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建設技術者が「転職」を考えたときに読むコラム 【ICT施工】「i-Construction」をUターン・Iターン転職のカギにする

Uターン・Iターン転職を考えているあなた。どうやって転職先の企業を選びますか? 「i-Construction」がヒントかもしれません。

Uターン・Iターン転職を考えているあなた。どうやって転職先の企業を選びますか?

地方の建設企業といってもさまざまですが、建設業界が人材不足や生産性の観点からICT化を迫られているのは全国共通の課題。しかし、ICT化に理解を示し、巨額の設備投資ができるのは、都市部や規模の大きな会社だけ……と思いがち。しかし地方にもICT化を積極的に進める「小粒でもぴりりと辛い」先進的企業があります。
ではどうやってそんな企業を探すのか? ――そこで注目したいのが「i-Construction大賞」。これ案外、Uターン・Iターン転職希望者にとって大きなヒントとなると思いますよ。

i-Constructionとは?

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「i-Construction(アイ・コンストラクション)」とはなにか。国土交通省は「調査・測量から設計・施工・維持管理までのあらゆるプロセスでICT等を活用して建設現場の生産性向上を図る」と定義付けています。2016年から次の3本柱で推進中です。

 

  • ICT技術の全面的な活用(ICT土木)
  • 施工時期の平準化
  • 規格の標準化(コンクリート工)

 

「i-Construction」と謳うからには、①の「ICT技術の全面的な活用」が目玉と言っていいでしょう。2018年に公開されたロードマップは「全ての建設生産プロセスでICTや3次元データ等を活用し、2025年までに建設現場の生産性2割向上を目指す」としています。

 

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目指すは「3K(キツイ・汚い・危険)」から「新3K(給与が良い、休暇がとれる、希望がもてる)」への転換です。

 

このi-Construction推進のため設立されたのが「i-Construction推進コンソーシアム」。コンソーシアムには一般公募によって法人・行政・有識者(大学等研究機関の研究者)が会員として参加しており、法人会員数は2020年12月時点で1,082社です。国土交通省はこの活動を支援するポジションです。

 

同コンソーシアムは、次の3つのワーキンググループに分かれています。

 

  • ① 最新技術の現場導入のための新技術開発や企業間連携を促進し、建設現場の生産性向上を目指す「技術開発・導入WG」
  • ② 3次元データの流通のためのデータ標準やオープンデータ化により、シームレスな3次元データ利活用環境整備、新たなビジネス創出を目指す「3次元データ流通・利活用WG」
  • ③ i-Constructionの海外展開方策を検討する「海外標準WG」

 

さらにコンソーシアム企画委員会には、ベストセラーとなったビジネス書『イシューよりはじめよ』『シン・ニホン』の著者で、慶應義塾大学SFC教授/ヤフーCSOの安宅和人氏や、企業再生人として知られる経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEOの冨山和彦氏ら、ビジネスパーソンにはおなじみのメンバーが委員として参画しています。

i-Construction大賞の設立

そんな中、2017年度にはじまったのが「i-Construction 大賞」。各発注機関の受注した工事・業務(元請け・下請け問わず)や各団体が独自に実施した取組において、その年に優れた実績をあげた取組で応募し、地方整備局などからの推薦や国土交通省内に設置された「i-Construction大賞選考委員会」における審議で決定されます。直近「令和元年度i-Construction大賞」は、i-Construction推進コンソーシアム会員のみが投票できる形式となっていました。

表彰に際しては「新技術の実装」「研究開発」「ベンチャー企業の連携」というテーマが設定されています。

 

開催初年度は直轄工事が対象とされ、12団体(国土交通大臣賞2団体、優秀賞 10 団体)が受賞しました。

2018年度は地方公共団体等の発注工事やi-Construction推進コンソーシアム会員の取組などに対象を拡大。計25団体(国土交通大臣賞 3団体、優秀賞 22団体)を決定しました。2019年度も計25団体が表彰されています。

 

ただ、どれぐらいの数の応募があったのか、どのように選考・決定されているのかなど、「賞」としてはやや不透明な部分もあります。また、ICT化推進の手助けとなる「i-Construction(ICT施工)の導入に関する補助金」はすでに申請自体が打ち切られており、それと昨今のコロナ禍のせいもあってか、令和2(2020年)度大賞についてはしばらくアナウンスがありませんでした。

ようやく2020年8月から「令和2(2020年)度 i-Construction大賞」の募集を開始したものの、例年なら年内12月に結果発表されるところ、2021年1月末現在でも、結果についての発表はありません。

 

さて、このi-Construction大賞の過去3年分の受賞者は下表のとおりです。

 

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i-Construction大賞受賞企業の英断

ここで国土交通省の有識者会議におけるデータをご紹介しましょう。「ICT施工の普及拡大への課題」です。

 

【ICT施工の普及拡大への課題】

○ICT施工を中小企業に普及させるための課題は費用面に関する不安感がある。

▼投資環境

・「ICT建機」や「測定機器」が高額なため、中小規模工事での導入コストの投資に見合わないことや、工事での採算性に不安がある。

▼費用面

・ICT施工に必要な機材の初期コストや建設機械が高い。

▼ICT施工への理解度不足や人材育成

・企業役員・職員の理解不足
・企業職員に3次元に係る人材がいない。

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引用/ICT導入協議会(第11回、2020年8月5日開催)

 

日本建設業連合会(日建連)によれば、建設業者の大半は中小・零細業者。中小企業においてICT化は「生産性向上のメリットが大きい」と認知されつつあるも、いざ導入となると、さまざまな面からまだまだ高いハードルがそびえ立っていることは紛れもない事実です。大きな投資に対して見合うリターンが得られるのか、と二の足を踏む企業がほとんではないでしょうか。

 

いっぽうで、i-Construction受賞企業は地域に根付いた会社が多く、また社員数50~100名ほどと決して規模が大きいわけでもありません。それでも、万難を排してICT化を決断しました。いったいなぜ……?

 

受賞企業がICT化した経緯や苦労、メリットを各記事よりまとめてみました。

 

1 石井建材(2019年度i-Construction大賞 優秀賞)

「田村社長がICT建機と出会ったのは2016年のこと。『こんなに便利なものがあるのかと驚いた』。約2500万円をかけてマシンガイダンスを2台購入、すぐに現場に投入した。田村社長いわく、重要なのは『使える時にとにかく使う』こと」

建設通信新聞 2020-03-16より引用

 

2 福留開発(2019年度i-Construction大賞 優秀賞)

「i-Conが始まった頃、当社にもいろいろな外注業者からの売り込みがずいぶんありました。『ドローン飛ばしますよ』『解析しますよ』『納品データ作りましょう』って。確かにコストを惜しまなければ、外注業者を利用してICTも完璧にできるでしょう。しかし、それでは社員にノウハウは一切残らないわけで、ICT現場を受注した意味がありません。大切なのは社員がノウハウを身に付けることなのですから、何としても自力でやる必要があります」

福井コンピュータ公式HPより引用

 

3 加藤組(2018年度i-Construction大賞 国土交通大臣賞)

「MG(マシンガイダンス)の導入に要した費用の一部は発注者に負担してもらえたが、『目先だけ見たら大赤字だった』と同社の原田英司土木部長は認める。しかし、原田部長は気にしていない。『次のステップに行くための実証実験と位置付けている。3次元データの扱い方など、多くのことを学べた』」

日経コンストラクション 2019.11.27より引用

 

4 政工務店

「『当初は機械に使われているだけでした』と言うのは同社ICT事業部の藤本竜太課長。『何かあるとすぐにニコン・トリンブルの担当者に質問していました。これでは情報化施工を導入した意味がないと気付き、ほとんどの問題を自分で考えて解決するように改めました。その結果、3年目から情報化施工に関するノウハウが蓄積され、機械を使いこなせるようになりました』」

ダイヤモンドオンラインより引用

 

「生産性向上や社員の安全性向上をなんとかしたい」という高い危機意識、大手企業や都市部に比べてどうしても遅れがちなICT化に対するチャレンジ精神、そのチャレンジの成果に対する国土交通省からのお墨付きは、転職先企業選びの軸のひとつとするにじゅうぶんなのではないでしょうか。

 

「i-Construction推進コンソーシアム」企画委員会委員のひとりであり、この分野の第一人者である立命館大学理工学部教授の建山和由氏はこう述べています。

 

「ローカルな中小企業発のユニークな取り組みや、これまでにないジャンル間の連携によって、建設業界に新たな技術が生まれている」

建設の匠「立命大・建山教授が『i-constructionは地方中小企業にこそ期待』と語るワケ」より引用

 

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あなたがもしUターン転職を考えている、あるいは地方移住&転職を考えているならば、「ICT化」、あるいは「i-Construction大賞」受賞企業を検討材料のひとつに加えてみることをおすすめします。

 

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