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  • 建設論評・建設業と熱中症

     7月の全国安全週間が終了した。6月の準備月間から建設各社は安全大会を開き、安全意識の高揚に向けて、本社、協力会社の社員が機運を盛り上げた。大会で培った高い志が、1年間継続してほしいと願うばかりである。一方、全国安全週間の終了と軌を一にするかのように、全国で暑さも本格化してくる。ことしも連日の真夏日で、酷暑にうんざりする日々が続くだろう。

     

     建設業では、労働災害の撲滅と合わせて熱中症への対策も求められる過酷な日々がやってくる。厚生労働省による2017年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確報)によると、17年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は544人と、16年よりも82人増加し、うち死亡者は14人と、2人増加した。熱中症による死傷者は、11年以降、毎年400-500人台で高止まりの状態にある。17年の業種別の死亡者をみると、建設業が全体の約6割を占める8人と、最も多く発生している。また、過去5年間(13-17年)の月別の死傷者数は、全体の約9割が7、8月に発生している。17年の死亡者は7月が9人、8月が5人と、この2カ月間に集中している。

     

     炎天下での屋外労働を余儀なくされる建設業は、他産業よりも、より具体的な対策・対応が求められることは言うまでもない。

     

     同省によると、17年に熱中症により死亡した14人について、13人は災害発生場所でのWBGT値(暑さ指数)の測定を行っていなかったり、計画的な熱への順化期間が設定されていなかったことが明らかになっている。また、4人は事業者が水分や塩分の準備をしておらず、5人は労働安全衛生法第66条に基づく健康診断を受けていなかった。これらは、いずれも労働者個人の対策では限界があることを物語っている。

     

     職場の熱中症対策として、「高温多湿な場所での作業を、長時間連続して行うことを避ける」「のどが渇いていなくても水分と塩分の摂取を定期に行う」「緊急事態が発生した時のために、責任者や指示系統を再確認しておく」ほか、日常生活でも「十分な睡眠をとる」「前日のアルコールの飲み過ぎを避ける」など、さまざまな防止策が挙がっている。

     

     仕事がら工事現場の取材に行くことも多いが、少子化の影響で、若者よりも高齢者の姿を多く見かけるようになったと感じる。若者に比べ体力の劣る高齢者は、一層の注意が必要だ。不幸な事故を繰り返してはいけない。繰り返しになるが、労働者個人の対応だけでは限界があり、事業者側が責任を持って、対策を促すことが必須だ。

     

     最近は、小型送風ファンが取り付けられた作業服も開発されている。こうした技術の進歩も可能な限り積極的に取り入れるべきだ。(打)

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    掲載日: 2018年7月10日 | presented by 建設通信新聞

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