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建設技術者が「転職」を考えたときに読むコラム 建設技術者ならあこがれの「発注者」転職

独特の重層構造で知られる建設業界で働く建設技術者にとって「発注者」の立場は一度は立ってみたい場所ではないでしょうか。今回は、そんな発注者の世界をご紹介します。

「元請け」「下請け」「孫請け」なる言葉が示すように、独特の重層構造で知られる建設業界。元請けがもっとも大きな権限を持ち、下位の下請け業者へいくにしたがって諸々の条件は厳しくなります。上位の意向による急な設計・施工の仕様変更、それによって発生した追加工事の手間、不利な契約条件などに、歯がゆい思いをした建設技術者は少なくないのではないでしょうか。

しかしそれはあくまで「受注者」間の話。すべての建築・土木構造物の建設には、設計・施工をおこなう受注者に対しての「発注者」が存在します。いざ参りましょうか、受注者間の軋轢とは無縁の「発注者」の世界へ――。

公共工事の発注者、公務員

建築業界はざっくりと分けると、「受注者」「発注者」のふたつがあります。

受注者は言わずもがな、設計や測量などをおこなう設計事務所や建設コンサルタント、施工を担うゼネコンや工務店、それを支える建材メーカーなど。すべてはクライアントから仕事を請け負う側です。

いっぽうで発注者とは、仕事をゼロから設計・施工者に依頼する立場です。そんな発注者はいくつかのタイプに分かれます。

 

1. 行政(国家・地方公務員等)

2. 建設・不動産系民間企業(デベロッパー等)

3. 非建設・不動産系民間企業(メーカー、外食チェーン等)

 

まずは建設工事といえば、公共工事。土木工事については公共発注分が実に約8割を占めています。その発注者は、いうまでもなく国の省庁や地方自治体です。

 

ヒューマンリソシア総研の「2021年度の国土交通省予算案から見る建設市場の動向」によれば、公共事業関係費はコロナ禍でも落ち込むことなく、防災・減災や国土強靭化に向けて堅調に伸びそう。全国のインフラ整備や多発する災害対策を考えると、そのニーズはまだまだあります。

 

というわけで発注者の代表格が、地方公務員上級職(「大卒程度」「I種」などとも呼ぶ)の建築・土木技術職。建設コンサルタントやゼネコンからの転職先候補として挙がることも多いこの仕事、最大のメリットは地域密着型雇用なこと。とりわけ市町村の職員であれば、「家庭の事情があって地元を離れられない」という人にとっては理想的な環境です。また公務員ならではのバツグンの安定性も魅力。

 

中途採用の場合、公務員試験を突破しなくてはなりませんが、最近は人材不足、とりわけ40代前後の中堅層不足にあえいでいるため、民間企業等職務経験者枠や就職氷河期世代枠などの採用が積極的におこなわれています。かつては受験に年齢制限が設けられていましたが、門戸を広げて人を集めるため、いまは59歳まで受験資格を引き上げているケースも。3~5年周期のジョブローテーションがあり、土木系であれば河川維持や道路建設などさまざまな部署を経験できるのを、魅力と感じる向きもあるのでは……。

 

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ただ、メリットばかりではありません。建設工事の最上流に位置する「発注者」といえども、税金によって雇用されて税金を使って仕事をしている以上、「市民」という厳しいお目付け役がいます。メディアや議員などからあらぬバッシングを受けることも。

 

また部署によって業務量が大きく異なり、場合によってはクレームにも近い市民の声にも対応しなくてはならないため、必然的に残業が多くなるとの声も。地方自治体の厳しい財政事情から残業代が満額支給されることはほぼなく、給与は不景気でも下がりませんが、好景気でも上がらないのもまた公務員の宿命……。

 

そして天災によって被害が発生しそう/した際には、不眠不休で出勤し、街やインフラ設備を守らなくてはいけません。したがって巷でささやかれるような「公務員はラクそうだから」という理由での転職は決しておすすめしません。「市民のため、愛するまちのため」という使命感なくして、務まらない仕事なのです。

 

なお、公務員ではありませんがUR都市機構も公益法人の発注者としての側面を持っています。当サイトでも、以前にUR都市機構への転職を成功させた方へのインタビュー記事を載せていますので合わせてお読みください。

建設・不動産系の発注者

つづいては、おなじみ「建設・不動産系企業」。具体的にはデベロッパーや大手ゼネコンなどにおける設計/施工監理やPM(プロジェクトマネジメント)CM(コンストラクションマネジメント)ビルマネジメントなどの仕事です。

 

中でも、いま日本でもっともお金を動かしている「発注者」といえば、三井不動産・三菱地所・住友不動産に代表される大手デベロッパーに並ぶ者はそういないでしょう。ゆえに非常に安定性が高く、転職すれば大幅な収入アップを果たせるはず(もっとも、コロナ禍やインバウンド需要の低下によるテナント撤退は頭が痛いところでしょうが……)。

 

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「発注者側」と言えど同じ業界で地続き。これまでの設計/施工管理経験を業務にじゅうぶんに活かせるのが魅力的。異なるのは「より俯瞰的な視点」が求められることでしょう。

 

これらの企業の場合、プロジェクトを遂行するために「チームづくり」を行います。デベロッパーであれば、計画時には広告代理店やコンサルタント会社とも議論を交わし、設計事務所やゼネコンなどの下請け会社へ「発注」を行い、プロジェクトに対して最適な人員を集めます。その意味で適切なメンバーを選んで強いチームをつくり、同じベクトルに向かって統率する力と高いコミュニケーション能力が求められます。

 

もちろん、実際に施工に携わる多くの下請け会社をまとめるための「現場的目線」は必要不可欠。「建物づくり」ではなく「街づくり」をするのだという大きな視点と、現場の進捗管理に心を砕けるミクロな視点。「虫の目と鳥の目」をバランスよく持った人材にはもってこいと言えるのではないでしょうか。転職すればさまざまな経験ができることから、建設技術者としてのレベルも格段に上がるはず……。

 

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非建設・不動産系の発注者

3つ目に挙げるのは「非建設・不動産系」。多くの企業が、自社関連施設/設備の建設において外部業者任せにならないようにするために、建設業許可を取得し、経験豊かな建設技術者を採用しているのです。それは機械メーカーのプラントや通信設備工事の施工管理、小売・全国で店舗展開する外食チェーンの店舗設計、さらにブライダル会社の設計デザイン監理業務に至るまで、実にさまざま。

 

そこでおこなうのは、設計/施工会社の選定や発注、施工作業の進捗管理やコスト管理です。言うまでもなく、建設業界での資格や専門知識、経験を活かしたマネジメントが求められるでしょう。複数の店舗や拠点、設備開発を同時進行的に進められる人材こそが必要とされます。

 

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これらの非建設系発注者側のメリットは、建設業界の慣習にとらわれない働き方ができること。売上や規模が大きく、コンプライアンス意識も高い企業がほとんど。年収の大幅なアップはもちろん、ワーク・ライフ・バランスも実現するはず。もちろん業界が変われば、新たに学ばなければいけない専門知識やルールはたくさんあり、異なる業界特有の空気に戸惑うこともあるかもしれませんが……。

 

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発注者転職で気をつけるべきこと

これらの発注者は大変魅力的な仕事です。落とし穴があるとすれば、入社後のミスマッチ。

 

資格は持っていてもまだ現場経験の浅い建設技術者が非建設系に転職した場合、上司や同僚に経験豊富な人材がいないと、引き出しが少ない自分だけでは手詰まりになってしまう可能性もゼロではありません。さらに業種によっては現場に出るより管理業務、いわゆるデスクワークが主となり、現場至上主義だったベテランの場合は、やりがいを感じられず、ともすれば仕事が退屈に感じてしまうおそれも……。

 

「発注者」という魅力的なワードに惑わされず、入社後のミスマッチが起きないように、転職先のリサーチはじゅうぶんにおこないたいものですね。その際は、キャリアアドバイザーにご用命を。

 

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