産業プラントでの仕事とは?業務内容や役立つ資格について解説
さまざまな工業製品をつくる産業プラントでの業務内容や転職に有利な資格、キャリアパスや年収などをわかりやすく解説します。
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「プラント」とは工場設備の一式のことを指し、「産業プラント」とは名前の通り人間生活に必要不可欠なモノを生産するプラントのことを言います。
例えば、食品工場、製薬工場、製鉄工場、セメント工場、発電所などのプラントが挙げられます。
産業プラントでは、生産物に応じて設計、建設することが重要になります。
エネルギー系のプラントでしたら、エネルギーが効率よく生産できるよう設計しなければなりませんし、食品系のプラントでしたら細菌や異物混入などに留意しながら設計しなければなりません。
プラントエンジニアリング会社の主なビジネスモデルはEPC事業※となっており、設計・資材調達・建設を経てプラントを作り上げます。
※設計(Engineering)、資材調達(Procurement)、建設(Construction)の頭文字をとった呼び名。
プラントは建設業界トップクラスの大規模な建築物なので、工程別に専門知識、スキルを有する技術者が配置されます。そのため、プラント業界で働くと言っても、どの工程に関わるかによって仕事内容や必要な資格、スキルは異なります。
日揮株式会社
業界最大手の日揮は、産業プラントのほか化学プラント、環境プラントなど幅広い分野に精通する総合エンジニアリング会社です。
プロジェクト遂行実績は80ヶ国20,000件以上、売上高は海外で80%となっており、海外事業に強みを有します。
栗田工業株式会社
栗田工業は水処理プラントのリーディングカンパニーで、あらゆる産業へ水に関わるソリューションを提供しています。
また、世界各地域に20の海外事業会社を設置しており、国際的な評価も高い企業です。
株式会社日立プラントサービス
日立プラントサービスは、産業プラント分野、水処理分野、営業部門が主要な総合エンジニアリング会社。日立グループの先進テクノロジーや多彩なソリューションを活用し、事業展開しています。
産業プラントにおいては、医薬品、食品、化成品などのプラント設計からメンテナンスまでを一貫して請け負っています。
プラントのなかでも、人々が生活するうえで必要なモノを作り上げる産業プラントは非常に社会貢献性が高い仕事です。
産業が発達している日本国内では新規の産業プラント建設需要は低いため、今後、産業プラントの新規建設に関しては新興国がメインとなります。
海外で仕事をするのは大変ですが、現地の人々の生活を豊かにできるのは大きなやりがいとなるでしょう。産業プラント建設はビジネスのみならず、国際開発に繋がるのです。
産業プラント業界の一般的なキャリアパス
産業プラント業界のキャリアパスとしては、同一企業で経験を積んでプロジェクトマネージャーを目指す方が多いです。
一方、仕事内容や働き方が合わないと感じて転職する方もいらっしゃいます。
プラント業界は建設業界の例に漏れず人手不足で経験者が重宝されるため、同業他社へ転職する方もいらっしゃいますし、産業プラントでの経験を活かして別業界へ転職する方もいらっしゃいます。
例えば製薬工場での経験がある方であれば医薬品メーカーに転職して医薬品製造工場での設備に携わる仕事をするなど、扱った生産物の知識を活かすことができるのです。
産業プラント業界の平均年収
プラント業界全体の平均年収はおよそ600~700万円で、管理職や海外で活躍している方ですと、年収1,000万オーバーする方もいらっしゃいます。
産業プラント業界では専門性の高い知識やスキルが求められるため、平均年収は高めとなっています。
施工管理
産業プラント建設も建設工事のひとつなので、他の建設現場と同様に施工管理が必要となります。プラント施工管理においても、「工程管理」「品質管理」「原価管理」「安全管理」の4大管理が必要となるのですが、大規模なプロジェクトなため高い能力が求められます。
燃料や医薬品、食品工場などを建設する場合には生産物に合った資材選定が必要になりますし、品質管理や工法、メンテナンスなどにも違いが生じます。
設備管理
プラントがスムーズに稼働するために、設備管理は非常に重要かつ責任がある仕事です。
ビル設備管理とは規模が桁違いなため、数多くの機械設備を管理する必要があります。
産業プラントでは電気工事施工管理技士や機械保全技能士の資格のほか、製造プロセスも熟知していなければなりません。
設計
建設業界屈指の規模の建造物であるプラントは、一級建築士が設計します。
仕事内容は、工場設備や敷地内の道路などの配置計画を立てる「基本設計」と、基本設計ができた上で、設備個々の設計、建設設計をする「詳細設計」の2種類があります。
プラントを効率良く稼働させるには設計が鍵となります。工学部や理工学部での知識のほか、効率的な製造プロセスや動線設計も身につけておく必要があります。
施工管理技士(建築・管工事・電気工事など)
プラント施工管理をするのに特別な資格は必要ありませんが、建築施工管理技士や管工事施工管理技士、電気工事施工管理技士を取得しておくと有利です。
特に、上記のうち管工事施工管理技士と電気工事施工管理技士は必ず取っておきたいところです。
また、主任技術者や監理技術者の経験があると、さらに有利になります。
建築施工管理技士の詳細はこちら
管工事施工管理技士の詳細はこちら
電気工事施工管理技士の詳細はこちら
エネルギー管理士
産業プラントのようなエネルギーを生産する建設現場では「エネルギー管理士」が活躍します。
エネルギー使用量に応じてエネルギー管理士の設置が義務付けられていることや、省エネ化など企業の環境への取り組みから、どのプラントでもエネルギー管理士は重宝される存在です。
特に発電所などのエネルギープラントへ転職する際には有利になりますので、難易度は高いですが是非とも取得しておきたい資格です。
英語(TOEIC)
日本国内での産業プラント需要は低いため、今後は新興国での新規プラント建設がメインとなります。すると、海外出張の機会も増えるため、現地で円滑なコミュニケーションをとれるように語学力を身につけておかなければなりません。
建設するプラントの分野についての専門用語なども勉強しておくと、なお良いでしょう。
最低でも、TOEIC600点は欲しいところです。
産業プラントにおいては海外が活躍の場となりますので、海外を舞台にスケールの大きい仕事をしたいと考える方には向いています。
また、プラントはそれぞれの専門家が協力して作り上げるものですので、コミュニケーション能力が高くて周りと上手く連携をとれる方でないと、難しいでしょう。
プラントエンジニアは肉体的にも精神的にも大変な仕事ではありますが、産業プラントを作ることが人々の役に立つ、と感じられる方には非常にやりがいがある仕事ではないでしょうか。
産業プラントは社会貢献性が高い仕事であるためやりがいは大きいですが、高度なスキルや知識が求められます。
そのため、産業プラントに転職するのであれば、資格取得が何よりの近道となるでしょう。
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