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建設技術者が「転職」を考えたときに読むコラム 【転職成功録】家族のサポートと転職エージェントとの相性で転職は成功する⁉

やりがいをもって仕事に取り組みたい建設ワーキングマザーの望みは、どうしたら叶うのか。ひとりの女性の転職成功談がヒントになるかもしれません。

建設業界はいまだに「3K」だと言われています。そんな中でも女性活躍が叫ばれていますが、出産や子育て、家庭との両立……女性にはまだまだハードルばかり。それでもやりがいをもって仕事に取り組みたい建設ワーキングマザーの望みは、どうしたら叶うのか。ひとりの女性の転職成功談がヒントになるかもしれません。

激務のスペシャリストからゼネラリストへ

「ワークライフバランスを充実させたい、でも技術者としてのキャリアアップもしたい。それらが一番の望みだったんです」
西新宿のビル群が見渡せるオフィスで、Iさん(仮名)はそう語りました。

 

nisishunjuku

 

幼い子どもふたりを育てる彼女は、社会人10年目にして転職。以前の職場は、大学院を出て2011年に入社した建設コンサルタントでした。

 

「最初は河川や砂防の改修設計や土砂災害ハザードマップを作成する部署でした。それから震災復興のため被災地に赴いて区画整理事業に携わり、それから某デベロッパーに出向。今年の春までは面開発・設計を担当する仕事に従事していました」

 

さまざまな現場を経験してきたIさん。仕事のやりがいはあったものの、キャリアの中で結婚や産休、育休を経て変わる事情や価値観と仕事とのズレを感じていました。

 

「最後の部署では時間外の就業が月150時間に達し、平日はタクシーで帰るか徹夜で仕事するかというぐらいの状況でした。土曜日も基本的には朝から出社。独身ならまだよかったんですけれど、子どももいるので……夫と近くに住む祖父母にフル稼働してもらっていましたが、1か月は保育園にすら行けなかったので、保育園の先生から『お母さん大丈夫ですか……?』と心配されるほどでした」

 

Iさんにとって辛かったのは、彼女の現状を上司が気にも留めていなかったこと。反骨精神豊かな彼女はなにくそと奮闘してきたものの、年末年始でさえも休みすら満足に取れない状況になり、「さすがにこれは続けられないかも……」と痛感しました。

 

また、10年目にして自分のやりたいことを見つめ直したのも転職の理由のひとつです。

 

「前職は本来、異動がそれほど多くない会社なんです。そこでみんなコンサルタントというスペシャリストを目指している。私はいろいろな巡り合わせもあって部署を異動することが多く、結果的にゼネラリストになった。それを『転々としているから専門性がないよね』と揶揄する人もいた」

 

とはいえIさん、これまで培った専門技術を活かして働きたいと思うと同時に、元来の性分が新しもの好きでもあり、ゼネラリスト的に幅広い業務に携わりたいという想いもありました。

 

ワークライフバランスを実現しつつ、自分のやりたい仕事に就きたい。そんなIさんの望みを叶える仕事はあるのでしょうか――?

ニーズを汲み取り、志望企業を決定

転職サイトに登録したIさんのもとへ、即座に多くの転職エージェントから声がかかりました。そんな中、ヒューマンタッチ(現・ヒューマンリソシア)・柳本からのメッセージが目に留まりました。

 

「ちゃんと顔写真が載っていて、実績も見て『なんだか感じがよさそうで、しっかりしてそうな方』という印象でした。どうせなら美人な方に対応してほしいなと……」とIさん。「いやいやいや!」と笑いつつツッコミを入れる柳本。奇しくも、ふたりは同い年の女性であるという共通点を持っていました。

 

いっぽうで柳本は「大学院卒で、1社経験で30代前半。この経歴ならJABEE認定課程の技術士補も持っているのでは」と判断。たしかに、Iさんは技術士補であり、さらに技術士取得に向け勉強し試験も受けて、結果待ちの状況でした(編集部注:内定後、無事合格)。彼女の鋭敏なセンサーはビビッと反応しました。仕事が忙しく時間の捻出が難しかったため、複数エージェントとのやりとりや複数企業の選考を同時並行で進めるのは難しいと思っていたIさんは、初転職をまず柳本ひとりに賭けることにしたのです。

 

やりとりをはじめてから一週間後のある日曜日、ヒューマンリソシアの面談室でふたりははじめて顔を合わせました。

 

「その前に会った某大手転職エージェントの担当さんは建設業界にあまり明るくなくて、こちらが求める情報を得られなかった。あげくに自分の話をしはじめちゃったので、『……別にあなたの話を聞きに来たんじゃなくて、私の悩みを聞いてほしかったんだけどな~』みたいな(苦笑)。結局、転職への不安も解消できず、転職活動は無理かも……と思いながら帰りました」

 

「でも柳本さんは建設業界に精通していて伝えるべきところはきちんと伝えてくださるし、それでいてとても聞き上手で、自分の市場価値や譲れない条件など転職にあたっての優先順位を整理してくれた。最初からすごく好印象でした」とIさんが言えば、「初回の面談ではいろいろとお話しいただくのがメインなので、それほどメモを取ることはない感じなんですが、履歴書や職務経歴書の書き方についても一つひとつ丁寧にメモを取られていて、本当にマジメで熱量の高い方だと感じました。そこまでメモを取る方ってそういないんです」と柳本は当時のIさんに対する印象を述べました。

 

そんなIさんには意中の企業がありました。独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)です。

 

「結婚直後は更新料がかからず、手入れが万全できれいなURの団地に住んでいましたし、震災復興の現場でも業務の関係でURの事務所に足を運んでいました。通常の技術基準に加え独自の基準を持っているほどプロフェッショナルさを求める彼らは、実はコンサル泣かせなんですよね(笑)。高い技術力を持っている人が多く、コンサルなのに太刀打ちできないこともあって……」

さらに技術士の勉強において国が抱える諸課題を知り、それを解決したいと思いはじめていました。しかし発注者側に転職すると、現場から離れ、技術者としての成長を諦めなければいけないかもしれない。それでもURなら、引き続き自分は技術者として輝けるのでは――IさんのURに対する想いは膨らんでいました。

 

ちょうどURの求人応募締切が1週間後に迫っていました。

URについては、柳本がアプローチする前に会ったエージェントからも提案されていたものの、「『URは異動があるので、ご希望の条件には合いませんよ』と言われた」んだそう。
いっぽうで柳本は、「IさんはUR都市機構に向いている人だ!」と最初から思っていたんだとか……。
「URさんは『幅広く仕事をしたい人を求めています。私はこれしかやりたくありません、という人はウチの会社に合わないですよ』と聞いていたので、Iさんは条件ピッタリじゃん……! と」

 

こうして、ふたりはUR内定を目指してタッグを組みました。

 

HT 柳本(左)とIさん(右)
HR柳本(左)とIさん(右)

家族とエージェントの支えで掴みとった内定

書類選考やSPIを無事終え(マジメなIさんはちゃんとSPI対策本を買った)、いよいよ面接へ。Iさんが振り返ります。「自己PRなどをしっかりと添削していただいたのが大きかったですね。私が『UR団地に住んでいた』と書いていたら『じゃあ住民としてよろしく』となるだけだから、こういう書き方をしたほうがいいですよ、とアドバイスをいただきました」

 

柳本も「URさんは、いままであったエピソードを語るだけでなく、『それでどう感じたんですか?』『URに入ってどうしたいですか?』というスキルや今後のビジョンまで具体的に説明を求められる傾向にあります」と分析。「だから、それをちゃんと筋が通る説明をしてくださいね、とお伝えしたくて」――。

 

さて、最終面接で3分想定の自己PRを用意したIさん。しかし、面接官からの指定は「1分で」。おかげでリズムが狂ってしまい、アピールしたいことも言えず、本人的には不完全燃焼で終わりました。「ああ、もうダメだったかも……って泣きの電話を柳本さんに入れました」。実質2回目の転職面接で面接慣れしておらず、平常心を失うのも仕方ないと言えます。

 

しかし柳本の見立ては違いました。

「最終面接は意外にあっさり終わるケースもあるし、一概にあっさり終わったからダメだということはない。すごく落ち込んでいらしたので、『いやいや大丈夫ですよ。絶対に受かっているはず』と言いながら、いい結果を早く報告しようと……」。すぐにUR人事担当者に「Iさん、どうでしたか?」と問い合わせた結果は――やはり「合格」でした。

 

Iさんは「仮に自分ひとりでURを受けていて、励ましてくれる人がいなかったら、もっとつらかったかもしれないし、ダメだったかもしれない――そもそも私は柳本さんにお金払っていないじゃないですか(笑)。だからこんなにしていただいちゃって申し訳ないぐらいです」と振り返ります。

 

実力があったとしても、対策法のレクチャーはもちろん、メンタル的なサポートをしてくれる存在がいなかったら――転職においてメンター的な存在の必要性は意外に知られていません。Iさんがビビッときた柳本は、まさにその役割を果たしたようです。

 

「業務でURと関わったこともあった夫は『URに転職もしてほしかったし、URに入ってほしかった』と応援してくれました。またCMもやっているからウチの子どもも「『URであーる!』でしょ」と言ってくれたり(笑)」

 

家族の応援を受けて入社し、転職初日に「時短勤務は考えてる?」と上司に訊かれて、面食らったIさん。また管理職がムダな残業をせずに早々に帰ることにも驚きました。「管理職が早く帰ると、部下も帰りやすくなるんですよね」と、前職の余裕のない管理職を見てきた彼女の言葉には実に重みがあります。普段は余裕を見せつつ、トラブルがあれば責任を持って最前線で対処する姿は、部下にとって「自分も早くそうなりたい」というモチベーションにつながるのだとか。

 

上司や同僚に転職者が少なくてよそ者扱いされるかな……とひそかに心配していた彼女ですが、予想以上に転職組が多く、他部署との社内打ち合わせで「自分も中採(中途採用)だよ」と声をかけてもらえることもしばしばで、心強く思ったんだとか。

 

「いまはこれまで取り組んでいた仕事の延長線上にある設計の仕事をしています。ぜんぜん違和感なく溶け込めました。でもこれからは計画の仕事もしたいし、ゼネコンから転職してきた人が『もうちょっと現場の近くにいたいな』と言っているので、私ももうちょっと現場よりの仕事もやりたいなあと思います。あとは海外への技術者派遣もおこなっているので、英語力を上げて子どもが大きくなったら……」と語る彼女。ゼネラリストの本領はいかんなく発揮されそうです。

 

「家族みんなが幸せになる転職をしたかった」というIさん。団地と同じようにURオフィスで終業時刻に流れる「ゆうやけこやけ」のメロディを聞きながら、これから彼女は幸せな家路につくことでしょう。

 

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※コンサルタントの所属は2021年3月現在のものです。

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