建設工事一式を請け負うゼネコンの中でも年間1兆円を売り上げる企業5社を特に『スーパーゼネコン』と呼びます。建設業界のリーダー的存在である5社の社風と得意分野をご紹介します。
「ゼネコン」は「General Contractor=ゼネラル・コントラクター」の略称で、直訳としては「総合請負者」となりますが、転じて「総合建設業」を意味します。総合と聞くと建設に関わる仕事を全て請け負うイメージが湧きますが、ゼネコンの仕事は基本的に「施工管理」をする事で、工事自体はそれぞれ専門の業者に外注しています。
仕事内容は「原価管理」「品質管理」「工程管理」「安全管理」の4大管理が主で、携わる建設物は企業の得意分野によって異なります。
「スーパーゼネコン」の定義は定められていませんが、全国に100社以上あるゼネコンの中でも完成工事高上位5社を指すことが多いようです。現在の大手5社は大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設、竹中工務店で、6位(2020年10月現在は長谷工コーポレーション)以下に企業規模や売上高で大きく差をつけています。
企業名 | 資本金 | 売上高 | 従業員数 |
---|---|---|---|
大林組 | 577億5,200万円 | 2兆730億4,300万円 | 14,993人 |
鹿島建設 | 814億4,700万円 | 2兆107億5,100万円 | 18,673人 |
清水建設 | 743億6,500万円 | 1兆6,982億9,200万円 | 16,297人 |
大成建設 | 1,227億4,200万円 | 1兆7,513億3,000万円 | 14,562人 |
竹中工務店(非上場) | 500億円 | 1兆3,520億6,400万円 | 13,355人 |
長谷工コーポレーション | 575億円 | 8,909億8,100万円 | 6,974人 |
※2020年10月現在の最新の有価証券報告書より作成 ※数字はすべて連結ベース |
それぞれ施工部門の他に設計、開発、研究、コンサルタント部門などがある他、子会社も抱えています。社風、規模も違えば得意分野も異なりますので、以下でスーパーゼネコン5社の特徴をご説明します。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|---|
2兆730億4,300万円 | 1,590億500万円 | 14,993人 | 42.6歳 | 17.2年 | 1,057.7万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・勤続年数・年収は単体。他は連結ベース |
1936年に設立し、2010年まで大阪を本社にしていましたが、現在は東京に本社が移りました。関西出身という事もあり、特に西日本での実績が多くありますが、東京スカイツリー®など首都圏でも実績があり、都市開発に強みを持ちます。
国内のみならず海外でPFI事業※を行っていて、国内のPFI事業ではトップシェアを占めています。近年は新領域事業として、再生可能エネルギー事業に注力しています。
※PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)のことで、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法を指します(内閣府HPより引用)。
売上高 | 経常利益 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|---|
2兆107億5,100万円 | 1,466億4,500万円 | 18,673人 | 44.2歳 | 18.5年 | 1,134.1万円 |
※2020年3月期の有価証券報告書より作成 ※平均年齢・平均勤続年数・年収は単体。他は連結ベース |
1840年に設立したゼネコンで、現社長である押味社長の掲げる「現場第一主義」が社風や仕事の仕方に反映されています。特徴的なのが現場への権限委譲で、利益管理を現場に任せるといった点から、現場出身である社長の熱い想いがうかがえます。
また、他のスーパーゼネコンと比べてグループ会社数が多く、グループ234社で事業領域を拡大している動きが目立ちます。
実績としてはお台場のフジテレビ本社ビル(FCGビル)、東京ミッドタウン日比谷、東京駅丸の内駅舎(再建および復元)など様々ありますが、特にダムや上下水道、トンネルなどの土木に強みを持ちます。
高さ100mを超える高層ビル(霞が関ビル)を日本で初めて建設したのは鹿島建設であり、海外展開にも積極的な姿勢を見せています。海外での不動産開発やM&Aにも積極的です。