2級建築施工管理技士とは?資格から仕事内容まで徹底解説
施工管理技士には「建築施工管理技士」「土木施工管理技士」「管工事施工管理技士」など全部で6種類があります。
今回は一般住宅をはじめとした、中小規模の建築工事に携わる2級建築施工管理技士の仕事内容についてご紹介します。
コンテンツ
2級建築施工管理技士とは建設現場における施工計画の作成、現場の工程管理や安全管理、品質管理などに必要な資格で、建設現場には欠かせない存在となっています。
1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士の違い
1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士の仕事内容には大きな違いはありませんが、扱うことのできる工事現場の規模が異なるため、就職先の選択肢や年収などに差が出ます。
1級建築施工管理技士は大規模な工事に関われますが、2級建築施工管理技士の場合は主に中小規模の建設工事を扱います。1級建築施工管理技士の方が資格取得は難しくなりますが、大規模な工事に関わりたい方やスキルアップ、年収アップを狙う方は1級建築施工管理技士を目指しても良いでしょう。
主任技術者になれる
2級建築施工管理技士を取得すると建設現場において主任技術者になることが可能です。主任技術者になれば仕事の幅が広がりますし、責任感ある仕事を任せられることになります。やりがいを感じられることに加え、スキルアップにも繋がることでしょう。
また、主任技術者になると給料が上がる、一時金が支給される、資格手当がつくなど金銭面でのメリットもあり、年収アップを狙えます。
1級建築施工管理技士よりも取得しやすい
1級建築施工管理技士の資格を取得するためには一定の学歴や実務経験が必要となるのですが、その受験資格を満たせない方も多くいらっしゃいます。2級建築施工管理技士の受験資格は1級建築施工管理技士よりもハードルが低くなっていますので受験しやすく、1級建築施工管理技士よりも合格率が高いため資格取得しやすいでしょう。
1級建築施工管理技士の方が試験内容は難しく、合格率も低くなっていますので、まずは合格しやすい2級建築施工管理技士の資格取得を目指すことをオススメします。
1級建築施工管理技士よりも工事現場の規模に制限がある2級建築施工管理技士ですが、建設工事現場で主任技術者として従事することができる2級建築施工管理技士には、建設会社や工務店、ハウスメーカーなど、様々な活躍の場があります。
建築施工管理技士の資格取得者が多く在籍する企業には、技術的能力の評価点が加算され、施工技術や管理能力が優れている建設会社だとアピールすることができるため、資格取得者のニーズは高くなっており、昇給や昇進にも期待ができます。
2級建築施工管理技士が建設業界で活躍できる場は実に様々ですが、以下では具体的な転職先として「建設会社」と「ハウスメーカー」をご紹介します。
建設会社
住宅など小規模な建造物を扱う建設会社、商業施設など大規模な建造物を扱う大手建設会社のどちらも建築施工管理技士を欲しているため、2級建築施工管理技士の資格を保有していれば転職で有利になります。
建設会社では工事が一定の規模を超えたら建築施工管理技士を保有する技術者を設置しなければならないのですが、ただでさえ人手不足が問題となっている建設業界では建築施工管理技士の資格取得者が少なくなってきています。
そのため、大手建設会社も中小規模の建設会社も資格保持者へのニーズは高まっているのです。
ハウスメーカー
戸建住宅やマンションを扱うハウスメーカーは、中小規模の建設工事を扱う2級建築施工管理技士にぴったりの転職先です。新築の建物を扱うことが多い企業ほど2級建築施工管理技士へのニーズが高いため、資格保有者は転職で有利になります。
少子化によって市場規模が縮小していく可能性はありますが、ハウスメーカーの業務は新築物件を建てるだけではありません。近年はリフォーム・リノベーション事業、海外事業などに注力しているハウスメーカーが増えているため、将来性がある業種と言えます。
ハウスメーカーによって得意分野などに差がありますので、しっかりと企業研究をしたうえで転職活動に臨みましょう。
仕事内容
建築施工管理技士は建設現場において、施工計画を作成し、現場の工程管理や安全管理、品質管理など、工事全体の進行の管理、監督を行います。他にも、発注者との打ち合わせをはじめ、現場の技術者や職人の監督、指導、資材の発注、予算管理など、仕事内容は多岐にわたります。
2級建築施工管理技士と1級建築施工管理技士では、仕事内容に大きな違いはありませんが、扱うことのできる工事現場の規模に制限があります。
1級建築施工管理技士の方が活躍の場は多く、需要もあります。そのため、建築施工管理技士の平均年収は400~600万円となっていますが、1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士では月収に5~15万円ほど差が出てきます。
職場の制限
1級建築施工管理技士の場合、主任技術者・監理技術者になる事が可能ですが、2級建築施工管理技士は監理技術者にはなることは出来ず、主任技術者までの資格になります。
2023年4月現在、元請けの場合、請負代金の合計金額が4,500万(建築一式工事の場合7,000万)円以上の建設現場には、監理技術者の専任配置が義務付けられています。つまり、2級建築施工管理技士は4,500万円以上の規模の大きい建設現場を監理技術者として担当することはできないということになります。
1級建築施工管理技士の場合は管理できる工事の規模に上限がないため超高層マンションや大型ショッピングモール、公共施設等、大規模な工事に関わることができ、2級建築施工管理技士の場合は主に中小規模の建設工事を扱うことになります。
業務の制限
1級建築施工管理技士は、扱うことの出来る建設現場に制限がない様に、担当する業務も制限はありません。
2級建築施工管理技士の場合は、資格が「建築」「躯体」「仕上げ」の3つに分かれており、それぞれの資格の有無で担当する事が出来る業務に制限が発生します。1級建築施工管理技士の資格があれば、この区分は適用されないため全ての業務を担当することが出来ますが、2級建築施工管理技士の場合でも、3つ全ての資格を保有することで、区分による制限を受けることなくすべての業務を担当することが可能になります。
《 建築 》
建築資格は「建築一式工事」に関する資格です。
建築一式工事とは、大工工事や内装工事、電気工事など、専門工事が二つ以上必要な工事を指します。建築資格の保有により、建築工事の業務を担当する事が可能になります。
《 躯体 》
躯体資格は、主に建造物の基礎となる部分である、構造部分に関する工事についての資格です。躯体資格の保有により下記の業務を担当できるようになります。
・大工工事
・とび・土工・コンクリート
・タイル・レンガ・ブロック工事
・鋼構造物工事
・鉄筋工事
《 仕上げ 》
仕上げ資格は建造物の構造以外の部分である、内装や外装といった工事に関する資格です。仕上げの資格保有により可能になる業務は下記になります。
・大工工事
・左官工事
・石工事
・屋根工事
・タイル・レンガ・ブロック工事
・ガラス工事
・塗装工事
・防水工事
・内装仕上工事
・熱絶縁工事
・建具工事
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令和6年度 2級建築施工管理技術検定情報
主管
資格区分
国家資格(国土交通大臣認定)
建築施工管理技術検定制度の改正
令和6年度以降の技術検定については、受検資格の見直しが行われます。
2級建築施工管理技士については、第一次検定は変更がありませんが、第二次検定については、現在は最終学歴ごとに必要な実務経験が異なっていたところを一律「2級第一次検定合格後、実務経験3年以上」または「1級第一次検定合格後、実務経験1年以上」に改定されます。
ただし、大学・短大・高専で指定学科を卒業した人と、大学(指定学科以外)を卒業した人については必要な実務経験年数が増えてしまうため、令和6年度から令和10年度までの間は経過措置期間として、第二次検定について旧受検資格と新受検資格の選択が可能になります。
詳しくは、国土交通省の資料をご覧ください。
令和3年に、建築施工管理技士検定は新制度に改訂されました。
以前は「学科試験」を受けて、合格すると「実地試験」を受けることができました。
この実地試験に合格すると建築施工管理技士の資格を得ることが出来ましたが、令和3年から試験が「第一次検定」と「第二次検定」に変更となり、第一次検定を合格した時点でも「技士補」の資格を得られるようになりました。
技士補について詳細はこちらの記事をご覧ください。
受付期間
※インターネット申込は再受検申込者のみ
申込方法 | 種別 | 日程 |
---|---|---|
インターネット | 第一次検定のみ(前期) | 令和6年2月9日(金)~3月8日(金) |
第一次検定のみ(後期) | 令和6年6月26日(水)~7月24日(水) | |
第一次検定・第二次検定(同日) | ||
第二次検定のみ | ||
書面 | 第一次検定・第二次検定(同日) | 令和6年7月10日(水)~7月24日(水)[消印有効] |
第二次検定のみ |
試験日
種別 | 日程 |
---|---|
第一次検定のみ(前期) | 令和6年6月9日(日) |
第一次検定のみ(後期) 第一次検定・第二次検定(同日) 第二次検定のみ |
令和6年11月24日(日) |
合格発表日
種別 | 発表日 |
---|---|
第一次検定のみ(前期) | 令和6年7月10日(水) |
第一次検定のみ(後期) | 令和7年1月10日(金) |
第一次・第二次検定(同日受検) | 【第一次検定】令和7年1月10日(金) 【第二次検定】令和7年2月7日(金) |
第二次検定のみ | 令和7年2月7日(金) |
受検資格(令和6年度以降)
※令和6年度以降の技術検定については、受検資格の見直しが行われます。
詳しくは、国土交通省の資料をご覧ください。
学歴 | 旧受検資格 | 新受検資格 | ||
---|---|---|---|---|
第一次検定 | 第二次検定 | 第一次検定 | 第二次検定 | |
大学 (指定学科) |
17歳以上※ | 卒業後実務経験 1年以上 |
17歳以上※ | ・2級第一次検定合格後 実務経験3年以上 ・1級第一次検定合格後 実務経験1年以上 |
短大・高専 (指定学科) |
卒業後実務経験 2年以上 |
|||
高校 (指定学科) |
卒業後実務経験 3年以上 |
|||
大学 (指定学科以外) |
卒業後実務経験 1.5年以上 |
|||
短大・高専 (指定学科以外) |
卒業後実務経験 3年以上 |
|||
高校 (指定学科以外) |
卒業後実務経験 4.5年以上 |
|||
上記以外 | 実務経験 8年以上 |
※年齢は受験年度末時点
出典:国土交通省発表の資料 より引用
試験日
受検手数料(消費税非課税)
第一次・第二次検定(同日受検):10,800円
第一次検定のみ:5,400円
第二次検定のみ:5,400円
試験内容
令和6年度以降の試験問題の見直し
令和6年度以降の技術検定の試験問題に関し、以下2点の見直しが行われます。
・第一次検定 : 第二次検定の所要実務経験年数を学歴に拘わらず一定とすることから、第一次検定について、各専門分野の基礎を確認できるよう、必要に応じ、試験問題の充実を図る。
・第二次検定 : 受検者の経験に基づく解答を求める設問に関し、自身の経験に基づかない解答を防ぐ観点から、設問の見直しを行う。
令和3年度からの変更点
令和3年度からは、建設業法の改正に伴った試験の形式の変更とともに問題の構成が変更(一次・二次ともに)されています。第一次検定では、新たな区分として「応用能力」が追加されています。第二次検定では、「学科試験」で求めていた問題の一部が移行されています。
第一次検定(旧・学科試験)
全50問、マークシート方式、四肢択一、四肢二択(施工管理法の一部)
1.建築学等【全17問、解答12問/選択・必須問題あり】
2.施工【全11問、解答8問/選択問題】
3.施工管理法【全10問/必須問題】
4.応用能力【全4問/必須問題】
5.法規【全8問、解答6問/選択問題】
第二次検定(旧・実地試験)
全5問、記述式および四肢択一
1.施工経験記述【1問/必須問題/記述式】
2.施工用語【1問/必須問題/記述式】
3.工程管理【1問/必須問題/記述式】
4.法規【1問/必須問題/四肢択一】
5.建築/躯体/仕上げ【選択した受検種別で1問/選択問題/四肢択一】
難易度・合格率
2級建築施工管理技士試験の合格率は30%前後となっています。誰でも合格するような試験ではありませんが、前もってしっかり試験対策をして臨めば決して難しくはありません。
ここ3年で合格率は上昇傾向にあります。しっかりと情報収集をして試験に臨みましょう。
【参考】過去3年分の受検状況
年度 | 試験 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
令和4年度 | 一次検定 | 27,004 | 11,421 | 42.3% |
二次検定 | 21,625 | 7,924 | 36.6% | |
令和3年度 | 一次検定 | 32,128 | 15,736 | 49.0% |
二次検定 | 23,380 | 8,205 | 35.1% | |
令和2年度 | 学科試験 | 32,468 | 11,366 | 35.0% |
実地試験 | 23,116 | 6,514 | 28.2% | |
令和元年度 | 学科試験 | 28,718 | 9,083 | 31.6% |
実地試験 | 22,663 | 6,134 | 27.1% |
出典:(一財)建設業振興基金HP より引用
過去問
◆第一次検定
「建築学等」、「法規」、「施工管理法」、「施工」「応用能力」から50問が出題され、そのうち必須問題と選択問題あわせて40問を解答します。学科試験からの変更点として「施工」の問題数が変更になったのと、「応用能力」が追加されています。
2級建築施工管理技術の学科試験の出段範囲は「広く浅い」という特徴がありますので、まんべんなく勉強しておく必要があります。
基本的には過去問と似たような問題が多いのですが、近年は過去問にないようなものが出題されることもあるため、合格基準点である正答率60%ギリギリを狙うのではなく、余裕をもつことが大切です。
区分 | 細分 | 3種別共通問題 | 解答区分 | ||
---|---|---|---|---|---|
出題数 | 解答数 | ||||
建築学等 | 環境工学 | 3 | 14 | 9 | 選択問題 |
一般構造 | 4 | ||||
構造力学 | 3 | ||||
建築材料 | 4 | ||||
設備その他 | 3 | 3 | 必須問題 | ||
法規 | 建築基準法 | 2 | 8 | 6 | 選択問題 |
建設業法 | 2 | ||||
労働基準法 | 1 | ||||
労働安全衛生法 | 1 | ||||
建設リサイクル法 | 2 | ||||
施工 | 施工全般 | 11 | 8 | 選択問題 | |
施工管理法 | 施工計画 | 3 | 10 | 10 | 必須問題 |
工程管理 | 2 | ||||
品質管理 | 3 | ||||
安全管理 | 2 | ||||
応用能力 | 躯体 | 2 | 2 | 必須問題 | |
仕上げ | 2 | 2 | |||
合計 | 50 | 40 | – |
例えば、「設備その他」からは以下のようなものが出題されています。
[No.16]LEDランプに関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
1.他のランプ類に比べ耐熱性が低いため、高温にさらされないよう、発熱体の周辺への設置は避ける。
2.他のランプ類に比べ寿命が短いため、高い天井等、ランプの交換がしにくい場所への設置は避ける。
3.光源に紫外線をほとんど含まないため、屋外照明に使用しても虫が寄り付きにくい。
4.光の照射方向に熱をほとんど発しないため、生鮮食料品の劣化を助長しない。
→解答:2
◆第二次検定
第二次検定では「施工経験記述」「施工用語」「工程管理」「法規」から1問ずつ、受検種別に「建築」「躯体」「仕上げ」から1問の計5問が出題されます。
旧・実地試験からの変更点として、選択問題が追加されています。
これは、「建築」「躯体」「仕上げ」の3つから申し込み時に事前に選択した問題を解く必要があります。
建築11選択問題躯体仕上げ
区分 | 出題数 | 解答数 | 解答区分 |
---|---|---|---|
施工経験記述 | 1 | 1 | 必須問題 |
施工用語 | 1 | 1 | |
工程管理 | 1 | 1 | |
法規 | 1 | 1 | |
合計 | 5 | 5 | – |
例えば、「施工用語」からは以下のようなものが出題されています。
[問題2]次の建築工事に関する用語の一覧表の中から 5つ用語を選び、その用語の説明と施工上留意すべきことを具体的に記述しなさい。
ただし、g及びn以外の用語については、作業上の安全に関する記述は不可とする。また、使用資機材に不良品はないものとする。
用語
a.クレセント
b.コンクリート壁の誘発目地
c.ジェットバーナー仕上げ
d.セルフレベリング工法
e.鉄骨の耐火被覆
f.土工事における釜場
g.乗入れ構台
h.腹筋
i.ビニル床シート熱溶接工法
j.フラットデッキ
k.壁面のガラスブロック積み
l.ボンドブレーカー
m.木工事の大引
n.ローリングタワー
Q: 2級建築施工管理技士とはどんな資格ですか?
A: 建設現場における施工計画の作成、工程管理、安全・品質管理などに必要な資格で、建設現場では欠かせない存在でもあります。1級との違いは扱える工事の規模で、1級は大規模工事、2級は中小規模工事がメインになります。
Q: 2級建築施工管理技士になるメリットは何ですか?
A: 主任技術者になることができるため、やりがいや給料面で恩恵があります。また、1級建築施工管理技士よりも受験資格が低く、合格率も高いため、取得しやすいメリットもあります。
2級建築施工管理技士は1級建築施工管理技士と比べてしまうと様々な制限があるように見えますが、2級建築施工管理技士も十分に活躍の場があります。
最近は、建築需要の高まりに伴い建築施工管理技士の需要も高まっており、2級建築施工管理技士の資格の保有は、非常に転職に有利になる国家資格です。
また、最終的に1級建築施工管理技士を目指す場合も、有利に試験を突破する為に、ぜひ取得したい資格ですね。そうはいっても、2級建築施工管理技士試験も合格率が30%未満と相応に難しい試験ですので、1級取得へのステップとは考えずしっかり準備をして臨みたいものです。
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