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建設技術者が「転職」を考えたときに読むコラム 【ZEH】「省エネ住宅大推進時代」に建設技術者が求められること

グリーン社会の実現という旗印のもと、政府が新たな振興策「ZEH」を打ち出しました。耳慣れない言葉ですが、あなたの転職活動計画にも深く関わってくるかもしれません。

高速道路料金の休日上限1,000円、エコポイント、エコカー減税、エコカー補助金……過去10~15年の景気テコ入れ策を覚えているでしょうか。メリット/デメリットはあれど、これらの政策によって需要が喚起されること、たしかにありますよね。
コロナ禍で低迷する日本経済に対して、政府がこのたび新たな振興策を打ち出しました。
それは、あなたの転職活動計画にも深く関わってくるかもしれません。

省エネ住宅をなんとか推進したい政府

2020年12月8日、政府は「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」を閣議決定しました。概要をまとめた一文を引用します。

 

低迷する住宅投資に対しては、効果的な需要喚起につなげるべく、税制やポイント制度など、テレワーク対応や地方への移住、脱炭素化といったポストコロナの課題に対応する視点も踏まえた即効性のある支援策を講ずる。(出典/内閣府HP)

 

具体的には下記のように記されています。

 

② グリーン社会の実現のための国民のライフスタイルの転換等
財・サービスの消費という視点から見た場合、我が国の温室効果ガス排出量の約6割が家計消費に起因しており、グリーン社会の実現のためには国民のライフスタイルの転換が必要である。また、CO2排出量が実質ゼロである「脱炭素地域」の創造など経済社会の変革を行う。このため、グリーンで災害に強い電気自動車や燃料電池自動車等の普及による「移動の脱炭素化」や断熱リフォーム等の支援による「住宅等の脱炭素化」を推進し、脱炭素ライフスタイルへの転換を図る。(出典/内閣府HP)

 

これに加えて報道によると、次のスキームが検討されているようです。

 

・東京23区在住者・勤務者が地方移住の際に、あるいは土砂崩れなどの危険性が高い「災害レッドゾーン」住民が住居移転であらたに住宅を購入した場合、最大100万円分の家電や雑貨と交換可能ポイントを付与

・1ポイント=1円分相当。家電や家具の購入のほか、テレワーク用間仕切り、防音対応など追加工事費に使える

・ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)など省エネ性の高い新築住宅に40万ポイントを付与

・地方への移住、子供3人以上の世帯、「災害レッドゾーン」からの移転のいずれかに当てはまる場合には、60万ポイント上乗せして100万ポイントに

・2021年の通常国会で第3次補正予算成立後、来春実施を予定

(出典: 2020年12月11日付 日本経済新聞)

 

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コロナ禍を機に従来の就業環境に変化が起き、都市部からよりテレワーク環境が快適な地方への移住が加速しています。「脱炭素とデジタル化」をキーワードにしている菅政権が、都市部の一極集中緩和や災害リスク対策もあわせて、懸案の省エネ住宅建設をなんとか後押ししようという意図が垣間見えるのです。

見送られた「住宅の省エネ基準2020年適合義務化」

1979年に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」。それに対応し、建築主に向けて住宅性能水準を詳細に定めた大臣告示が「住宅の省エネルギー基準」(以下、省エネ基準)です。

 

法改正にともなって現在に至るまで省エネ基準も幾度となく改正を重ね、徐々に厳しい内容となってきました。その変遷と特徴です。

 

年次改正の概要
1980年旧省エネルギー基準
1992年新省エネルギー基準
→断熱性の基準強化
1999年次世代省エネルギー基準
→断熱性の基準強化・日射遮蔽性の基準新設
2013年平成25年省エネ基準
→断熱性・日射遮蔽性・一次エネルギー消費量の基準新設
2016年平成28年省エネ基準
→平成25年省エネ基準の一部見直し(断熱性・日射遮蔽性・一次エネルギー消費量)

 

国土交通省はこれまで努力義務とされてきた最新の省エネ基準である「平成28省エネ基準」適合を義務化し、基準以上の断熱性能を持たない住宅の新築を2020年以降は認めない方針でした。これによって温室効果ガスが削減され、いわゆる「脱炭素」社会に近づきます。また一般の家計的に見れば光熱費が軽減できるメリットもあるでしょう。

 

しかし2018年末、当の国交省から、「延床面積300平方メートルの小規模住宅においては義務化を延期する」旨の通達が出されたのです。

省エネ基準義務化が見送られた理由として考えられるのは、次の点です。

 

  • ① 初期費用が高い省エネ住宅で顧客離れが起き、消費が冷え込む
  • ② 省エネ基準を満たす新築住宅はいまだ6割程度にすぎず時期尚早
  • ③ 中小工務店に適合義務化を果たすための技術が不足している
  • ④ 省エネ基準不適合の既存住宅の資産価値が下がる

 

見送りの是非についてはここで論じませんが、注目すべきは③です。国土交通省の資料によれば、「戸建住宅の約4割を供給する中小の工務店では省エネ技術が十分に浸透していない」とされており、具体的には「一次エネルギー消費量及び外皮性能の計算について、従業員規模が小さい事業者ほど『計算できない』割合が高くなる傾向がある」と記されるように、省エネ基準に対応できる技術者不足が要因とされたのです。

 

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「ZEHバブル前夜」に建設技術者はなにをすべき?

政府は2019年10月の消費増税時、「次世代住宅ポイント制度」を創設。省エネ・耐震性能に優れた住宅の新築・改築に対しポイントを付与し、2020年8月末までに約45万戸(新築17万・改築28万戸)の建設を支援しました。冒頭の省エネ住宅推進政策により、省エネ住宅の需要は確実に高まるでしょう。

 

政府が推進する省エネ住宅、それは「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、通称ゼッチ)」と呼ばれています。といっても住宅に関わりのない建設業界人からすれば「……ZEHとはなんぞや?」となるでしょう。経済産業省の外局である資源エネルギー庁では、ZEHを以下のように定義付けています。

 

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは

ZEH(ゼッチ/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。

(経済産業省 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」より)

 

政府は、「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」と政策目標を設定して補助金制度を充実させるなど、ZEH普及に積極的な姿勢を見せています。

 

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ZEHに追い風。それはすなわち、いまからでもZEHに関する知識や技術をしっかり学び経験を積んでおけば、転職市場においてチャンスが広がることを意味しています。建築士は、いずれにしても来年春から建築主に対する省エネ基準についての「説明義務」が生じるため、いまから評価方法をしっかり学んでおかなくてはなりません。むしろZEH建設ノウハウが豊富な「ZEHビルダー」に転職して経験を積むのもひとつの手でしょう。

 

電気工事施工管理技士や電気工事士の資格を持っている人なら、ZEHに不可欠な住宅用太陽光発電システムの電気工事施工管理などへの転職が狙い目となりそうです。

 

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やがていつか来る政府が「住宅の省エネ基準適合義務化」に踏み切る日、ZEHのノウハウ豊富なあなたは、世の中から引く手あまたの人材となっているかもしれません。

 

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