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建設技術者が「転職」を考えたときに読むコラム 「転職して管理職=無能」に? 「ピーターの法則」から学ぶ生き方

「優秀な社員が管理職になったとたんに無能に」。よく聞く話ですが、自分が管理職になったときそうならない保証はありません。ではどうすればいいのでしょうか?

「上司は現場のことを分かっていない! 彼らにはマネジメント能力がない!」
業務において、起こりがちな管理職と現場社員の価値観や認識のズレ。上記のように日々、憤っている方もいるのではないでしょうか。

そして、こう思うのでは。こんな管理職の下ではやっていられないから転職を考えよう。自分が管理職ならもっとちゃんとしたマネジメントができるはずだ……と。おあつらえ向きなことに、世の中には「管理職」あるいは「管理職候補」を求める求人が一定数あります。

しかし、ちょっと落ち着いて考えてみてください。なぜその上司は昇進し、管理職となっているのかを。あなたがもし管理職になったら、その上司よりデキる管理職になれるのでしょうか……?

管理職が無能になる理由

「優秀な社員が管理職になったとたんに、無能になる説」。

 

ダウンタウンの某番組ではありません。

いまから50年以上前、この説を唱えた人がいます。その名はローレンス. J. ピーター。1919年カナダ生まれの教育学者は、同じくカナダ生まれの小説家レイモンド・ハルとともに出した共著の中で、「ピーターの法則」を唱えました。その内容は……。

 

・能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。したがって、有能なヒラ構成員は、無能な中間管理職になる。

・時が経つにつれて、人間はみな出世していく。無能なヒラ構成員は、そのままヒラ構成員の地位に落ち着く。また、有能なヒラ構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は、無能な人間で埋め尽くされる。

・その組織の仕事は、まだ出世の余地のある人間によって遂行される。

(出典/Wikipedia)

 

あなたのまわりを見てみましょう。同期でも先輩でも後輩でも、同じ入社年でも「出世頭」と言われた人がいるはずです。そうウワサされたからには、入社時に有望であると見込まれたり、入社して配属後に実際に優秀な成績を収めたりしたのでしょう。そしてその活躍を見れば、人事部だけでなく、だれもが「そりゃあの人は優秀だから出世するよね」と納得したはず。

 

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しかし、その人はいま、優秀な管理職でしょうか? 

 

かつては「未来の役員候補!」だったはずなのに、何年も部長クラスで足踏みしていたり、スポットライトを浴びていたころの面影もないぐらい窓際に引っ込んでいたり、精神論とパワハラまがいのやり方のせいで要注意人物扱いになっていたり、部下に責任を押し付けるだけで器の小ささが露呈してしまっていたり……。

 

これが「ピーターの法則」です。

 

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誤解しないでいただきたいのは、彼らは決して「無能」だったわけではないということ。管理職になるまでにかぎっては、たしかに有能だったはず。それがいざマネジメントとなったとたんに「無能」になる。管理職の仕事が特別に高難易度というよりも、スキルや適性が理由と言っていいでしょう。

 

「無能な管理職」となるにしても、そこにはいくつかのレイヤーが存在します。係長ではよくても課長ではパッとしない、実績を挙げた支社長が役員では力量不足、現場で輝いていた所長が事務系のトップになったら借りてきた猫のよう……。管理職として有能であるには、それぞれの管理職の仕事にアジャストできる力が求められます

 

スポーツの世界でよく言われる「名選手、必ずしも名監督にはあらず」。それはビジネスパーソンとて例外ではないのです。

管理職かヒラ社員として生きるか

さて、あなたが転職に際し年収を上げたいと考えたとき、「現在より年収アップ、そのかわり管理職候補で採用。いずれは管理職としてマネジメント業務を担ってほしい」というオファーが舞い込んでくる場合が。

 

映画『シン・ゴジラ』で、登場人物同士の会話に「出世は男の本懐だろう」というセリフがありました。今やジェンダー的観点で見れば眉をひそめられかねないセリフですが、令和の日本でも出世(“キャリアアップ”とも言い換えられますが)に価値を置く風潮は存在します。「出世」という言葉に心惹かれる向きもいまだ多いのではないのでしょうか。

 

ただし、これまで述べてきたように、悩ましいのは「自分が無能な管理職になる可能性がゼロではない」という点。こればかりはやってみなければ分からないというのが正直なところです。そして「有能な社員が無能な管理職になる」なら、逆もまたしかり。もしかすると無能とは言わないまでも、社員のときはパッとしなかった人が、管理職になったとたんに輝きを放つかもしれないのです。

 

それから、「管理職」あるいは「管理職候補」求人が出てきた背景についても注意深く見る必要があるでしょう。企業がなぜ募集をしているのか。その理由にはポジティブなものもネガティブなものも考えられます。

 

①組織の新設・拡大によるニーズ
②企業の弱みである分野を補いたい
③外部人材を管理職に就けて組織活性化を図りたい
④管理職を担うべき人材の絶対的不足
⑤生え抜き社員が何らかの理由で管理職になりたがらない

 

逆に出世の道を断り、管理職にならず現在の地位にとどまる。それも賢明な生き方です。特に現場を愛し、いつまでも自分の手を動かしていたいと考える建設技術者ならなおさら……。

 

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「ピーターの法則」が教えてくれるもうひとつのこと。それは「無能な管理職の下でも、『管理職になって無能になる前』の有能な社員がいるおかげで会社が回っている」という事実です。無能な管理職の不毛なマネジメント下でも、有能なあなたやまわりの社員がくさらずに奮闘しているおかげで、仕事はきょうも無事に回っています。

 

自分が「有能」であり続けるため、一生現場主義でいく。そのスタンスのままもし転職するならば、いかに年収が上がろうとも「管理職求人」を検討すべきではないでしょう。

 

ピーターは「現在のポジションにとどまるため、ある種の“無能さ”を装う必要がある」とし、これを「創造的無能」と名付けました。

 

無能を装う――無能ではないのにそんなことまでしなくてはならないのか、と心外に思うかもしれません。しかし、ピーターはこうも言いました。「もしも十分な時間と階層があれば、すべての人間は無能になる」。やや極端な意見だとも思いますが、ピーターの言うとおりにすべての人が無能になるというなら、答えはふたつにひとつ。

 

出世して収入と地位を得るかわりに「無能な管理職」として生きるか。

現場でのやりがいを第一に置いて、実質的には有能な「創造的無能社員」として生きるか。

 

あなたの転職活動において、ひとつ持っていてもいい視点かもしれません。

 

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