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  • 竣工特集・鉄道博物館リニューアル

     東日本鉄道文化財団と東日本旅客鉄道が進めてきた鉄道博物館のリニューアル工事が完成した。順次行ってきた本館内のリニューアルに続き、7月5日には一連のプロジェクトの集大成として、新館が待望のオープンを迎える。鉄道博物館新館新築・本館改修他工事を担当した鉄建建設・第一建設工業JV、鉄道博物館南館電気設備新設他工事を手掛けた日本電設工業が、高い技術力を持ち寄り一丸となって、高品質な建物を無事故・無災害でつくり上げた。【あいさつ・公益財団法人東日本鉄道文化財団鉄道博物館館長 宮城 利久/「実感」「体感」で特性伝える】

     

     鉄道博物館の拡張リニューアルはJR東日本設立30周年、鉄道博物館開館10周年の記念事業としてJR東日本の全面協力のもと計画、遂行されました。2016年より、本館のリニューアルを順次行ってまいりましたが、本日7月5日、新館オープンを迎えることとなりました。これにより、鉄道博物館の全館リニューアル完成となります。この場を借りまして、この間ご尽力くださった関係の皆様に御礼申し上げます。

     

     拡張リニューアルの目的は、時代に合わせ、館の変革を図ることにあります。展示室自体の拡張と新たな展示手法の導入を積極的に行い、展示の充実を図るとともに、レストランやショップの拡充や館内の案内の充実など、サービスの向上を併せて行うというものです。

     

     展示については、「実感」「体感」をキーワードに、日本の鉄道の特性をより多くの様々な層の方々にわかりやすくお伝えすることを目指しました。既存の展示も併せて再構築し、仕事、未来、歴史、車両、科学という5つのおもな展示室「ステーション」を中心に、より深く、幅広く、わかりやすく鉄道の魅力と重要性をお伝えします。

     

     生まれ変わった鉄道博物館に皆様ぜひお越しください。

     

    【あいさつ・東日本旅客鉄道株式会社上信越工事事務所所長 高木淳/歴史や技術をより身近に】

     

     2016年夏に着工した鉄道博物館新館新築・本館改修他工事が、無事竣工いたしました。本館では、キッズプラザ・科学ステーションを皮切りに、順次リニューアルオープンしてきましたが、それらと並行して新館新築工事を進めてまいりました。本館を営業しながらの工事でありましたが、工事に際しご理解、ご協力いただいた鉄道博物館を始めとした関係者の方々、博物館へ来館されたお客さまや地域の方々、工事に携わられた多くの方々に厚く御礼申し上げます。

     

     新館は地上4階建てで、2階で本館と連絡通路によって結ばれています。新館には3つのステーション(展示ゾーン)が展開され、新幹線が走る姿を見ることができるレストランや、在来線側の景色を俯瞰(ふかん)できる屋上テラスも新設されます。新館のオープンにより展示面積が1.3倍に拡大され、本館に展開されてきた新たな2つのステーションと合わせ、さらに大きく魅力を増していくものと考えています。

     

     新館オープンによりパワーアップした鉄道博物館が、鉄道の歴史やその技術をさらに身近で、魅力的に感じる場となり、来館していただくお客さまにますます愛されるとともに、鉄道文化の継承と発展に貢献されることを祈念しております。

     

    【設計メモ/内外装に走る車両の流れパターン化】

     

     鉄道博物館は、鉄道に関するさまざまな知識がアーカイブされている場所であることから、外観は展示室空間を無造作に積み重ねたようにすることで、知識や記憶の集積をアナロジカルに表しました。本館の車両ステーションが黒を基調とした空間であるのに対し、新館内部は白を基調として吹き抜け部に注ぐトップライトからの光の軸を中心に、展示室を配置する空間構成としました。

     

     本館とつながる連絡通路は、鉄やコンクリートといった鉄道に関する素材をあえて無骨なイメージのまま用いることで、鉄道の持つ力強さをイメージさせるようなデザインとしています。

     

     新館1階は白を基調とした明るい空間の中で、新幹線車両がショールームに展示されているような雰囲気とするとともに、外部の在来線の風景を窓から取り込み、外部と内部の対比を感じられるようにしました。

     

     2階の未来ステーションは未来を想起させるため、より白を強調しました。また、外部から展示の様子が見えるように窓を大きくし、外観上も突出した形態とすることで、ガラス箱の展示空間のように見せています。

     

     一方、1・2階の仕事ステーションと3階の歴史ステーションは、体験や展示を主体とするため黒を基調とし、4階のレストランはだれもが快適に過ごせるように、気品のある落ち着いた茶系の素材・色を用いています。

     

     また、各部の内外装には疾駆する車両の流れのイメージをラインの組み合わせでパターン化してデザインに組み込むことで、新館全体の統一感を持たせました。

     

     展示とともに空間の特徴も感じながら、鉄道博物館を末永く楽しんでもらえればと思います。

     

    東日本旅客鉄道株式会社上信越工事事務所担当課(設備)課長 飯野 直志

     

    【施工メモ/営業線近接に万全の体制】

     

     「安全と品質の確保には一切妥協しない」。鉄道博物館新館新築・本館改修他工事共同企業体の中本隆設所長(鉄建建設)は、このような基本方針を掲げ、社内外から大きな注目を集めたプロジェクトを、延べ約35万時間に及ぶ無事故・無災害で完遂した。

     

     新館の建設地は、在来線と新幹線に挟まれた場所で、列車運行に影響を与えないよう、細心の注意が求められる営業線近接工事となった。常に、工事関係者と事前に綿密な打ち合わせを行い、万全の体制で日々の施工に臨んだ。1フロアの階高が6mと高いため、特に墜落災害の防止には気を配った。

     

     展示物が主役の博物館という性格上、色づかいやデザインといった建物意匠はいたってシンプル。その分、「ごまかしがきかない」(中本所長)と気を引き締め続け、精度管理を徹底した。

     

     現場では働き方改革にも取り組み、2017年4月以降は「月に1回は土曜日を閉所し、工程の合間などには2回閉所した」(同)という。

     

     中本所長自身、博物館の施工は初めての経験だった。「おそらく未来永劫残る建物であり、思い出深い現場となった」と目を細める。

     

     地中から出てきた支障物の撤去などで工期はタイトだったが、「各協力会社が段取りよく、工程についてきてくれた。施主や設計事務所も非常に協力的で、スムーズに工事を進められた」(同)というように、関係者が一丸となって、全国から注目される鉄道博物館のバージョンアップを成し遂げた。

     

    ◆建築概要

     

    ▽工事名称=鉄道博物館新館新築・本館改修他

     ▽工事場所=埼玉県さいたま市大宮区大成町3-47

     ▽建築主=公益財団法人東日本鉄道文化財団

     ▽設計・監理=東日本旅客鉄道株式会社上信越工事事務所一級建築士事務所、株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所、他

     ▽施工=鉄建建設・第一建設工業共同企業体、日本電設工業株式会社、他

     ▽展示設計・施工=株式会社トータルメディア開発研究所

     ▽構造・階数=S造4階(南館)

     ▽延べ床面積=約6000㎡(南館)

     ▽建築面積=約2000㎡(南館)

     ▽敷地面積=約4万9300㎡(全体)

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    掲載日: 2018年7月5日 | presented by 建設通信新聞

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