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JIS最高の遮音等級「Rr-60」/CLT壁で達成/熊谷組
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【中大規模の木造建築に照準】
熊谷組は、木造CLT(直交集成板)壁でJIS(日本工業規格)最高の遮音等級となる「Rr-60」を達成した。CLT壁近傍に遮音効果を高める構成材料(石膏ボード、断熱耐火パネル、遮音シートなど)を組み合わせ、壁全体として遮音性能を高めた。また、ふかし壁で比重の異なる材料を積層させるなど、低音域の共鳴透過を低減させた。同社によると、CLT壁でRr-60を達成したのは、国内で初めてという。
今後、需要が高まると考えられる木造建築分野で、同社が取り組みを視野に入れている共同住宅、ホテル、社員寮といった中大規模の木造建築は、建物の主要構造部である壁に、木質系材料であるCLT壁の使用が想定される。しかし、共同住宅などにCLT壁を使用する場合、高い水準での空気音遮断性能が求められるなど、技術的に解決すべき課題があった。
一般に共同住宅の住戸間の壁単体の空気音遮断性能は、実際の建物で使用した場合、遮音等級Rr-55以上が望ましいといわれている。同社はことし5月、CLT壁単体の遮音実験を建材試験センターで行い、CLT90mmと同150mmをそれぞれ使った2種類の複合壁で、両方ともRr-60を達成した。
また、木造建築の住戸間のCLT壁など主要構造部は、遮音性能とともに耐火性能を確保する必要がある。耐火性能は、木材そのものの「燃えしろ層」と、「燃え止まり層」を設けて耐火性能を確保する方法がある。今回の開発では、燃え止まり層(CLT90mm)と燃えしろ層(同150mm)の両方の耐火仕様で、壁単体として空気音遮断性能で、遮音等級Rr-60を独自仕様の組み込みで達成した。
CLT壁は、壁面以外からの音の伝搬経路も想定されるため、住戸間の遮音性能は壁単体だけでなく、壁・床・梁全体の遮音性能が重要になる。今後、同社は現在同時に開発を進めているCLT遮音床(乾式工法による重量床衝撃音などの対策床)と、主要構造部(床・梁・壁)の耐火構造を踏まえ、この床と梁の上にCLT壁を設置し、空気音遮断性能について、2019年の大臣認定取得を目指している。
残り50%掲載日: 2018年7月2日 | presented by 建設通信新聞