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働き方改革への関心中小で急速に広がる/厳しい局面へ 自覚じわり/建設業向け支援を不安視
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>中小建設企業の間で働き方改革に対する関心が急速に広がっている。罰則付きの残業時間上限規制の建設業への適用は2024年4月と、猶予はあるものの現状のままでは上限規制がクリアできないほか、コストアップで企業存続も危うい可能性が高まっていることを認識し始めたからだ。政府は経済界も巻き込んで、建設業界の働き方改革と生産性向上支援に全力を挙げる。ただ支援効果は当初、発注体制が整っている機関や企業に限定される可能性が高い。その結果、中小建設企業が支援効果の対象からこぼれ落ちてしまうことに危機感を募らせているという構図だ。 政府は建設業界の働き方改革と生産性向上への取り組みに対し、異例の支援体制を敷いてきた。昨年8月に政府が公表した『建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン(適正工期設定指針)』は、指針が民間工事にも適用されることを明記、日本建設業連合会の要請を受け入れた格好となった。
さらに6月末の働き方改革関連法成立を受け7月2日には適正工期設定指針第一次改訂を公表した。住宅・不動産や鉄道、電力、ガスといった分野別の民間工事の受発注者双方が考慮すべき業種ごとの重要事項を例示し、適正な工期設定の協議を求めた。
また週休2日工事の国土交通省発注の土木工事と営繕工事における補正係数についても細かく明記した。さらに生産性向上について、BIM/CIMとフロントローディングの積極的活用、新技術活用促進などを追記した。
この異例とも言える 政府や国交省の対応が、「もしこれを現実に発注者が 対応してくれるなら、なんの問題もない」(ある中小建設企業経営者)という前向きな評価につながった一方で、不安も増幅させることになる。
改訂版として追加された国交省の週休2日工事の考え方の最後に、「上記の考え方について、地域の実情等により対応が困難な場合等には、これによらないことができる」との文言があったからだ。
中小建設企業が不安を募らせたのは、中小建設企業の受注主戦場は公共事業の場合は基礎自治体発注工事、民間工事の顧客も中小企業のケースが多い中、「国交省や県(広域自治体)が当たり前のように話す“担い手3法”についても、よく知らないため設計変更などの対応に応じない自治体や、民間発注者も中小企業であることを踏まえれば、改訂適正工期設定指針に対応するとは思えない」ことが理由。
建設産業界に対する働き方改革と生産性向上へ向けた異例の支援は、皮肉なことに地方建設業界を始め中小・零細元請け経営者、中小・零細下請け経営者に共通する不安を浮き彫りにさせる形になった。
いま多くの中小・零細企業経営者の見方は「もともと(経営規模が)大手・準大手、中堅企業の100分の1、1000分の1程度しかない多くの中小企業にとって、生産性向上のICT投資が難しいのは最初から分かっているはず。働き方改革も含め、政策の方向性に異論を唱えられるような雰囲気はなかったし、方向性自体も間違っていない」ことで一致している。さらにもう1つ、次のような見方もしている。「大手や準大手企業と職人にとって、いまの動きは追い風だろう。しかしわれわれは違う。もし自治体の対応が変わらなければ今後、中小・零細企業とその経営者だけが厳しい状況に直面する」
残り50%掲載日: 2018年8月6日 | presented by 建設通信新聞