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DIVERSITY働きかた・大建工業/残業禁止宣言が意識を変えた/20時にはPCシャットダウン/総労働時間3%削減目指す
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>大建工業の働き方改革が新たなステージに入ろうとしている。2017年2月に億田正則社長が働き方を変える第一歩として『原則20時以降と7時以前の残業禁止』を宣言したことがきっかけとなり、社を挙げて改革を本格化させた。「この宣言がスタート地点となり、社員の意識は大きく変わり始めた。18年度は総労働時間の3%削減を目指す」と、働き方改革推進室室長を務める黒田幸照総務人事部副部長は手応えを口にする。
同社が働き方改革に取り組み始めたのは、15年5月のことだ。総務・人事部門が先導し、各部門の次長クラスを集めたプロジェクトチームを立ち上げ、問題点を抽出しながら、フレックスタイムや朝方勤務といった制度を試験導入してきたが、働き方の大改革にはつながらなかった。
意識改革のきっかけをつくったのは、億田社長の発案による宣言だった。ノー残業デーや20時の一斉消灯など長時間労働削減に向けた取り組みを進めてきた同社だが、それまでは社員の意識そのものを変えることはできずにいた。『原則20時以降と7時以前の残業禁止』を明確化し、それに合わせ全社員に 配布したPC(パーソナルコンピューター)を自動シャットダウンする試みも取り入れた。「強制的なやり方ではあったが、これが働く意識を変える有効な手段になった」と黒田室長は考えている。交代勤務者や決算期の経理担当は適用除外にしたものの例外を増やしてしまえば、そこに社員が流れてしまう。当初は外回りを終えた後に業務報告書類などを作成することが多い営業担当などからは不満の声も出ていた。
自動シャットダウンは5分前になるとカウントダウンが始まる仕組み。ことし4月からはPCのログデータを勤怠管理に連動させる試みもスタートした。自動シャットダウンの試みをヒアリングした結果、受注機会の損失や得意先への請求遅れなどを指摘する声はあるものの、業務の優先順位を付ける仕事のやり方に変更する意識が芽生え、会議削減や部内資料見直しによる時短の効果が出てきた。
働き方改革の啓蒙活動として、推進役のプロジェクトリーダーが全国の支店を回り、改革の意義や取り組み方法などを説明、意見を交わしながら社内の意識改革も推し進めていった。黒田室長は「一人ひとりが自らの働き方にしっかりと向き合っていることを実感した」と強調する。社内では一歩先を行く(イク)上司(ボス)を表した『イクボス』宣言を打ち出し、管理対象者332人の中から投票により優秀者を選定するなどの試みも展開。働き方改革によって創出された時間を自らのスキルアップに投資してもらうため、1人当たり3万円の自己啓発奨励金の支給も決めた。
中期経営計画の基本方針にも働き方改革の取り組みを位置付け、17年10月には就業規則も改定した。これまで45分間だった昼の休憩時間を60分に拡大、それによって就業時間を17時30分から17時45分に変更。休憩を増やし、仕事への集中力を引き上げるとともに後ろ倒しされた就業時間の15分間をフレキシブル退社時間に設定し、社員は17時30分から退社できるようにした。
働き方改革関連法案が可決、成立した。黒田室長は「関連法への対応とともに、社としても具体的な数値目標を掲げて働き方改革を推進していく」と前を向く。年間20日の有休休暇では50%の取得率を前提に推進中。平均取得日数は9日台となり、ほぼ計画どおりに進むが、年齢層が高くなるにつれ取得率が上がっていないこともあり、さらなる推進を図る。
18年度の目標に位置付ける総労働時間の3%削減は、17年度比で1日当たり15分、月にして5時間の残業削減が必要だ。「ちょうど15分間のフレキシブル時間分を時短できれば達成できる。既に業務を改善しながら社員それぞれが働き方改革を実行している。さらに一歩踏み込むには意識付けが何よりも大切だ」と黒田室長は先を見据える。
残り50%掲載日: 2018年8月6日 | presented by 建設通信新聞