建設技術者が「転職」を考えたときに読むコラム 「建設業界でも副業できる会社」に転職しよう
滅私奉公しても会社が守ってはくれない時代。自身のキャリアを積極的に拓いていこうと考えているなら、副業可能な企業を転職先候補に入れてはどうでしょうか？
収入を得るために本業以外に取り組む仕事、それが「副業」。“副”となっているとおり、本業なくして副業は成り立たず、あくまで主従の関係にあります。「サイドビジネス」という言い方が正しいかもしれません。
同じ音の「ふくぎょう」でも「複業」の場合はニュアンスが異なります。主従の関係ではなく、同時並列の関係であり、こちらは「パラレルワーク」というべきでしょう。
副業には２つのパターンがあります。それは資格やスキルを活かすものと、本業とは無関係な未経験者でもはじめやすい仕事です。
後者はWebライターやブログ収入（アフェリエイト広告）、ネット物販、さらにはUber Eatsなど誰でもはじめやすいものが多いのですが、ハードルが低いゆえに参入者も多く、相応の時間と手間を要するため、作業に追われて消耗してしまうかもしれません。
その意味では、建設技術者として培ってきた専門性や資格を活かして副業に取り組んだ方がストレスもかからないといえるのではないでしょうか。
すこし変わったところでは、古建築好きが高じて「看板建築」本を出版したゼネコン勤務の一級建築士もいます。副業もやり方はいろいろ、です。
ここでひとつ注意しておきたいのは、「副業の向き／不向き」。
副業は本業以外の時間（＝余暇）を費やすもので、限りある時間を使うため、肉体的・精神的な疲労が蓄積し、本業に支障が出るおそれもあります。また建設業界は技術や経験・ノウハウなど機密性の高い情報があります。これをうっかり漏洩するような事態になれば、やはり本業に大きな影響が出るはずです。
端的に言って、「副業を何のためにおこなうか」の目的意識がはっきりしておらず、また時間管理・収支管理・情報管理がルーズだと自覚しているならば、副業に手を出さず、本業に専念すべきかもしれません。
……そうは言いつつも逆転の発想で、自分の目的意識やルーズさと向き合い、それを改善して成長していくために副業をはじめるという考え方もありますけれどね。
副業は、それを許可している会社でなければ、はじめることすらできません。就業規則で認められていなければ、発覚した場合、会社から処分を受ける危険性があります。
2018年、厚生労働省はモデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除。副業・兼業について規定を新設しました。
これを機に、副業を解禁する企業が現れはじめています。ただしそれはソフトバンクやサイバーエージェントなどのIT企業や、スタートアップ・ベンチャー企業など中途採用者の多い業界やジョブ型雇用が強い会社が多く、建設業界のように新卒採用重視型・メンバーシップ型の企業が多い業界では、まだまだ一般的ではないのが現状です。
それでもこの2020年時点で、アサヒビールやみずほフィナンシャルグループなど、お堅そうな大企業にも副業解禁の波が押し寄せています。
建設業界でも、深刻な人材不足から従来の人事採用・育成制度を見直され、多様な働き方を認められつつあります。
建設転職ナビ「求人検索」で「副業」のキーワードを打ち込んでみましょう。2020年12月時点で３件の求人が見つかりました（充足その他の理由でリンク先が見つからない場合があります）。
TMES株式会社（旧高砂丸誠エンジニアリングサービス)
高砂熱学工業が親会社のTMES。近年ワークライフバランス向上に力を入れており、土日祝日休みの完全週休二日制勤務や1時間単位での有給休暇可能などが売りです。
オリックス・ホテルマネジメント株式会社（旧：ブルーウェーブ株式会社）
抜群の安定感を誇るオリックス・グループ。そのオリックス不動産100%出資会社です。関東３件・関西１件のホテルや研修施設管理業務をメインにしていましたが、2020年４月からグループ内他社と統合し、ホテル管理数も大幅拡大。東京スカイツリーの足元にあるすみだ水族館の業務支援もおこなっています。ちなみに統合までは「ブルーウェーブ」という社名でした（野球ファンにはなつかしい名前！）。
株式会社Ｍ＆Ｆ
建築総合アウトソーシング事業を手がけるM＆F。RevitやAutoCADを使用し、スーパーゼネコンなどによる数十億～数百億円規模の大型プロジェクトの施工図を描くBIMオペレーター職です。やはりこの特殊技能を活かしての副業、ということになるかと……。
この３件以外にも、副業解禁しつつも、社外にアピールすることにまだ抵抗感を持っていて、おおっぴらにしていないケースもあります。もしあなたの気になる会社があれば、「副業は可能かどうか、（現在は認められていなくても）制度導入を検討しているのか」を担当キャリアアドバイザーを通じて企業側に確認してもらったほうがよいでしょう。こういった、自身では直接聞きにくいことを代わりに聞いてもらえるのもキャリアアドバイザーのいいところですので、まだの方は建設転職ナビの無料転職支援サービスにぜひご登録ください。
副業は単に収入が得られるだけでなく、本業に活かせる新たな視点を獲得したり、思いがけない人との出会いから人脈が広がったりする可能性を秘めています。副業が次の転職の手助けをすることもあるはず――。
これから来るのは、滅私奉公しても会社が守ってはくれない時代。自身のキャリアを積極的に拓いていこうと考えているなら、副業可能な企業を転職先候補に入れることをおすすめします。
