書けたら1人前?平面詳細図の書き方や難しいポイントを解説します
平面詳細図は平面図と比べるとより詳細な情報が書き込まれていますが、三次元で考える必要があるため、正しい図面を書くのは簡単ではありません。
今回は平面詳細図とは何か、書き方のポイントや難しい理由を解説します。
「平面詳細図」とは、平面図よりもより詳細な寸法や位置関係を数字や文字で表現したものです。言葉だけですと平面図とあまり違わないように見えますが、情報量には大きな違いがあります。
平面図との違い
平面図と平面詳細図の違いは厳密に定められているわけではありません。しかし、平面図では数字で記載されていなかった以下の寸法が示されています。
• 壁芯の寸法
• 壁の仕様
• 建具や窓、開口部の寸法
• カウンターなどの寸法
• 壁の厚み
これらの寸法や詳細が記載されることで、より具体的な距離感が数字や情報で把握しやすくなります。
割付との関係は?
平面詳細図とよく似たものとして割付があります。割付とは、タイルや石、パネルなどの板状のものをどのように貼っていくか、寸法を示したものです。
割付を正確に行うためには、平面詳細図などの図面で壁から壁の距離などを正確に把握する必要があります。
そのため、より割付をきれいに行うためには、きれいな平面詳細図が欠かせません。
平面詳細図は通常よりも詳細な情報を書き込む必要があります。適切な書き方をしていなければ、詳細を把握しにくく、間違いが生じる可能性もあるでしょう。平面詳細図の書き方をマスターすれば、スムーズに平面詳細図が書けるようになります。
①まずは壁芯と柱の中心線から
平面詳細図を書くためには、まず壁芯と柱の中心線から記載しましょう。柱は910mmという等間隔で割り付けられており、グリッド線や方眼紙の線を基準にすれば沿って書いていくだけで完成しますので、特別難しい作業ではありません。
②壁と柱の線を下書きする
次に壁と柱の線を下書きしていきます。柱の大きさは仕様にもよりますが、柱の太さの半分で左右に割り振ります。例えば150mmある柱であれば、中心から75 mmずつ上下左右に振り分けましょう。
柱は基本的に同じ大きさですが、1階から2階まで通っている通し柱と呼ばれる柱は、やや太さがあるものが選ばれます。通し柱の割付は他と異なるため、注意が必要です。
また、通し柱の位置が1階と2階で変わっていないかどうかも確認しておきましょう。
図面の位置関係や左右の割り振りが間違っていないことを確認したら次の工程に進みます。
③壁と柱の線を仕上げる
次に壁と柱の線を清書し仕上げましょう。壁の厚みや柱の大きさに注意し、適切な大きさかどうか確認しながら作業を進めます。
このとき、柱が見えない大壁の場合は柱と柱の面の部分で繋げますが、真壁の場合、柱の中心から少し動かした部分で線を引きます。大壁とは柱が見えない壁で真壁は柱が見える壁のことです。
仕上げ線は太くはっきりした線で書くと見えやすくなります。
④ドアや窓といった開口部を書く
ドアや窓のような開口部を次に書き込んでいきます。ドアは開き勝手によって書き方を変えることがポイントです。
扉の種類の例としては以下のものがあります。
• 片開き戸
• 両開き戸
• 引違い扉
• 網戸
• 折り畳み扉
これら全て表記の仕方が異なるため、全て書き分けるようにしましょう。
⑤設備機器を書く
トイレや洗面台、キッチンの流しやコンロ、換気扇の位置を記載していきましょう。
ベッドやソファー、タンスなど家具を置く予定が決まっている場合は家具の落とし込みも行います。
⑥床仕上げを書く
床に畳やタイルを使っている場合は割付図面まで記載しておきましょう。玄関や和室に必要になるケースが多いです。これらは実際の敷き方が施工のやり方に影響するため、できるだけわかりやすく書きましょう。
フローリングの場合は割付が必要ないため、記載しないことがほとんどです。
⑦寸法線や縮尺、方位などの情報を書く
最後に寸法線や縮尺、方位など、図面の情報を書き込めば完成です。
寸法線は柱の芯を基準にして寸法を示すことが多いです。部屋の縦と横の寸法、窓の寸法などは図面で分かるように記載します。
ここまで書き込んだら、最後に扉の開き方や寸法、仕上げ方などに誤りがないか確認しましょう。
以上で平面詳細図の完成です。
平面詳細図は平面図と比べると難しいポイントがいくつかあります。ただ単に情報量が増えるからというだけではなく、図面がきちんと立体で納まる状態なのかどうか考える必要があるためです。これらの情報を踏まえながら記載しておかなければ、どこかでミスが出てしまいます。
情報量の多さに注意
平面図と比べると、平面詳細図は情報量が格段に多いです。情報量が増えてしまうケースが多いですが、平面詳細図では基本的な寸法のほとんどをきちんと記載する必要もあります。
なぜなら、施工管理は平面詳細図を元にして施工手順の段取りや材料の発注を行うためです。建具の納まりに問題がないかどうか、壁と壁の取り合いの部分はきちんと納まっているか、有効寸法は適切な広さが保たれているかなど、情報が記載されていなければ、判断自体ができません。
必要な情報が記載されていない場合、適切な寸法が分からず、施工ミスに繋がる恐れがあります。
三次元で考える必要がある
平面詳細図は平面の図面のため、二次元的な発想で捉えてしまいがちです。しかし、実際の建築現場は三次元であり、平面では問題なく納まっているように見えても、三次元で考えた場合に矛盾が生じてしまうケースは少なくありません。
そのような場合、図面上の記載をそのまま形にすることが不可能になるため、別途施工方法の確認や、やり方の相談が必要になります。
平面詳細図だけで確認すると施行現場でミスが起こりやすいため、問題が生じやすい部分は展開図を作成しておくと矛盾点が明確になり、ミスが起こりにくくなるでしょう。
平面詳細図でやりがちなミスは、仕様の違いによる影響が分かりにくいことです。
例えば、図面上ではサッシの開口部の寸法や高さが記載されているため、それぞれ高さが揃っていれば、目で見た高さも同じになると思ってしまいがちです。
しかし、建具や窓などは、それぞれの大きさが同じでも枠の形状や寸法までは同じではありません。そのため、実際に施行されると高さが揃っておらず不格好になってしまうといったケースも起こりえます。
平面詳細図だけで納まりを考えているとこのようなトラブルが起こりがちです。
平面詳細図は平面図と比べると情報量が多く、簡単ではありません。書き方の手順ややり方そのものは難しいわけではありませんが、実際の納まりも考えながら作る必要があることが、難しくなる要因でしょう。
必要に応じて展開図などを作り三次元で図面を捉えるようにしなければ、実際の納まりで問題が起こりやすいため注意しなければなりません。平面詳細図を書く人や平面詳細図を見て指示を出す施行管理の人はこの記事を参考に、ミスなくきれいに納まる現場づくりをしてください。
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