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  • 技術裏表・オービック御堂筋ビル新築工事のBIM展開(上)/鹿島関西支店

    【複合高層施工にBIMフル展開/成功のカギは構造、設備の早期整合】

     

     鹿島関西支店は、大阪の御堂筋通りで施工している複合高層ビル・オービック御堂筋ビル新築工事で、現場を中心にした“フルBIM”に挑んでいる。建築・構造・設備の統合BIMモデルを中心に設計からメンテナンスまでのワークフローを構築しながら現在進行形でBIMを発展させている。北村浩一郎所長は「現場が教育・普及の場となり、メーカーやサブコンなど関係者を巻き込むことでBIM活用のエネルギーを増している」と実感する。最新のICTを結集した現場の動きに迫った。 オービック御堂筋ビル新築工事(大阪市中央区淡路町4-18)は、商業テナント・オフィス・ホテルなどの複合高層ビルとなり、規模はS・SRC・RC造地下2階地上25階建て延べ5万5526㎡。設計から一気通貫のフルBIMを進めている。2017年5月に着工し、18年躯体工事完了、20年1月末の竣工を予定する。

     

     BIM推進のかじを取る北村所長は「13年、フィリピンのAIDEA社の視察が今回のプロジェクトの原動力となった」と明かす。設計・BIMコンサルタントのAIDEA社は、設計、計画、解析、申請などあらゆる場面でBIMを使いこなしていた。「いつか日本で本格的なBIMに取り組みたい」との思いをこの現場で具現化した。

     

     一方で支店内でも少しずつBIMの導入を進めていた。その中心にいたのが設備を担当する加藤誠副所長であり、「BIMの可能性を信じて地道に取り組んでいた」と当時を振り返る。今回、北村所長から声を掛けられ、「やりたいことができる環境になる。どこまで行けるか試したい」との思いから「フルBIMでやろう」と思いが一致し、プロジェクトが動き出した。

     

    ◆図面不整合ゼロを実現

     

     まずは、基本設計段階に設計と現場の職員、設備サブコンによるBIM戦略会議を立ち上げ、施工側の意見を反映させながら意匠、構造、設備の設計モデルを統合した「基本モデル」を作成した。見える化した図面から不具合を洗い出し、会議で問題解決することで検討速度が大幅に向上。構造体の概算数量や主要な仕上材、外装材も瞬時に数量把握でき、工事費をコントロールしながら設計を進めた。

     

     実施設計では基本モデルをベースに詳細を詰めた。目標は「施工で使える設計モデルの作成と着工時の“図面不整合ゼロ”」だ。各設備サブコンも電気、空調、衛生モデルを作成し、躯体の納まりや設備間の干渉をチェックした。山のような懸案項目を限られた時間で処理するため、「干渉個所を重要度で分け、設計者が参加する戦略会議で画面を見ながら方針を決めた」と加藤副所長は振り返る。着工後に検討する鉄骨スリーブの位置も実施設計段階で確定し、不整合ゼロを達成した。

     

     そうしたメリットの1つに、フロントローディングによる施工の合理化をあげる。例えば基準階の設備機器や配管をBIMで最適化し、各階でパターン化した。材料は工場でプレハブ化し、ユニット化して現場で取り付ける合理化施工につなげた。躯体と設備のBIMモデルを整合することで「意匠、構造、設備に横串が通り問題が起きたときの風通しがぐっとよくなった」と評価。「成功のかぎは構造と設備の早期整合にある」と確信するに至った。

     

    ◆BIM人材の裾野を拡大

     

     一方、課題となったのがBIM人材の不足だ。「社員、協力会社、オペレーターの育成が急務であり、現場が教育・普及の場になるよう勉強会を開いている」と北村所長は語る。例えば設備サブコンでは、協力会社8社のBIMソフトを『Rebro』に統一し、2週間に1回のペースで勉強会を開いている。

     

     さらにBIMの裾野を広げるため、メーカーにも積極的な参加を呼びかける。特に「エレベーターや機械式駐車設備のメーカーはこの1年で急速に成長した。スペシャリストといえる人材が育ち社内展開も進めている。メーカーが本気になることでBIMの可能性は大きく広がる」と手応えを語る。

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    掲載日: 2018年7月20日 | presented by 建設通信新聞

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