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  • 建設関連各社/安全教育にVR技術を活用/疑似体験通じ安全意識向上へ

     建設現場での労働災害防止を目的とした安全教育に、VR(仮想現実)技術を活用する建設関連企業が増えている。事故を疑似体験することで、実際の現場で不安全行動をとらないよう安全意識を身に付けさせることが狙いだ。VRの関連機器やコンテンツを扱う会社とゼネコンらが、システム開発などで連携するケースも増えており、商機は確実に広がっている。

     

     東急建設は4月、自社開発したVRコンテンツによる安全教育を実施した。コンテンツはバンダイナムコスタジオ(東京都江東区、中谷始社長)の支援で開発。VR空間内でさまざまな事故の発生経過が疑似体験できる内容となっている。東京・渋谷駅周辺の再開発工事に携わる協力会社作業員を対象にした安全教育では、ヘッドマウントディスプレーに加え、手足にコントローラーを装着。建設現場に潜む危険を疑似体験し、安全教育に役立てた。

     

     大成ロテックは今春入社の新入社員研修から、VRを導入した。内容は重機災害などによる死亡災害の疑似体験。安全品質管理の担当者は「実際の研修ではできない、死亡災害を疑似体験できる点が最大のメリット」と、VR導入の理由を説明する。体験した新入社員からは「命に関わる仕事だと改めて実感した」などの感想が寄せられたという。今後は現場作業員への導入も検討する。

     

     西松建設はこれまで建築工事の3現場でVRを使った安全教育を実施済み。7月にも新たな現場での導入を予定している。

     

     研修施設にVRを整備する動きもある。五洋建設は17年10月にリニューアルした技術研究所(栃木県那須塩原市)に、安全教育の充実を目的としたVRやAR(拡張現実)の専用室を設けた。

     

     三菱電機は愛知県稲沢市で整備している自前の教育・研修施設に、VR・AR技術を取り入れた危険体感設備を併設する予定だ。施設は10月の稼働開始を目指す。

     

     安全教育に使うVRコンテンツの内容は、建設業の災害で最も多い墜落・転落災害や、重機災害、土砂災害など幅広い。大成ロテックは「既存のコンテンツには舗装工事を想定したものが少ない」(安全品質管理担当者)として、舗装工事の災害で多い舗装用重機との接触事故を疑似体験できるコンテンツを制作している。

     

     VR・ARコンテンツの制作を手掛ける積木製作(東京都墨田区、城戸太郎社長)によると、建設関連企業によるVRコンテンツの依頼件数が増加したのは16年ころからという。同社の安全教育用VRがメディアなどで取り上げられたことをきっかけに、販売やレンタルの件数が急増。ここ最近では安全大会用に複数のコンテンツをパッケージでレンタルするなど、提供可能なサービスも充実。「VR利用へのハードルが下がってきているように感じる」(VRサービス担当者)と話している。

     

     VR活用をためらう企業もある。あるゼネコンの担当者は「VRを使い回しながら一人ずつ研修すると、時間がかかり過ぎてしまう」と課題を指摘。より効率的で効果的な活用方法を模索する動きは今後も続きそうだ。

     

     

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    掲載日: 2018年6月27日 | presented by 日刊建設工業新聞

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