二級建築士の仕事内容とは?給料や受験資格について解説します
建築士の資格には「木造建築士」「二級建築士」「一級建築士」の3種類の資格があります。
今回は、その中でも木造やコンクリート造、鉄骨造の一般的な戸建住宅を扱うことができる二級建築士についてご紹介します。
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二級建築士とは、建築基準法によって定められた、都道府県知事より認可された国家資格です。この資格を取得すると、建築のプロとして認められ、戸建住宅などの建築物の設計や工事管理などを請け負うことができるようになります。 建築学科などを履修して所定の科目を収めていれば実務経験なしで資格試験を受けることができます。 建築学科を履修していない場合でも、短い実務期間で受験資格を得られる場合もあります。大学や高等専門学校において、土木学科などを履修していた場合は実務経験1年、高等学校の建築もしくは土木学科を卒業している場合、実務経験3年で、二級建築士の受験資格を得ることができます。
建築・土木に関係した学歴を現在・過去において有していない場合は、設計事務所で設計や工事管理、施行管理に関係した仕事をしたり、官公庁で建築行政の業務に就いたり、大工として7年の実務経験を積むことで受験資格が得られます。 さらに、国家資格のため社会的ステータスも上がり、資格手当も支給されます。 二級建築士の資格手当は月々およそ5,000円~8,000円と言われています。
二級建築士の仕事内容は、主に2つです。
設計業務
建物を建てる際には、「どういった構造にするか?」「安全性はあるか?」「必要な設備はなにか?」「実用性は十分か?」「依頼者の要望に叶っているか?」「どういったデザインがよいか?」「法令に準拠しているか」など、様々なことを考えて設計を進めていきます。 実は建築士の資格を持っていなくても設計・工事監理できる範囲はあるのですが、構造的にも性能的にも満足でき、さらに法規的にも問題がない設計をすることは難しいと言えるでしょう。
また、建物を建てる際に何より大切なのは「安全性」です。
建築士法では建築物の安全性を確保するために、建築物の規模に合わせて各種建築士が設計・工事監理することが義務付けられています。 建物や土木に関する知識を十分に持った二級建築士が設計することで、安全かつ実用的な建築物が建てることが可能になります。 設計作業は建物を建てる際の基盤であり、土台である非常に重要な工程です。
工事監理業務
設計をしたら職人に建築工事を任せて終わりではありません。 造られた設計図通りに正しく建築が進行しているのかを確認していく必要があります。 ここでしっかりと監修をしないと、設計図が正しくても、後ほど安全性が欠けた建造物が完成してしまう可能性も大いに考えられます。 そのために、設計をした二級建築士もしくは資格を持った他の建築士が工事監理人となり、現場を監修して建築を進めていきます。
また、建造物が完成した際には、工事完了検査の報告書に建築状況を記載し、建築局などに申請する必要があります。ここで、記載部分と実際の建造物に相違があると、手直し工事が必要になり、申請した時期によっては行政処分を受ける可能性もあります。 そういったトラブルを無くすために、知識と資格を持った建築士が現場の工事管理業務も担います。設計以上に大切な工程です。
二級建築士は木造および鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造の建物の設計が可能です。木造建築の場合は高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超えないもの、 木造以外の鉄筋、鉄骨造などの場合は延べ面積が30平方メートル~300平方メートル、高さが13メートル又は軒の高さが9メートルまでの建物の設計をできるようになります。
なお、一級建築士となると、材質の制限も面積や高さの制限もなくなり、事実上あらゆる建物を取り扱えます。つまり、木造建築士・二級建築士が取り扱えない建物の設計が許可されます。主に学校や病院、商業施設やドーム状の建物など、大規模な施設も取り扱うことができるようになります。
もうひとつ、木造建築士という資格もあり、こちらはその名の通り木造の建築物のみ設計が許されています。また、建築する建物の面積も定められており、300立方メートル以内かつ2階建てまでしか設計できません。 それに対して二級建築士には木造という制限はなく、主に戸建住宅や小規模な施設の設計を行います。
二級建築士は、建築基準法により定められた、国家資格です。都道府県知事より認可を受けています。二級建築士を取得するとどんなメリットがあるのか、紹介していきます。
仕事の幅が拡がる
建築士の資格には、「木造建築士」「二級建築士」「一級建築士」の3種類があります。 さらに専門的な「設備設計一級建築士」「構造設計一級建築士」も存在します。
木造建築士→二級建築士→一級建築士→構造設計一級建築士/設備設計一級建築士の順で高位な資格と認められています。
木造建築士においては、木造の建物のみ設計が可能とされています。かつ、設計できる建物の大きさにも制限があり、延床面積300平方メートル、建物の高さも2階建てまでと定められています。
二級建築士を取得すると、木造だけでなく、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造などの材質の建物を設計することができます。また、面積も1,000平方メートルまで、高さは13メートルもしくは軒の高さ9メートルまでの建物の設計ができるようになります。
木造建築士も二級建築士も、その建物の高さの制限から、住宅家屋の設計がメインになりますが、二級建築士を取得することにより、請け負うことのできる仕事の幅が大きく拡がります。
転職・就職に有利
二級建築士は国家資格のため、企業からも評価されやすく転職活動・就職活動時に有利になります。 二級建築士が多く手掛ける、戸建住宅をはじめとした一般住宅の着工数は安定しており、昨今では、リフォーム業者なども増えているため、不動産会社や建築会社、設計事務所、リフォーム会社、官公庁など実に様々な場所で活躍が期待できます。
顧客からの信頼度が上がる
転職先企業だけではなく顧客からの信頼度も向上します。仕事として設計をしていくためには、木造建築士・二級建築士・一級建築士などの国家資格が必要となりますが、二級建築士を取得すると、より幅広い仕事が請け負えるだけでなく、様々な構造の建物の設計が可能です。 より建築のプロとして認められるため、建築士としてのステータスが一段階上がります。
昇格・昇給が見込める
二級建築士を取得していると、建築技術者として仕事を進めていく機会も増え、役職なども上がっていくことが期待できます。また、資格手当てがつくなど、給与面での優遇も見込めます。
さらにステップアップができる
二級建築士を取得すると、商業施設や病院、学校などさらに大規模な建物の設計ができる「一級建築士」の受験資格が得られます。 厳密には、二級建築士として4年の実務経験を積まなければ受験できませんが、一級建築士への足がかりになります。 一級建築士になれば、さらに仕事の幅が拡がり、より建築士として様々な設計に携わることができます。大手のゼネコン会社に一級建築士として勤めれば、大幅に年収アップを図ることも可能です。
二級建築士が働く場所は、主に住宅メーカーや設計事務所、ゼネコン会社や不動産会社、官公庁など多岐にわたります。 主に、住宅家屋や小規模な施設の設計・工事管理を担当します。 不動産会社においては、建築の知識があるプロとして重宝され、企画・調査・コンサルティングなどの重要な仕事を担います。 それぞれに特徴がありますが、設計事務所には将来独立したい人が多く在籍しているため、建築士として独立していきたい人には設計事務所で働くことがおすすめと言えます。
また、ゼネコン会社では、大規模な施設や都市・街の開発に携わることが多いため、二級建築士は工事監理・現場管理を任されます。 しかし、大手ゼネコンであれば待遇面や給与面も他に比べて優遇されており、様々な経験が積めます。 一級建築士を取得すると、さらに待遇も良くなり、請け負える仕事の幅も拡がるため、やりがいや充実感も大きくなるといえます。
建設転職ナビで二級建築士の資格保有者を対象とした求人の平均想定年収はおよそ420万円~650万円となっています(2022年5月調べ)。
さらに上位の一級建築士となれば、年収は600万~700万、建築士として独立し、才能が認められれば年収1,000万以上も可能です。二級建築士を取得して終わりというわけでなく、実務経験を積んで一級建築士を取得し、より専門的な建築士として活躍することを目指す人が多いようです。
二級建築士になるには、いくつか方法があります。 ひとつは、大学、短期大学、高等専門学校で建築課程を履修して所定の科目を収めることです。その場合は、実務経験なしで資格試験を受けることができます。 また、大学や高等専門学校において、土木課程などを履修していた場合は実務経験1年、高等学校の建築もしくは土木学科を卒業している場合、実務経験3年で、二級建築士の受験資格を得ることができます。
もうひとつは、実務経験のみで受験資格を得ることです。 建築・土木に関係した学歴を現在・過去において有していない場合は、設計事務所や官公庁で設計や工事管理に関係する仕事に就くなど、7年の実務経験を積むことで受験資格が得られます。
建築士と言えばやはり一級建築士の資格が重宝されることは間違いないのですが、二級建築士の資格も「建築のプロ」として十分認められる資格です。国家資格である二級建築士の資格を取得すれば、仕事の幅が広がり転職時にもその資格をアピールすることができます。
以下では二級建築士の資格を活かしたオススメの転職先である「ハウスメーカー、工務店」と「設計事務所」をご紹介します。
設計事務所
ハウスメーカーや工務店と同様、設計事務所も全国展開している大手設計事務所から個人事務所まで、様々です。そのため、設計事務所によって取り扱う建造物は異なりますし、年収など待遇も異なります。
例えばマンションを専門とする設計事務所であったり、デザインにこだわるアトリエ系設計事務所など、設計事務所ごとに特徴があるため「どのような設計をしていきたいか」を軸に転職先を見つけるようにしましょう。
設計が主な業務となるため、設計事務所は建築士としてスキルアップしたい方や将来独立を考えている方にオススメです。
ハウスメーカー、工務店
二級建築士は主に戸建住宅や小規模な建造物に携わることから、ハウスメーカーや工務店で活躍することができます。
ハウスメーカーや工務店は全国展開している大手企業から地域密着型の中小企業と数多く存在するため、自分に合った企業をピックアップしやすいでしょう。
扱う建造物のほとんどが住宅となりますが、実績を積むことで一級建築士の資格も取得できるようになり、スキルアップや年収アップに繋がります。
※令和5年度 二級建築士試験の申し込みは締め切られています
二級建築士の試験内容と令和5年度の日程は次のとおりです。
既に今年度の受付は終了していますが、試験は毎年同じ時期に行われていますので逆算して計画的に準備を進めていくことをお勧めします。
主管
資格区分
国家資格(都道府県知事認定)
受付期間
令和5年4月3日(月)午前10時~4月17日(月)午後4時
※令和3年より、受験申込は原則として「インターネットによる受付」のみ
試験日程
試験の種類 | 日程 | 合格発表(予定) |
---|---|---|
設計製図の課題発表 | 令和5年6月7日(水)ごろ | |
学科の試験 | 令和5年7月2日(日) | 令和5年8月21日(月) |
設計製図の試験 | 令和5年9月10日(日) | 令和5年12月7日(木) |
受験資格
令和2年度から建築士試験の受験要件が変わりました。
これまで試験を受けるためには実務経験が必要でしたが、新しい建築士制度では実務経験が無くても受験ができるようになりました。
これまで受験に必要とされていた実務経験は、免許登録要件に変わり、試験を受ける前の実務経験も含まれるようになりました。
受験資格 | 免許登録要件 |
---|---|
大学(短期大学を含む)、高等専門学校、高等学校において、指定科目を修めて卒業した者 | 大学(短期大学を含む)、高等専門学校:実務経験0年 高等学校・中等教育学校:実務経験2年以上 |
建築実務の経験を7年以上有する者 | 実務経験7年以上 |
都道府県知事が同等と認める者 | 所定の年数以上 |
参考:国土交通省
学科の試験の内容と形式
4科目100問、マークシート方式、五肢択一
1.学科Ⅰ…建築計画【25問】
2.学科Ⅱ…建築法規【25問】
3.学科Ⅲ…建築構造【25問】
4.学科Ⅳ…建築施工【25問】
設計製図試験の内容と評価形式
事前に課題が発表されます。出題者の要求を読み取りながら建築物の計画、作図を行います。
評価は、与えられた条件を満たしていることを前提に、記述や図形の表現、建築物の構造や設備に関する能力を見ます。試験の内容に関しては変更される場合があります。
なお、設計製図の試験に関しては学科の試験に合格していないと受験することができません。令和2年以降の二級建築士試験で「学科の試験」に合格しており、「設計製図の試験」の受験回数が2回以内の場合は、申請すれば本年の「学科の試験」は免除されます。
合格率(参考)
年度 | 試験 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 総合合格率 |
---|---|---|---|---|---|
令和4年度 | 学科試験 | 18,893 | 8,088 | 42.8% | 25.0% |
製図試験 | 10,797 | 5,670 | 52.5% | ||
令和3年度 | 学科試験 | 19,596 | 8,219 | 41.9% | 23.6% |
製図試験 | 11,450 | 5,559 | 48.6% | ||
令和2年度 | 学科試験 | 18,258 | 7,565 | 41.4% | 26.4% |
製図試験 | 11,253 | 5,979 | 53.1% |
出典:(公財)建築技術教育普及センターHPより引用
受験案内・申し込み先
Q: 二級建築士の仕事はどんな内容?
A: 二級建築士は、建築物の設計や工事監理を担当します。安全性や実用性を考慮した設計を行い、工事現場での監理や報告書の作成も行います。
Q: 二級建築士を取得するメリットは何ですか?
A: 二級建築士は国家資格であるため企業からも評価されやすく転職・就職活動で有利になるほか、木造建築士よりも設計できる材質や面積・高さなどの制限が緩和されます。ステップアップを目指すなら一級建築士の受験資格としても有効です。
二級建築士の概要と、資格取得のメリット、仕事の内容や、収入、合格率とその難易度についてお伝えしました。二級建築士の資格取得者は、工事がある限り必要とされる、とても需要の高い人材です。現場で信頼を集め、仕事の幅を広げたい人はぜひ取得したい資格です。
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