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  • 株主、投資家の理解 手探り/建設企業ESG開示 働き方改革コストに焦点

    【中長期の成長戦略で腐心】

     

     上場する建設企業が、株主や投資家などに自らの企業成長戦略を理解してもらう取り組みに腐心している。東京証券取引所が6月に公表した「改訂コーポレートガバナンス・コード」で、会社の財政状態、経営戦略、リスク、ガバナンスや社会・環境問題など非財務情報、いわゆるESG(環境・社会・ガバナンス)要素の開示が明確化されたことが理由だ。また、収益還元を求める投資家らに対して、中長期の建設市場変化に備えるための投資を含めた企業戦略の理解促進も大きなかぎとなっている。今後のIR(投資家向け広報)では、働き方改革の取り組みに伴って発生するコストへの対応説明が焦点になりそうだ。

     

     「キャッシュ(利益)の使い道と還元について聞きたい」--。近年のIR説明会で必ず参加者から出る質問だが、建設企業に限って言えば質問者には額面どおりの文言とは別の意味合いが含まれるケースも多い。額面どおりの意味とは、配当や配当性向、自己株式取得といった株主還元策を問うもの。もともと東証のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)策定時や改訂時の議論で、日本企業が利益を社員や株主などに還元せず、内部留保として積み増す傾向の強いことが問題視されていた。大きく分けて、社員・株主還元と内部留保のほかに利益の使い道として、企業がさらに成長するためのさまざまな投資がある。

     

     しかし建設企業に関心を抱く投資家など資本市場関係者からは、「建設業界はバブル時の投資で大きな失敗をしている。人材やノウハウもない中で、同じ失敗を繰り返すのではないか。だから投資をするなら、株主に還元すべきだ」との声が高まりつつある。

     

     実際、配当性向が大手ゼネコンなどの25%程度に対し、ある準大手ゼネコンは2018年3月期決算で49.9%と5割まで高まった。また、PER(株価収益率)とROE(自己資本利益率)改善につながる自己株式取得に踏み切る企業らが配当性向の高い企業とともに高い評価を受けている。

     

     投資のグローバル化で国内市場が主戦場の建設企業でも外国人投資家が株式の2、3割を保有する時代。いかに短期的視点だけではなく、中長期視野に立った自社の成長戦略を理解してもらうか、これまで以上に問われている。

     

     改訂企業統治指針が施行された2018年度は、建設業界にとって働き方改革の取り組みが本格化する年であり、生産性向上も合わせ、いかに収益確保をもう一段向上できるかが試金石ともなりそうだ。

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    掲載日: 2018年8月1日 | presented by 建設通信新聞

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