不動産の企画・開発を行うディベロッパーは「街づくり」に携わる魅力的な業界です。今回は、ゼネコンのパートナー的存在であるディベロッパーについてご紹介します。
ディベロッパー(developer)は「開発者」を意味します。不動産開発業者(ディベロッパー)は主に不動産の企画・開発を行い、実際の工事はゼネコンへ発注します。こういった関係性から、ゼネコンとディベロッパーはパートナー的存在であると言われているのです。
ディベロッパーの基本的な収益は大きく分けて「建物の売却益」「建物を貸し出すことによる賃貸料」の2種類です。例えば住宅・マンションを売って売却益を得たり、商業施設を建ててそこに入るテナントから賃貸料を得るといったビジネスモデルが挙げられます。
ディベロッパーには多種多様な不動産の企画・開発を行う総合ディベロッパーと、住宅や商業施設など特定の不動産に特化した専門ディベロッパーが存在します。このように、一口にディベロッパーと言っても企業によって特徴や強みが異なるのです。
この記事では、そんな街づくりの仕掛け役であるディベロッパー大手6社「三井不動産」「三菱地所」「住友不動産」「東急不動産ホールディングス」「野村不動産ホールディングス」「森ビル」について解説していきます。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
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1兆9,056億4,200万円 | 2,585億1,000万円 | 20,864人 | 40.9歳 | 11.0年 | 1,273万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース |
オフィスビルや商業施設、ホテルなど総合的に強みを持つ業界最大手のディベロッパーです。
主要開発エリアは東京・日本橋で、東京ミッドタウン(港区赤坂)やコレド室町(中央区日本橋)などを手掛けています。売上高は賃貸32%、分譲29%、マネジメント20%、三井ホーム14%、その他の事業5%と総合的な強みを持ち、安定した事業基盤を築いています。
現在は東京・日本橋、八重洲、日比谷などで再開発を進めており、今後は既存事業、新規事業におけるICT活用に加え、海外での地域一体開発を強化していく方針です。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
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1兆3,021億9,600万円 | 2,195億7,200万円 | 9,619人 | 41.3歳 | 16.2年 | 1,273.5万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース |
1890年に東京・丸の内一帯を購入して開発を進めてきた歴史から、主要開発エリアは丸の内、大手町となっており、代表的な物件として丸ビル(東京都千代田区大手町)や横浜ランドマークタワー(神奈川県横浜市)などがあります。特に丸の内に関しては多くの不動産を保有しているため、賃貸事業でかなりの強みがあります。三菱地所はこういったオフィスビル事業を中心に行い、現在は東京・丸の内と隣接する大手町、有楽町でも一体開発を展開しています。
また、海外事業の展開にも積極的なのも三菱地所の特徴の1つで、今後は経済発展が著しいアジアでの開発を進めていく方針です。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
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1兆135億1,200万円 | 2,205億2,000万円 | 13,676人 | 43.1歳 | 7.6年 | 679万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース |
主要開発エリアは新宿で、東京都心部を中心としたオフィスビル賃貸、分譲マンション事業に注力しています。マンション供給戸数は首位を誇り、オフィスビル事業に依存しない経営体制となっています。
再開発においては、六本木、西新宿、飯田橋エリアをはじめとした都心36ヵ所、建物延床面積で言うと約269万平方メートルの実績を誇ります。代表的なものですと、泉ガーデンや住友不動産新宿グランドタワーなどの大規模複合開発を行ってきました。
三井不動産や三菱地所に比べると売上高は引けを取りますが、営業利益率が高いのが特徴です。
※三井不動産(14.73%)/三菱地所(18.49%)/住友不動産(23.12%)
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
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9,631億9,800万円 | 674億9,900万円 | 22,953人 (単体67人) |
44.3歳 | 18.3年 | 1,137.2万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース ※同社は純粋持株会社で、従業員は東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブルからの出向者で構成 |
東急グループの1社で、オフィスビル事業や都市事業、住宅事業、海外事業、小売事業など幅広い領域で事業展開している総合不動産企業です。主要開発エリアは渋谷で、東急電鉄と組んで渋谷駅周辺を再開発中です。
鉄道系の東急不動産はグループの強みを活かして事業展開しているのが特徴で、東急プラザやキュープラザなど大規模な商業施設を手掛けており、今後も東急線沿線を中心とした地域一体開発が期待できます。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
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6,764億9,500万円 | 730億7,700万円 | 7,176人 (単体24人) |
47.8歳 | 2.8年 | 946.3万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース ※同社は純粋持株会社で、従業員は主に野村不動産及びグループ会社からの出向者で構成 ※平均勤続年数について出向元での勤続年数は含まれない |
マンション分譲が売上高の半分以上を占め、建設・販売・管理一貫体制に特徴があります。
主要開発エリアは新宿で、諸都県を中心に「PROUD」ブランドのマンション・戸建てを供給し、オフィスビルに関しては中規模サイズかつ高級路線の「PMO」で他社との差別化を図ります。
今後は都市型コンパクトタウンへの取り組みを強化し、野村不動産の強みを活かした「住宅を核とした大規模複合開発」を推し進めています。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
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2,502億2,200万円 | 607億2,400万円 | 3,522人 | 43.1歳 | 15.4年 | 888.9万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース |
都市再開発事業、不動産賃貸・管理事業、文化・芸術・タウンマネジメント事業を展開する総合ディベロッパーで、六本木ヒルズや表参道ヒルズ、虎ノ門ヒルズなど都心に大型複合施設を複数所有しています。そのため営業収益において賃貸管理事業の割合が大きく、安定経営を保っています。
「Vertical Garden City – 立体緑園都市」を都市のヴィジョンに掲げてコンパクトシティの実現を目指し、主要開発エリアである六本木、虎ノ門を中心に都市再開発を行っています。
2023年に、高さ日本一(330m)となる超高層ビルを虎ノ門に竣工すると公表し、近年注目を集めている企業でもあります。
ディベロッパーは社会情勢に大きく左右される業界です。現在は2021年に開催されるオリンピックの影響を受けて盛り上がりを見せていますが、景気が悪くなると業績が落ちる可能性もあります。
とはいっても、都市部に不動産を抱える大手ディベロッパーや幅広く事業展開しているディベロッパーは安定経営を継続できると考えらえます。
ディベロッパーは社会情勢に合わせて柔軟に事業展開していく必要がありますので、今後は訪日観光客向けの都市再開発や、少子高齢化に着目して高齢者向けの事業展開を進めていく事が予想できます。
ディベロッパー業の仕事はひとつの建物を建てるにとどまらず長期に亘る計画のもと街づくり・再開発をしていく、ダイナミックで規模の大きな仕事ができる業界です。そのため、職務内容にもよりますが資格や経験が必要とされることがほとんどです。また、資格を持ち実務経験があったとしても、それだけでは転職は容易なことではありません。
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