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構造設計一級建築士とは?受験資格や転職先について解説します

「構造設計一級建築士」という資格をご存知でしょうか。一級建築士は聞いたことあるけれど、構造設計一級建築士はなんだろうという方が多いかと思います。この聞きなれない建築士、実はある一定規模以上の建物が成立するためには必須のエキスパートな資格なのです。

構造設計一級建築士とは

一級建築士の上位資格としてこの資格が創設されたのは平成20年(2008年)と、まだできて10年ほどしか経過していない国家資格です。

構造設計一級建築士の役目は、構造設計が高度になる大規模な建築物において、自らその資格者として構造設計するか、他の一級建築士が設計した建物の構造設計を確認することにあります。つまり大規模な建築物は構造設計一級建築士の関与なしで構造設計が完了されることはないということになります。

どういったものが「大規模な建築物」かというと、
・鉄骨造で4階建て以上の建築物
・鉄筋コンクリート造で高さが20mを超える建造物
・木造で高さが13mまたは軒の高さが9mを超える建築物
・極めて高度な構造設計が義務付けられている高さ60mを超える建築物
が該当するとされています。比較的広範な建築物が該当するのではないでしょうか。

本記事では、建築士の中でも構造設計の分野に専門特化した「構造設計一級建築士」についてご紹介いたします。

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構造設計とは?

資格の名前から「構造設計に特化した建築士のことだろう」ということは推測できますが、そもそも構造設計とはなんでしょう。

建築設計とは大きく分けて①意匠設計②構造設計③設備設計の3部門に分かれています。意匠設計はデザインや間取り、構造設計は耐震性などを検証する構造計算、設備設計は空調、音響、水道など環境の計画をそれぞれ行います。

構造設計は建築において必須のプロセスであり、地震大国の日本において、その重要度はきわめて高いものです。想定する地震に耐えるよう建物の構造要素となる柱や梁の組み方や強度を計算によって割り出し、建築物に反映させます。そのため建築設計の3部門の中でも力学や地盤工学などの知見が必要な建築設計のパートです。

なぜ構造設計一級建築士ができたのか?

構造設計のエキスパートである構造設計一級建築士、2008年に創設されてからまだ10年ほどしか経っておらず、その歴史はそれほど古くはありません。

それもそのはず、この資格が生まれたのはとある事件がきっかけだったからです。覚えている方も多いでしょう、社会に対する建築構造設計の信用度の低下に繋がった平成17(2005)年の「耐震偽装問題」です。建物の建設費を抑えるために、コンクリートなどの量を減らすよう構造計算書を偽装したことが発覚した事件でした。人々の命を守る構造計算が偽装されることは決してあってはならないことです。

この事件をきっかけに、構造設計に対する信頼性を求める声の高まりや、構造設計技術の高度化に伴い「構造設計一級建築士」資格が創設されました。

構造設計一級建築士になるには

「構造設計一級建築士」が難関と言われる背景にはその受験資格にあります。

気になる受験資格、それは「一級建築士資格を取得してから5年の構造設計の実務経験」です。一級建築士を取得するだけでも難関と言われますが、さらにそこから5年もの実務経験が求められます。あまりこのような資格はないのではないでしょうか。通常、一級建築士は建築系大学卒業と実務2年の受験資格で受験する人が多いので、最短25歳で一級建築士になれます。そこから5年なので全ての試験をミスなく合格したとしても30歳というのが構造設計一級建築士になれる最短のルートです。

試験内容ですが、2日間の講義を受けた上で「法適合確認」「構造設計」の両方の試験を合格する必要があります。常日頃、大規模建築物の構造設計に携わっている人からすればそこまで難しくない内容ですが、そうでない人にとっては難しい試験です。また年々試験自体が難しくなっており、普段から大規模建築物の構造設計実務に携わっていれば問題ない、というレベルとは異なりつつあります。

構造設計一級建築士は必須か? メリットは?

取得に時間を要する難易度が高い資格であるため、本当に必須なのか? と考えるのは誰もが抱く思いでしょう。実際に構造設計の業務で従事していても構造設計一級建築士の資格を持っていない人もいます。

構造設計一級建築士の関与が必要な建築物でも、それを担当する設計事務所のうちの一人が資格を所持していれば、その人の責任をもってして構造設計業務そのものは可能です。つまり補佐としての役割であれば資格がなくても構造設計に携われることになります。

しかし、ある程度の規模の設計事務所では資格の有無が社内外における信用度に関わってきます。社内的には昇進や給与などにも関係してきます。無資格でも技術が一流という人もいますが、資格があれば鬼に金棒というわけです。より良い待遇や業務環境を求めて転職する人にとっても資格はプラスに働きます。

また構造設計事務所として独立を考えている人は必須です。事務所に構造設計一級建築士の資格を持っている人が一人もいない場合は大規模な建築物の構造設計を受注できないからです。業務の幅が狭いことは独立した人にとっては実績的にも報酬的にもデメリットとなるので、これを取得しない理由はありません。

構造設計一級建築士の転職先

「一級建築士資格を取得してから5年の構造設計の実務経験」が受験資格である構造設計は、一級建築士の資格をもっていることもアピールできますし、専門性が高い資格ですので、建設業界への転職では非常に需要があります。

以下では構造設計一級建築士の資格を活かした転職先として「ゼネコン」と「設計事務所」、「独立開業」をご紹介します。

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ゼネコン

建設業界のリーダー的存在のゼネコンは、工事全体を取りまとめる企業であり、得意とする分野などはゼネコンによって異なります。

構造設計一級建築士の資格を活かすには、ゼネコンのなかでも建築部門に力を入れている企業へ転職するのが現実的です。ゼネコンは様々な部門から成り立っていますので、将来的に仕事の幅を広げられる可能性もあります。

また、ゼネコンは施工管理が仕事の中心となりますので、施工管理の資格を保有していればゼネコンの中でも完成工事高上位5社の「スーパーゼネコン」への転職も十分に可能となります。

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設計事務所

設計事務所には、建築士資格をもつ管理建築士を常駐させなければなりませんので、一級建築士の資格を保有している方は重宝されます。

構造設計一級建築士は一級建築士の資格も備えたワンランク上の資格となっていますので、設計事務所への転職では非常に有利となります。設計の仕事を中心に行っていきたい方は、設計事務所に転職すれば多くの案件に携わることができ、スキルアップに役立つことでしょう。

また、将来的に独立をお考えの方は勉強にもなりますし、人脈をつくるといった意味でも設計事務所に身を置いても良いでしょう。

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独立開業

構造設計一級建築士の資格をお持ちの方は、講習を受けて管理建築士の資格を取得する事が可能です。管理建築士の資格があれば設計事務所を開設することができますので、独立開業することができるのです。

ただし、独立開業するには資金やノウハウ、人脈などが必要となりますので、いきなり独立開業を目指すのではなく、下積みをしなければなりません。設計事務所などで独立のための勉強をするなかで、税理士、行政書士、司法書士などの資格を取得しておけば、独立する際に役立ちます。

令和5年度 構造設計一級建築士の講習情報

主管

公益社団法人 建築技術教育普及センター

資格区分

国家資格(国土交通省)

構造設計一級建築士の受講資格について

構造設計一級建築士講習の受講資格は、一級建築士として構造設計の業務に5年以上従事することです。

ちなみに、業務経験として認められる業務は以下になります。

  1. 構造設計の業務
  2. 建築の構造に関する確認審査等の業務
  3. 構造計算適合性判定
  4. 建築構造に関する確認審査等の補助業務
  5. 構造計算適合性判定の補助業務
  6. 建築構造に関する工事監理の業務

上記以外の業務は、業務経験として認められないので、注意してください。

申込期間

令和5年6月12日(月)午前10時~6月30日(金)午後4時

受講日程

講習地 講義 修了考査
受講方式 日程 日程
札幌市 会場 9/20(水)~9/21(木) 11/5(日)
配信動画 9/12(火)~9/24(日)
仙台市 会場 9/12(火)~9/13(水)
配信動画 9/12(火)~9/24(日)
東京都 会場 9/14(木)~9/15(金)
配信動画 9/12(火)~9/24(日)
名古屋市 会場 9/14(木)~9/15(金)
配信動画 9/12(火)~9/24(日)
大阪府 会場 9/21(木)~9/22(金)
配信動画 9/12(火)~9/24(日)
広島市 会場 9/21(木)~9/22(金)
配信動画 9/12(火)~9/24(日)
福岡市 会場 9/13(水)~9/14(木)
配信動画 9/12(火)~9/24(日)
講義会場、修了考査会場など詳細は(公財)建築技術教育普及センターHP をご覧ください。

修了考査発表

令和6年1月19日(金)予定

受験手数料(消費税含む)

  1. 全科目受講:55,000 円(令和3 or 4年度受講者については49,500円)
  2. 法適合確認のみ受講:44,000 円(令和3 or 4年度受講者については38,500円)
  3. 構造設計のみ受講:49,500 円(令和3 or 4年度受講者については44,000円)

構造設計一級建築士の修了考査試験内容と形式

考査区分 出題科目 試験日 出題数
法適合確認 構造関係規定に関する科目 ・理由記述付き4肢択一式
・記述式問題
・10問
・3問
構造設計 建築物の構造に関する科目 ・理由記述付き4肢択一式
・記述式問題
・10問
・3問

構造設計一級建築士講習の修了考査の難易度と修了率

構造設計一級建築士になるためには、構造設計一級建築士講習を受けて、修了考査に合格する必要があります。

難易度は合格率が25%前後と、比較的高い試験です。
なお、直近4年間(全科目受講)の修了者と修了率は以下の表で確認できます。

年度 受検者数 合格者数 合格率
令和4年度 526人 155人 30.0%
令和3年度 535人 134人 25.0%
令和2年度 593人 170人 28.7%
令和元年度 602人 146人 24.3%

出典:(公財)建築技術教育普及センター より引用

過去問

構造設計一級建築士講習の修了考査の過去問は、(公財)建築技術教育普及センターでは公表しておりません。

過去問に関しては、(公財)建築技術教育普及センター が構造設計一級建築士講習の受講を予定されている方を対象に「令和3年度構造設計一級建築士講習修了考査問題集」のコピーを配布しています。申込書と返信用の封筒(A4)を送付することで、入手することが可能です。

よくある質問

Q: 構造設計一級建築士とはどのような資格ですか?

A: 建築物の構造設計に関する国家資格です。建築物の重要な要素である構造物の設計を行うことができ、建物の耐震性や安全性、耐久性、構造的な安定性などを考慮した設計が求められます。

Q: 構造設計一級建築士を取得するメリットは何ですか?

A: 大規模な建築物の構造設計を受注できるため、昇進や転職の際に有利になります。また、構造設計事務所として独立する方には必須の資格です。

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社会に対する信用性を高めるために創設されて10年ほどとなる「構造設計一級建築士」。大規模な建築物になればなるほど建築設計の中でも分業が進み、構造設計の技術はますます高度化しつつあることも創設の背景にあります。

今はまだ重要度がそれほど高くはなく、所持していたとしてもそれほど注目されることもないかもしれません。しかし、その注目度は今後増して行くことが予想されます。受験者が増え、試験内容が難化する前に取得してしまうのが吉です。

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