合会関西支部、大阪建設業協会、日本道路建設業協会関西支部なども情報収集しながら、いつでも動けるよう待機の姿勢を崩さない。ゼネコンを始め民間企業も社員の安否確認とともに工事現場の被害状況を確認した。現時点で大規模な被害は報告されていないが、各方面とも予断は許されないと情報収集に力を注いでいる。
大阪市北区や高槻市などは震度6弱、京都府亀岡市などでも震度5強の揺れを観測した。震源の深さは約13㎞、地震の規模はマグニチュード6.1にも達した。高槻市の住宅街で火災が起きたほか、アスファルト路面に穴が開き、水が噴き出す地区もあった。震度5弱の大阪府大東市では水道管が破裂して周辺に水があふれるなど、断水や水漏れの被害も広がっている。発災後1時間の時点で停電は17万戸にも及んだ。
朝の通勤時というタイミングもあり、交通機関はまひし、大混乱となった。東海道新幹線は米原~新大阪駅間で、山陽新幹線は全線で運転を見合わせた。大阪市営地下鉄も全線で運転を取りやめたため、駅などに人があふれた。関西電力によると、福井県にある大飯、高浜、美浜の各原発や日本原子力発電敦賀原発に異常はなかった。
◆自主的に被害把握
近畿整備局は非常体制を発令し、発災後すぐに大阪合同庁舎第1号館7階に災害対策室を立ち上げた。団体も早急に動いた。震度6弱以上の地震が発生した場合に大阪市との連携関係を密にする大阪建設業協会では市からの待機要請を受ける前から動き出し、道路啓開への準備を整えた。地区ごとに対応する会員企業を定めているが、発災後すぐに数社が自主的に被害把握に努めるなど迅速な対応が見られた。
日建連関西支部も迅速に体制を整え、積極的に情報収集に努めた。近畿整備局にリエゾンとして2人の防災担当を派遣したほか、事務局にも2人の担当が待機し、状況の把握に力を注いだ。日本道路建設業協会関西支部では災害対策本部を早急に立ち上げた。全会員13社に連絡し、うち会員8社の担当者が集まり、国土交通省などからの連絡に迅速な対応ができるように体制を確保した。各団体とも情報収集に動き、要請があればすぐにでも動けるように準備を整えている。
同日午後1時30分に近畿整備局が発表した被害状況の第一報によると、点検が完了したNEXCO西日本と阪神高速道路は全線通行止めを解除、直轄国道は構造物などの詳細点検を実施中だが、現時点で被害は確認されていない。ただ、補助国道や地方道では大阪市高槻市内の府道16号で水道管破裂による通行止め、市道栄町306号で小学校外壁倒壊による通行止めがあった。
河川は淀川で天端クラックや護岸破損報告があったものの、点検が完了した個所での異常はなかった。直轄ダムでは天ヶ瀬、猿谷、大滝の3カ所、機構ダムでも日吉、高山、青蓮寺、室生、布目、比奈知の6カ所で異常はなかった。港湾関係も構造物や設備に被害はなかった。工事中の直轄施設も大阪港で確認中だが、その他は異常がなかった。
◆関西拠点が主体対応
民間工事では、施工を手掛けるゼネコンなどが対応に追われた。各社とも日ごろのBCP(事業継続計画)訓練で進めてきた社員の安否確認に並行して、施工中の現場や施主への対応に動いた。長谷工コーポレーション関西では稼働中72現場の被害状況を把握、揺れの大きかった高槻市と茨木市でもそれぞれ1件の現場を抱えていたが、被害はなかったという。
大手ゼネコン各社も一斉に動いた。清水建設の関西支店は発災後1時間以内に通勤者も含め全員の安否を確認。被害の状況把握を先行し、関西支店が主体的に動く体制とする方向で社のスタンスを固めた。同業他社も同様に、大林組は大阪本店に現地本部、鹿島は関西支店に震災対策本部、大成建設も関西支店に対策本部を立ち上げ、情報収集を進めた。竹中工務店は本社と大阪本店それぞれに災害対策本部を設置し、連携体制を構築した。各社とも現場の被害はなく、並行して顧客への対応を進めている状況だ。
地震による交通の状況を踏まえ、ゼネコン各社では同日に予定していた安全大会などを中止する動きも拡大、中には開催時間を延期する対応もあった。また、大阪電業協会は大阪市内のホテルで同日の設立50周年記念式典を予定どおりに開催した。
残り50%掲載日: 2018年6月19日 | presented by 建設通信新聞