人口減少や不景気で市場縮小しつつあるハウスメーカー業界は、今後どのように生き残っていくのでしょうか? 今回は大手ハウスメーカー4社の特徴や、ハウスメーカーの将来性について解説していきます。
ハウスメーカーという言葉はよく耳にしますが、どのような会社を「ハウスメーカー」とするかご存知でしょうか? 実はハウスメーカーに明確な定義はなく、一般的には規模の大きい住宅建設会社のことをハウスメーカーと呼んでいます。
住宅建設会社の事業は新しく住宅を建てるだけではなく、リフォーム事業や賃貸事業なども収益の柱となっているのです。
リフォームを得意とするハウスメーカーもありますし、マンション販売に特化したハウスメーカーもあり、各社で得意分野に違いがみられます。
今回は、ハウスメーカー大手の「大和ハウス」「積水ハウス」「積水化学工業」「住友林業」の特徴をご紹介していきます。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|---|
4兆3,802億900万円 | 3,676億6,900万円 | 47,133人 | 38.9歳 | 14.2年 | 918.5万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース |
大和ハウスは戸建てやマンション、商業施設などの住宅を扱う住宅総合メーカーであり、業界首位を誇ります。建築関連での売上高はスーパーゼネコンに匹敵するほどで、全体の売上高は4兆円を超えています。
都市開発や環境エネルギー事業、中古住宅の点検事業、リフォーム事業も手掛け、リフォーム事業においては地域密着型のリフォーム専門展示場を展開し、他社との差別化を試みているようです。企業買収で積極的な多角化をみせていますので、今後も新たな領域での事業展開が期待できます。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|---|
2兆4,151億8,600万円 | 2,139億500万円 | 27,397人 | 42.8歳 | 16.5年 | 802.2万円 |
※2020年1月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース |
業界首位の大和ハウスに売上高は劣るものの、戸建て住宅で業界首位を誇るハウスメーカーです。積水ハウスのブランド力から、国内のみならず中国や米国などへの海外事業展開も積極的に行っています。
リフォーム事業においては主に自社物件を扱っていますが、マンションや一般戸建てのリフォーム事業にも参入し、勢力を伸ばしつつあります。
2016年には株式会社鴻池組と資本業務提携し、事業拡大と売上高をあげてきています。なお、積水化学工業のハウス事業部から独立した歴史を持ちますが、現在は積水化学工業の連結対象からは外れています。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|---|
1兆1,292億5,400万円 | 869億9,600万円 | 27,003人 | 40.3歳 | 14.3年 | 903.8万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース |
積水化学工業は住宅事業、環境・ライフライン事業、高機能プラスチック事業を軸に、その他メディカル事業や海外事業なども展開しています。
同社のハウス事業部が1960年に積水ハウスとして独立したおよそ10年後に、再び住宅部門として設置されたのが住宅(セキスイハイム)事業です。
2020年3月期の事業別売上高をみると住宅事業が5,128億円(45.41%)、高機能プラスチック事業が3,152億円(27.92%)と売上高の多くを占めます。
ユニット住宅の先駆けで、「セキスイハイム」ブランドを強みに展開。住宅事業が売上高の多くを占め、現在はスマートハウスの積極展開を進めています。リフォーム・リノベーション事業においては主に自社物件を扱います。
今後は新築住宅の売上棟数を増やし、シェアを拡大していく方針です。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|---|
1兆1,040億9,400万円 | 588億2,400万円 | 19,332人 | 42.6歳 | 15.2年 | 858.7万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース |
住友林業は木質在来住宅の最大手で、戸建て住宅を中心に事業展開している大手ハウスメーカーです。山林経営や住宅販売、賃貸経営、リフォーム、海外事業などが事業の中核となっています。
社名にある通り木材にこだわった企業のため、住宅販売においても木造住宅を得意とします。近年、住宅販売戸数はやや落ち込みを見せており、国内の住宅販売戸数を北米、豪州が上回ってきています。
今後は住宅事業への注力はもちろんのこと、新たな領域での事業展開が予想されています。
2019年6月に野村総研が出した「2019~2030年度の新設住宅着工戸数」「2019~2030年のリフォーム市場規模」(※)によれば、2008年に起きたリーマンショックによる急激な減少の後、2014年と2019年の消費税増税前の駆け込み需要や2015年の相続税制改正による貸家供給量の増大などによって概ね90万戸台後半を保っていた住宅着工数が、今後10年間は緩やかながら減少傾向となり、2025年にはリーマンショック時と同等の年間73~78万戸となり、2030年には年間63~68万戸と現在の2/3程度にまで減少すると予測しています。
リフォーム市場についても横ばいかごく僅かな上昇にとどまると予想されています。したがって、住宅建設を本業とするハウスメーカーは今後厳しい状況に置かれることが予想されており、対策をとらなければ生き残ることはできません。
※レポートはこちら
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2019/cc/0620_1
日本国内の住宅事業においてはやはり、時代に合った住宅供給が課題となっていきそうです。各社の得意分野を、耐震性が高い住宅やバリアフリー住宅、オール電化、省エネ、デザイナーズ住宅などに注力していく必要があるでしょう。
また、住宅事業に依存するのではなく新規事業を展開し、多角化経営へ乗り出す企業も増えていきます。
このようにハウスメーカーは以前よりも厳しい状況にはありますが、住宅供給が無くなることはないため、適切な対策をとる会社であれば十分に将来性があります。
住宅建設会社であるハウスメーカー業界は現在、生き残りをかけて事業の多角化やM&Aなどによる収益体質の強化などさまざまなアプローチを試みている最中です。
本業である住宅建設分野では、各社が持つ強みをより活かし際立たせる傾向があり、職務内容にもよりますが資格や経験が必要とされることがほとんどです。また、資格を持ち実務経験があったとしても、それだけでは転職は容易なことではありません。
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