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建設論評・女性労働力への期待
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>人手不足の中、さまざまな労働力が登場し、あるいは重みを増している。
まず、女性労働者の役割が拡大されている。建設業の中で、昔は女性と言えば一般職、地域限定で給与もいまひとつ、その代わりに現場に出て厳しい環境の中で作業することもなく、内勤でも夜遅くまで残業につきあうことなく、程々のところで帰宅することが多かった。
いまは様変わりしつつある。女性の管理職が増えつつあり、やがてプロパーから女性役員が輩出して来よう。管理職や役員に女性の枠を確保する動きもあるが、おそらくは一時的で、間もなく実力により適正な割合でその地位を占めるに違いない。大体いままで女性が実力を発揮してこなかったのは、周囲の扱いにもよるが、本人たちがその気にならなかったことが大きい。
しかし、日本だけがいわゆる男尊女卑などという価値観を維持できるはずもない。世界のニュースを見れば、ヨーロッパを指導しているのはドイツのメルケル首相、英国でEU(欧州連合)から分離する困難な仕事に取り組んでいるのはメイ首相で、いずれも女性であり、いまやこのことに違和感を持つ人は少ない。
あるゼネコンの女性の新任部長は、入社当時は部長になるなんて思いもよらなかったと言いながら、自信を持った貫録ある姿勢を見せていた。このように、周囲の期待に応えて自分の気構えを変えていける女性が増えつつあり、女性の立場を強くしている。何といっても女性の人数は働く人の半分を占めていて数の上では遜色ない。管理職だ、部長だといっても、 本来何も特殊なものではない。部門の経営に頭を絞り、部下を動かし、周囲と交渉するのに男女差はない。
勉強し、努力をすれば誰にでもチャンスはある。部長、管理職になったらその仕事をすればよいのだ。また、役員になったら役員の仕事をする。そのために必要な勉強、努力をするのは当たり前ではないか。いまどき大学では、女性の学生の割合が3割以上を占め、成績の上位者は女子学生が多いという。
それでは今後、女性がさらに力を伸ばすために必要なことは何か。それは、少々分かりにくい表現ではあるが、「人間力」を高めることだと思う。なぜならば、「人間力」は知識経験で養われるばかりでなく、本人の志、度量、熱意などから成り立つ面が大きく、これはいずれもにわかに計りづらいものだからである。「人間力」のある人物は、周囲から見ると信頼でき、魅力ある人物である。頭の良さ、知識の豊富さのみでできるものではない。その人の生き様そのものが表れるからである。自分は何をし生きているのか、何のために仕事をしているのかと問うことを無駄と思わず、自分に問うことで養われるのではないか。表立った学校のカリキュラムにあるわけでもなかったから、学校の成績が良い女性でも必ずしも人間力の大切さに気がついていないのではないかと危惧(きぐ)するのである。女性たちがこのことに気付き、今後一層活躍して、社会を豊かにしてくれることを切に願う。
残り50%掲載日: 2018年7月4日 | presented by 建設通信新聞