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  • 民間建築市場の行方 2つの見解/不動産業の貸出残高増加/設投借入額は減少

     建設市場規模で最も大きい民間発注の中で、3分の1を占める「不動産業」の2018年3月末の期末貸出残高が前年同期比5.8%増と積み上がっている。建設企業にとって民間発注者としての顧客でもある不動産業が借入額を増やしていることは、今後の建築工事発注への期待にもつながる。ただ、新規借入金が減少に転じるなど不安材料もある。企業規模によって見方は大きく異なるが、動向の行方を冷静に注視する局面に差し掛かっているとも言える。 日銀による、国内銀行の業種別貸出残高などをまとめた18年3月末の「貸出先別貸出金」によると、「不動産業」の期末貸出残高は前年度比4兆2032億円増加の76兆5000億円となった。14年同期比では14兆9902億円の増加で、毎年3兆円ずつ借入額を増やしている計算だ。

     

     さらに大規模開発事業などで使われる「不動産流動化等目的のSPC(特別目的会社)」の期末貸出残高も、前年度比4617億円増の6兆3647億円と4年ぶりに6兆円台の大台に乗った。

     

     一方で、設備投資目的の新規借入額が減少に転じたという不安材料もある。「不動産業」の設備資金新規貸出額は前年同期と比較して3179億円減の3兆4655億円にとどまったほか、「流動化等目的のSPC」の設備資金新規貸出額も528億円減の2750億円となった。これまで16年3月末、17年3月末と2年連続して不動産業と流動化等目的SPCの設備投資目的の新規貸出額は合算で、4兆円台を突破、旺盛な民間建築需要と市場拡大期待を裏付けていた。

     

     しかし18年3月末の不動産業とSPCの新規貸出額は合算で3兆7405億円と前年同期比9.0%減、額にして3707億円も落ち込んだ。設備投資目的の借入額が減少に転じたことへの見方は楽観論と悲観論で分かれる。

     

     ある準大手ゼネコン関係者は、「手持ち工事量も多く、すぐに影響が出るなどということではない。ただ厳しく見れば受注量を今後も維持できるかどうかの問題だ」と話す。

     

     実は、統計上の不安材料がもう1つある。近年の建築物の構造別需要トレンドを表してきた国土交通省の建築着工統計だ。特に躯体3職種のうち、鉄筋コンクリート(RC)造から鉄骨(S)造へ構造変更するケースが相次いだ結果、非木造構造で主流のRC造に携わる型枠大工と鉄筋工の2職種の仕事量が激減したことは統計からも示されていた。

     

     実際RC造の年度建築床面積は、リーマン・ショック後に市場規模が大幅減少した09年度よりも17年度はさらに落ち込んだ。一方、S造は16、17年度と2年連続して前年度比を上回る建築床面積となったが、ここに来て市場規模に大きなブレーキが掛かり始めている。昨年12月から6月までの7カ月で前年同月比増加となったのは3月の1カ月だけで、あとはすべて減少に転じている。

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    掲載日: 2018年8月20日 | presented by 建設通信新聞

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