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ゼネコンの下請けとして建築工事の一部を担うサブコン各社の中でも「電気設備工事」に強い大手5社をご紹介するとともに、足元の業績と今後の業界動向について解説していきます。

サブコンとは、主に各種設備工事を請け負うゼネコンの下請企業のことを言います。通常、大規模な建築工事が行われる場合には発注者がゼネコンに工事一式を依頼し、ゼネコンがサブコンに工事の一部である設備工事を依頼する形をとっています。

いわばゼネコンの下請けではありますがその技術力は非常に高く、現場ではゼネコンと対等の位置づけで働くことにもなります。

サブコンは建築時だけでなく、建物を引渡した後のメンテナンスにも携わります。そのため活躍の場は想像以上です。建設産業はこういった「重層下請構造」から成り立っていますので、建設産業ひいては国を支えるのに、サブコンはなくてはならない存在なのです。

その中でも、本記事でご紹介する『電気設備工事業』は建物内の送電線、配電盤、電灯、電力機器などの電気設備の設置・修繕工事を専門としている企業で、「関電工」「きんでん」「九電工」「トーエネック」「ユアテック」などが業界を牽引しています。

電気設備工事業とは?

「電気設備工事業」とは、建物の設備工事のうち、主に建物内の送電線、配電盤、電灯、電力機器などの電気設備の設置・修繕工事を専門としている工事業者を指します。

 

業界TOP10の売上高は9社が前年を上回り、5社が増収増益となりました。10社合計の売上高は前期比11.2%増、営業利益は7.7%増、経常利益は6.4%増となっています。2021年3月期の業績予想については8社が未定としており、新型コロナウイルス感染症拡大が業績に与える影響について不透明要素が多いと考えられています。

 

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それでは、電気設備工事業主要5社を個別に見ていきましょう。

株式会社関電工の概況と強み

売上高 経常利益 従業員数 平均年齢 勤続年数 平均年収
6,161億4,300万円 355億6,500万円 7,350人 41.6歳 19.1年 764.4万円
※2020年3月期の有価証券報告書より作成
※売上高・経常利益は連結ベース。他は単体

1944年に設立した東京電力系の総合設備会社で、電気設備工事業界を牽引しています。親会社が東京電力であることから電気設備工事に強みを持ち、屋内線・環境設備、情報通信設備、電力設備の分野で数多くの特許を取得しています。

 

電気設備工事の施工実績として東京スカイツリーや渋谷ヒカリエ、東京ビッグサイト、表参道ヒルズなどがあり、大規模な工事に携わっています。

 

クアラルンプール国際空港、シンガポール国立大学、香港ワンチャイタワーなど、近年は海外工事の受注も行っています。

 

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株式会社きんでんの概況と強み

売上高 経常利益 従業員数 平均年齢 勤続年数 平均年収
5,859億500万円 467億2,700万円 7,645人 41.6歳 20.1年 876.6万円
※2020年3月期の有価証券報告書より作成
※売上高・経常利益は連結ベース。他は単体

きんでんは1944年に「近畿電気工事株式会社」という社名で関西電力の工事部門として発足し、当初は配電工事を事業の中心としていました。徐々に事業領域を拡大して総合設備会社になったことから、1990年4月に「きんでん」へ社名変更をし、さらなる事業領域の拡大と海外展開を推し進めます。近年は海外事業やVPP(バーチャルパワープラント)構築実証事業に力を入れ、安定経営を図ります。

 

こういった大規模なプロジェクトに携わる事もありますが、きんでんは学校やホテル、商業施設など身近な電気設備から都市のライフラインを担う大規模電力の供給まで幅広く携わっています。身近な電気設備工事の施工実績ですと、東京ミッドタウン日比谷、GINZA SIX、東京国際フォーラムなどがあります。

 

※同社の事業は設備工事事業単一、かつ売上高の90%以上が国内のためグラフの掲載は省略します。

株式会社九電工の概況と強み

売上高 経常利益 従業員数 平均年齢 勤続年数 平均年収
4,289億3,900万円 386億4,300万円 6,287人 38.7歳 16.5年 683.7万円
※2020年3月期の有価証券報告書より作成
※売上高・経常利益は連結ベース。他は単体

九電工は昭和19年に創立し、九州を中心に電力の配電線工事、電気工事や空調管設備工事などでインフラに貢献してきた総合設備会社です。施工実績も九州を中心に、北九州メディアドーム、東九州自動車道尺間トンネル、ハウステンボス太陽光発電設備などを手掛けています。

 

九電工は電気工事の他に配電工事、空調管工事をメイン事業としますが、事業領域を拡大するため、2018年3月には総合設備会社であるエルゴテック(株)を子会社化し、収益の柱を増やす動きがうかがえます。

 

今後は九州のみならず首都圏での事業拡大、東南アジア諸国への進出に注力すると表明しているため、伸び代があると言える企業です。

 

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株式会社トーエネックの概況と強み

売上高 経常利益 従業員数 平均年齢 勤続年数 平均年収
2,248億4,300万円 125億1,100万円 4,858人 41.3歳 19.4年 687.3万円
※2020年3月期の有価証券報告書より作成
※売上高・経常利益は連結ベース。他は単体

株式会社トーエネックは中部電力グループの子会社で、愛知県、長野県、岐阜県、三重県、静岡県と中部地方を事業エリアとしています。バックに中部電力がついていますので、将来的にも安定性のある総合設備会社でしょう。

 

中期経営計画では首都圏における営業活動の強化に加え、海外事業基盤の強化・拡大を掲げています。グループ会社の経営資源を活用しながら、成長分野へ参画する事が課題となりそうです。

 

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株式会社ユアテックの概況と強み

売上高 経常利益 従業員数 平均年齢 勤続年数 平均年収
2,027億6,000万円 73億3,800万円 3,747人 41.6歳 19.1年 695.3万円
※2020年3月期の有価証券報告書より作成
※売上高・経常利益は連結ベース。他は単体

昭和19年の創立以来、総合設備会社として東北を中心に事業を展開してきました。名前からはわかりにくいですが東北電力グループのため極めて安定した企業と言えます。

 

工事に関しては小規模なものから大規模なものまでを手掛けており、都市ビルや病院、ホテル、個人住宅など多岐にわたるフィールドで活躍しています。大規模な工事実績ですと、上越市立水族博物館うみがたり、鶴岡サイエンスパーク、弘前市運動公園野球場などが挙げられます。

 

事業活動の基盤は東北6県と新潟県で、今後は関東圏や海外へも事業を展開していくとしています。

 

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サブコン(電気設備工事)業界のこれから

2021年に開催される東京オリンピックに向けて建設需要が増えていますので、電気工事を担うサブコンの仕事量も必然的に増えていきます。ホテルや商業施設、住宅など、あらゆる建物に電気が必要なため、建設需要が低下したとしてもサブコンの業績が暴落することはあり得ないでしょう。

 

2021年3月期の業界別の業績予想を見ると、総合工事業では6社が大幅な減収減益を予想しています。総合工事業の業績は電気工事業などサブコン業界にも大きな影響を与えることから、電気工事業を含め建設業界全体が厳しい経営環境になるのではないかと危惧されます。そこでサブコン業界はM&Aで事業領域を拡大したり、海外展開したり対策を取り始めています。

 

とはいえ、人々の暮らしには水や電気、ガスといったライフラインは欠かせません。そう考えると、電気設備工事業を含めサブコン業界は衰退することのない、安定した業界であると言えるでしょう。

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