コンストラクションマネジメントとは?必要な資格と合わせて解説
大規模な建築事業において、事業の質を高めるために発注者の代行者として事業全体を見渡し、手助けする役目をする専門家です。
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大規模な建築事業において、発注者はときに判断が難しいこともあります。なぜなら、大規模な建築ともなると技術が複雑になり、提示されたコストや手法が妥当かどうかの判断がつきづらくなるからです。また、現在でもニュースで目にする建設業界の不透明性が判断をしづらくするのを手伝っているとも言えます。
「コンストラクションマネジメント」は建築事業において発注者の側に立ち、専門家として事業の質を高めるのに寄与する仕事です。発注者の代行者であり、補助であり、全体を見渡す役目をするコンストラクションマネジメントの仕事を紹介いたします。
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コンストラクションとは建設を意味します。そのため建設段階でのマネジメントと想像する方も多いかと思いますが、通常は設計段階から発注段階、建設段階までを管理する仕事となります。また場合によっては建設後のメンテナンスプログラムまで業務範囲とすることもあります。
そんなコンストラクションマネジメントの仕事内容は、建築事業において発注者の側に立ち、コスト・品質・工程・透明性・情報などを管理することです。建築事業における各フェーズでの役割を「設計」「発注」「工事」の段階に分けて解説します。
1.設計フェーズ
最初の設計段階では設計打ち合わせの会議、デザインレビューなどに参画し、プロジェクトの妥当性や進捗をマネジメントします。発注者にとってわかりにくい専門的な事柄については発注者が理解できるようサポートし、求める建築に近づける手助けを行います。またこの段階では積算によりコストの見通しがつきます。そのためコストカットやコストの妥当性も検討します。
2.発注フェーズ
発注段階とは、設計段階で決定した仕様に対して工事業者を選定、発注します。どの業者(ゼネコン)を採用するかは工事の工程、品質、コストに直結するため非常に重要です。また、日本では度々問題になる発注における不透明性に対しても、これが起きないよう管理します。そのため高い透明性が要求されるプロジェクトであればあるほど、コンストラクションマネジメントの持つ役割は大きくなります。
3.工事フェーズ
最後は建設段階、発注が終わり実際に工事が始まります。建設工事では工程、コスト、品質、安全が重要になります。発注者の側に立ち、ゼネコンなど工事業者が作成した施工計画を専門家の立場で管理します。コストカットはさらにできないか、工程に無理がないか等、検討を重ねます。
引き渡し後、運用開始となりますがメンテナンスも業務範囲とすることもあります。発注者の補助としてメンテナンスの計画を検討することは建物の長寿命化に繋がり、資産価値向上に寄与します。
「CM方式」とは?
CMとはコンストラクションマネジメントのことを表します。
通常の建設工事は、「発注者」と工事を行う「ゼネコン」、そして「設計事務所」の三者間で行われます。しかし、事業の不透明性をクリアにすることや、発注者が判断しづらい専門的なことへの補助を行う役割を第四者として行い、より良い事業とすることを「CM方式」と言います。
もともとは1940年代にアメリカで生まれたもので、現代では大規模な工事や透明性を要求される工事において主流になりつつあります。
ゼネコンや設計事務所の一部の業務として行う場合もありますが、CM方式としてのコンストラクションマネジメントを専門としているコンサル会社などもあります。
コンストラクションマネジメントは、1940年代にアメリカで誕生し、もともとは建築産業ではなく、製造業で採用されていました。
徐々に建築産業でも採用されることが増え、1960年代から1970年代にかけて、コンストラクションマネジメントが大型高層ビルの建設において高い効果があると実証されたため、アメリカ国内で採用されるケースが急増しました。
日本では、1990年代後半に、コンストラクションマネジメントを採用する企業が増え始めて、それ以来、徐々に広がっていきます。
2000年代に入ると、国土交通省が研究会を発足させ、2001年には、「日本コンストラクション・マネジメント協会」が発足しました。
また、2002年には、国土交通省による「CM方式活用ガイドライン」が発行されて、現在では公共事業をはじめとした様々な建設プロジェクトで採用されるようになっています。
工期を短縮できる可能性が高くなる
コンストラクションマネジメントは、計画の立案や設計段階からコンストラクションマネージャーが参加して、施工スケジュールの管理を行います。
施工に関する専門的な知識を有するコンストラクションマネージャーが発注者側として、元請業者とやりとりを行うため、専門的な話にも対応でき、スムーズに計画を進めることが可能です。
一方で、発注者側が専門的な知識を有していない場合、元請業者側は説明に時間をかける必要があり、発注者側も説明された内容の確認する必要があるため、次の工程に進むためには、時間がかかります。
このように、コンストラクションマネージャーが元請業者との間に入ることで、スムーズに計画が進められるため、工期の短縮につなげることが可能です。
総工費の削減できる可能性がある
コンストラクションマネージャーは、過去の案件や市場動向をもとに総工費が適正であるかを判断できます。
当然、適正価格を判断することができれば、相場よりも高い項目に対して値下げ交渉が可能です。
コンストラクションマネージャーが入ることで、総工費が気付かず上がってしまうようなことを避けられるため、総工費の削減につながります。
発注者の業務負担を軽減できる
コンストラクションマネージャーは、発注者の代わりに建設プロジェクトを進行します。
そのため、元請業者との打ち合わせなど、コンストラクションマネージャーの裁量で進められる打ち合わせに関しては、発注者が参加する必要がありません。
また、プロジェクト進行に伴う事務作業に関しても、コンストラクションマネージャーが代行するので、事務負担を軽減することが可能です。
このように、コンストラクションマネージャーが発注者側の業務を代わりに行なってくれるので、業務にかかる手間だけでなく、時間も削減できます。
プロジェクトマネジメント(PM)との違いは?
PM(プロジェクトマネジメント)、CM(コンストラクションマネジメント)のように、よく並びで表記されることが多い両者ですが、違いは何でしょうか。
厳密に言えば違いが定義されているわけではありません。しかし、広く認知されているところでは「設計段階」「発注段階」「建設段階」を業務範囲とするコンストラクションマネジメントに対してプロジェクトマネジメントは、設計段階よりも前の「発案段階」から参画するものとされています。
コンストラクションマネジメントと施工管理の違いは、立場の違いです。
コンストラクションマネジメントは、発注者側の立場に立って、設計や計画立案の段階から、コストや品質、スケジュール、情報管理を行う仕事です。
対して、施工管理とは、工事現場の施工や安全、予算、スケジュール管理などを行う仕事になります。
よく混同されますが、全く違う仕事なので注意が必要です。
建設事業を俯瞰して見ることができ、かつ専門的なことにも明るい必要があるため、建築としてのエキスパートである一級建築士は必須と言えます。もちろん資格を所持しているだけではマネジメントすることはできないので現場での経験も重要です。
コンストラクションマネジメントは比較的最近の仕事であるため、まだそれを専門としている研究機関は多くはありません。まずは基礎となる建築を学ぶため、建築学科などで知識を蓄えることが重要です。
コンストラクションマネジメントの需要は、将来的にさらに拡大すると予測されています。
その理由は、人手不足や働き方改革によって工期の延長やコストの増加などが考えられ、プロジェクト管理の重要性が高くなるためです。
また、コンストラクションマネジメントを活用する効果や理解が深まったことにより、活用ニーズが高まっているのも一つの理由といえるでしょう。
Q: コンストラクションマネジメントとは?
A: 設計段階から発注段階、建設段階までを管理する仕事で、発注者の側に立ち、コスト・品質・工程・透明性・情報などを主に管理します。場合によっては建設後のメンテナンスプログラムまで業務範囲とすることもあります。
Q: コンストラクションマネジメントになるために必要な資格とは?
A: 一級建築士の資格が必須とされており、また実務経験も必要です。コンストラクションマネジメントを専門とする研究機関はまだ多くはありませんが、建築学科で基礎的な知識を学ぶことが重要です。
地図に残る大規模な建築事業に最初から最後まで関われるのは大きな魅力です。コンストラクションマネジメントとして事業に関わり、それにより良い建築となったとしたら大変大きなやりがいを感じることでしょう。
あらゆる専門分野の集合であり、大きな金額が動く建築事業をマネジメントするのは日々の鍛錬が必要です。また発注者と建設会社、設計事務所などの間に入って事業を円滑に進めるためにはコミュニケーション能力が必須です。総合力が必要な、一生涯かけて追い求めることができる仕事です。
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